カルダノのスマートコントラクトをビットコインに|Input Outputがツール公開予定

ビットコインを改変せずにスマートコントラクト機能を

カルダノ(Cardano/ADA)の開発企業であるInput Outputは2025年7月23日に、ビットコイン(Bitcoin/BTC)のブロックチェーン上でスマートコントラクトを実行できるようにするための新たなツール群を開発していることを明らかにしました。

このツールはPython、TypeScript、Scalaなどのプログラミング言語で書かれたカルダノのスマートコントラクトをビットコイン上で動作できるようにするためのもので、ビットコイン自体を改変することなくスマートコントラクトをビットコイン上で動かせるようになると報告されています。

これが実現すればビットコイン上で分散型アプリケーション(DApps)分散型金融(DeFi)分散型取引所(DEX)のサービスを構築できるようになるため、ビットコインの可能性が大幅に広がり、カルダノとビットコインのクロスチェーンブリッジなども可能になると期待されています。

🧵 現在、Input Outputで開発中の新しいコンパイルパイプライン(*1)では、ビットコイン自体を改変せずにPython、TypeScript、Scalaといったモダンな言語で書かれたカルダノのスマートコントラクトをビットコイン上で動作させることが可能になります。


(*1)コンパイルパイプライン:プログラム(コード)を最終的に実行可能な形に変換していく一連の処理の流れのこと。

BitVMXを中心とした革新的な仕組みを構築中

Input Outputは、カルダノ向けに書かれたスマートコントラクトをビットコイン上で動作させるために「BitVMX」と呼ばれるシステムを中心として以下の3つを組み合わせた革新的なコンパイルパイプラインを構築中だと説明しています。

  • UPLC(Untyped Plutus Core)
    スマートコントラクトを言語非依存の中間形式に変換するための表現形式。
  • CEKマシン
    UPLCコードを実行する仮想マシン的なインタプリタ
  • RISC-V
    軽量かつオープンな命令セットアーキテクチャ。実行の最終段階として使用される。

「BitVMX」は、ビットコインの外部で高度なロジックを安全に実行するための仕組みであり、これによって「オフチェーンで高度な処理を実行し、必要に応じてオンチェーンで検証できる仕組み」が実現すると報告されています(具体的な流れや仕組みは以下)。

  1. 高水準コード
    開発者がカルダノ向けに設計されたモダンなプログラミング言語でスマートコントラクトを記述する。
  2. UPLCへのコンパイル
    記述されたコードは、UPLCという最小限で関数型の中間表現に変換される。これはクリーンで言語非依存のバイトコードのようなもの。
  3. シリアライズ(直列化)
    UPLCのコードは、メッセージやファイルのように扱える特定のバイト形式にエンコードされる。
  4. CEKマシン
    CEKマシンはUPLCを実行するための軽量インタプリタ。仮想マシンのようなもので、UPLCコードを解釈・実行できる。
  5. RISC-Vへのコンパイル
    UPLCをビットコイン上で直接実行するのではなく、CEKマシン自体をRISC-Vに変換する。RISC-Vは現実世界で使われているシンプルなCPU命令セットで、このRISC-V版のCEKマシンは、シリアライズされたUPLCを入力として受け取ることができる。
  6. BitVMXで検証
    オフチェーン実行結果を“楽観的に”検証し、不正が疑われる場合はチャレンジ・レスポンス方式で対処。BitVMXでは、計算結果の正当性に異議が出された場合、”チャレンジゲーム”が開始され、実行トレースの一部を公開して不正を検証する。不正が証明されれば、計算者(Prover)は保証金を没収されるため、悪意のある行動を経済的に抑止することが可能。

ビットコインを変更せず「スマート」に

ビットコインはその堅牢性とシンプルさから高く評価されていますが、その一方でスクリプト機能は非常に限定的です。これは「機能制限によるセキュリティ確保」という設計思想に基づいています。

そのためInput Outputは、ビットコイン本体を改変するのではなく、「オフチェーンで高度なロジックを処理し、必要に応じてオンチェーンで検証する」というアプローチを採用しています。

BitVMXはこれを支える重要な仕組みであり「通常は計算結果をそのまま受け入れ、異議申し立てがあったときのみ検証を行う」という方法を採用することによって高速性と安全性を両立させています。

カルダノのスマートコントラクトをビットコイン上で実行できるようになれば「ビットコインネイティブなDeFiの構築、ビットコイン・カルダノ間のクロスチェーンブリッジ、DEX・ステーブルコイン・エスクローなどのDApps展開」など、ビットコインの可能性が大きく広がると期待されます。

また、この仕組みでは既存のカルダノ向けスマートコントラクトを再利用できるため、カルダノ上でサービス開発を行っていた開発者にとっても大きなメリットになると予想されます。

なお、今回の取り組みはInput Output、Fairgate Labs、Rootstock Labsの3社が連携して進める共同プロジェクト「BitVMX FORCE」の一環として進行中で、2025年に開催された「Bitcoinカンファレンス」では、UPLC→RISC-Vのコンパイルデモも行われ、スマートコントラクトをビットコインで動作させるという構想が具体的な技術として提示されたとも報告されています。

現在はまだ開発段階ですが、近日中にはツールチェーンが一般公開される予定だと報告されているため、今後の続報などにも注目です。

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source:Input Output発表
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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