
資産形成の手段としての暗号資産に公平な税制求める
日本ブロックチェーン協会(JBA)が、暗号資産(仮想通貨)に関する2026年度の税制改正要望書を政府に7月18日に提出した。
JBAは、暗号資産の位置づけが「決済手段」から「資産形成の手段」へとシフトしつつある現状を踏まえ、これにより金融商品取引法の枠組みで規制する議論が本格化している動きを歓迎。そのうえで、個人投資家による健全な資産形成を後押しするためには、暗号資産取引の利益に対する「分離課税制度の導入」が不可欠であると強調した。
日本においては現在、利益が雑所得として総合課税が適用され、最大で55%もの高い税率が課される状況にある。JBAはこれを、「資産形成を促進する他の金融商品と比べて極めて不利な取り扱い」とし、個人投資家やスタートアップがweb3に参入する意欲を削ぐ要因となっていると指摘した。
要望書では、税制改正に向けた具体的な提案として、まず国内の登録取引所を通じた暗号資産の売却益については、取得経路や銘柄、取得時期を問わず一律で分離課税とし、税率を20.315%に統一することを求めている。また、暗号資産取引で損失が発生した場合には、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の暗号資産所得から控除できる制度の導入も提案された。
さらに、暗号資産デリバティブ取引についても同様の税制措置を適用すること、そして分離課税の導入を前提に、特定の口座内で完結する取引に限って、納税者が「申告分離課税」または「源泉分離課税」のいずれかを選択できる制度の整備が求められている。
その他にも、相続に関する税制の整備、暗号資産同士の交換時における課税の繰延、暗号資産を寄付した際の税制整備、特定譲渡期限つき暗号資産の今後の見直しの継続検討などが開始内容として提出された。
さらに、JBAが外部調査機関に委託して実施したアンケート調査では、回答者の約75%が「源泉分離課税の導入を望む」と回答。高税率だけでなく、「取引履歴の管理」「損益計算」「確定申告」といった手続きの煩雑さもまた、個人投資家の参入を妨げる大きな要因であることが浮き彫りになったという。
JBAによれば、日本国内における暗号資産の保有率は人口比で約4.5%にとどまっており、シンガポール(24.4%)や米国(15.5%)、韓国(13.6%)、ドイツ(8.3%)など、主要国と比べて著しく低い水準にあるという。この状況を打破するためにも、税制の整備が喫緊の課題だとJBAは訴えている。
参考:暗号資産に関する税制改正要望(2026年度)
画像:iStock/ Kateryna-Bereziuk・Rawpixel
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参照元:ニュース – あたらしい経済

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