
Strike創業者「米国債とステーブルコインの未来はBTC次第」
米決済アプリ企業Strike(ストライク)の創業者兼CEOであるジャック・マラーズ氏は2025年7月24日、米国の財政を安定させるためには、ステーブルコイン市場の拡大とともにビットコイン(BTC)価格の上昇が不可欠だとの見解を示しました。
マラーズ氏は自身のX(旧Twitter)に投稿した動画の中で、米国で成立したステーブルコイン規制「GENIUS法」について、ビットコインとは直接的な関係がないものの「ステーブルコイン市場の拡大とビットコイン価格の上昇は相互に関連している」と指摘しています。
具体的には、ステーブルコイン発行体が保有する米国債の需要はステーブルコイン市場の規模拡大とともに増加するため、ビットコイン価格の上昇による仮想通貨市場全体の成長によって米国債の新たな買い手が生まれ、結果的に米国の財政を支える要因になると述べています。
同氏は「ビットコインは米国にとって新たな金融的な圧力逃し弁(プレッシャーバルブ)だ」と指摘し、ビットコインや金の価格上昇が、米国経済における金融調整機能を担い始めているとの認識を示しました。
The US needs to print but can't spark obvious inflation.
What absorbs the liquidity? Stablecoins. Backed by T-Bills, but driven by #Bitcoin.
A higher #Bitcoin (and Gold) price is becoming a matter of fiscal stability for the US.#Bitcoin is the new monetary pressure valve. pic.twitter.com/nSjxs6ETCO
— Jack Mallers (@jackmallers) July 23, 2025
アメリカは資金を刷る必要がありますが、明らかなインフレを引き起こすわけにはいきません。その流動性を吸収しているのがステーブルコインです。米国債(T-Bills)を裏付けとしながらも、その需要はビットコインによって支えられています。
ビットコインや金の価格上昇は、今や米国の財政安定性を保つために重要な要素となりつつあります。ビットコインは、新たな金融の「プレッシャーバルブ」として機能し始めているのです。
米国、戦略的ビットコイン政策を始動
マラーズ氏が示すビットコインの国家的役割
BTCと金で行う選択的ドル切り下げ
マラーズ氏は投稿の中で、米国の財政状況について「米国は金融的に行き詰まっており、利上げも歳出削減もできない。次に取るべき論理的なステップはドルの価値を下げること(通貨安)だ」と発言し、事実上の債務削減策として、ドルの意図的な価値切り下げ(インフレ誘導)が不可避であるとの見方を示しています。
一方でマラーズ氏は「住宅や卵などの生活必需品の価格に対してドル安を起こすべきではない。私の提案はビットコインと金に対してドルを減価させることだ」と強調し、ドル安によるインフレを許容する対象としてビットコインや金などの価値保存資産を挙げました。
GENIUS法案成立がもたらす市場変化
米国では米ドル連動型ステーブルコイン規制「GENIUS法」が正式に成立しており、米国債を裏付けとするステーブルコイン市場の拡大が進めば、米国財政を間接的に下支えするとの見方が広がっています。
さらにマラーズ氏は、ビットコイン価格が現在の約5倍となる50万ドル(約7,400万円)まで上昇すれば、ステーブルコインの時価総額も同様に拡大し、結果として米国債に対する構造的な需要も5倍に増えるとの試算を示しました。
ステーブルコインが支える米国債の需給構造
同氏は、現在の米国債の主要購入者である海外政府やヘッジファンドの購買意欲が低下している点を指摘し、最終的に米国債の「買い手の最後の砦」は米連邦準備制度理事会(FRB)になる可能性があると述べました。
こうした状況下で、Tether(テザー)社などのステーブルコイン発行体が米国債の新たな受け皿となれば、米国は自国通貨を発行しながらも、目立ったインフレを引き起こさずに必要な財源を確保できるとの見解が示されています。
マラーズ氏はこの状況を歴史的文脈になぞらえて「直近でFRBと米政府が協調して国債発行による資金調達を行ったのは世界大戦期であり、その際にはFRBのバランスシートが主にTビル(短期国債)によって10倍に拡大した」と指摘しました。
現在では、ステーブルコイン市場が過去のFRBの役割と類似した構造を担い始めているとし「ビットコイン価格の上昇を起点とする市場拡大と米国債需要の増加が、米国財政を支える新たなモデルになり得る」と述べています。
年金制度とビットコインの連携がもたらす効果
マラーズ氏はさらに、米国の債務残高が対GDP比で130%に達している現状に言及し「債務の実質的な削減には、資産インフレによる帳消し(ドルの購買力低下)が不可欠だ」と強調しました。
そのうえで同氏は「大統領とその家族が総額20億ドル相当のビットコインを購入した」との報道や「米国における退職年金市場を仮想通貨投資に開放する政策」が進行中である点に触れ、仮想通貨の導入が進展していると指摘しています。
また、ビットコインや金といった資産を国民の年金ポートフォリオに組み込むことが可能になれば、通貨安(インフレ)政策によって生じる購買力低下に対する国民の不満を軽減できるとも述べました。
ビットコインが米財政とステーブルコインの成長を支える鍵に
マラーズ氏は将来のインフレ局面においても、ビットコイン保有者は価値上昇により購買力を維持できるため、政府の通貨安政策を容認しやすくなるとの見解を示しています。
最終的にマラーズ氏は「ステーブルコインは政府の新たな資金調達手段となりつつあるが、それはビットコインの成長と連動している。FRBと財務省の課題を解決する手段として、ビットコインの成長を促進すべきだ。これ以上明白なことはない」と結論付けました。
FRBのドル供給がビットコインを押上げか
ビットコイン、ドル安とETFが支える強気相場に
ビットコイン価格を支える資金流入構造
ビットコイン価格は2025年7月に入っても上昇基調を維持しており、7月14日には一時123,000ドル(約1,815万円)を記録し、過去最高値を更新しました。
この急騰により仮想通貨市場全体の時価総額は一時4兆ドル(約590兆円)に達し、一部の市場関係者からは「熱狂はまだ始まっていない」との声も上がっています。
こうした価格上昇を支える要因としては、米国市場での現物ビットコインETFへの継続的な資金流入に加え、年初来で14%下落している米ドルの軟調さが挙げられています。
実際に、ブラックロック社が運用するビットコイン現物ETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」への累計資金流入額は今年に入って大幅に増加しており、政府系ファンドからの投資も相次いで報告されました。
このような構造的な資金流入は、ビットコイン価格の安定的な上昇を支える基盤となっていると見られています。
著名投資家が語るビットコインの将来予測
記事執筆時点で、ビットコインの価格は116,000ドル(約1,700万円)前後で推移しており、この堅調な動きは米国の金融政策や規制方針にも影響を与えています。
マラーズ氏の見解は、ビットコイン価格の上昇が米国財政にとって好ましい影響をもたらす可能性を示唆しており、こうした強気の見方は他の著名投資家の間でも広がっています。
米国の有名ファイナンシャルアドバイザーであるリック・エデルマン氏は7月9日、2030年までにビットコイン価格が50万ドル(約7,300万円)に達する可能性があるとの強気予測を公表しました。
現在の10万ドル前後という価格水準から見ても大きな上昇余地を見込む内容であり、エデルマン氏はビットコイン市場の成熟による安定化や機関投資家の買い支えを根拠に挙げています。
ビットコイン市場に対する楽観的な見方が広がる中、年内にはアルトコインETFの承認や法規制の整備が進む可能性があり、業界から大きな注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.35 円)
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Source:ジャック・マラーズ氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像






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