マクドナルド、ビットコイン財務計画を巡って株主と経営陣で対立|SECは株主総会での除外を容認

マクドナルド、ビットコイン財務計画で株主と対立(McDonald’s faces shareholder clash over Bitcoin financial plan)

マクドナルド、ビットコイン投資に難色

SEC(米国証券取引委員会)は、マクドナルドが年次株主総会からビットコイン(BTC)関連の財務計画に関する株主提案を除外することを承認しました。

この提案は株主でもある全米公共政策研究センター(NCPPR)から提出されたもので、ビットコイン導入を望む株主側と慎重な姿勢を示す経営陣との間で意見が分かれていました。

今回のSECの判断により、経営陣は株主総会でこの提案を議論する義務から解放され、マクドナルドは引き続きビットコイン導入に対して慎重な立場を維持することになります。

マクドナルドと株主のビットコイン導入巡る対立

NCPPRは2024年末、マクドナルドに対してビットコインを財務資産(準備金)として検討するよう要請する提案を行いました。同提案は「取締役会に対して、ビットコインを財務資産に加えることが株主の長期的利益につながるかどうか」の評価を求める内容でした。

NCPPRは提案理由として、インフレで目減りする現金資産の代替手段としてビットコインの可能性に光を当てています。ビットコイン価格は2024年に前年比119%、過去5年間では1,252%上昇しており、同期間にビットコインを大量保有するストラテジー(旧マイクロストラテジー)社の株価も2,360%の伸びを示しました。

また同センターは、テスラやブロック(旧スクエア)がすでにビットコインを財務戦略に組み込んでいる事例や、マクドナルドの大株主であるブラックロックがビットコインETFを提供している点を挙げ「行動を起こさなければ業界での主導的地位を失いかねない」と警鐘を鳴らしました。

一方、マクドナルド経営陣は当初からこの提案に対して反対の姿勢を示しました。

同社は2025年1月17日の書簡で「投資ポートフォリオの分散方法は経営陣の責任範囲内にある日常的業務であり、株主の直接介入は適切ではない」との見解を示しました。

また「ビットコイン購入の是非は社会的政策問題には該当しないため、SEC規則(通常業務に関する事項)に基づき株主総会の議題から除外すべきだ」とSECに訴えていました。

これを受けSEC企業財務局は2025年3月28日付で「本提案は同社の通常業務に関連する事項である」と認定し、提案の株主総会資料からの除外を認める書簡を発行しました。これにより当該提案は5月に予定されているマクドナルド株主総会の招集通知から正式に除外されました。

BTC導入企業と消極派の動き

企業の財務資産としてのビットコイン導入を巡る動きは、企業によって大きく異なっています。

米ソフトウェア企業ストラテジー社は2020年からビットコインの積極購入を続け、2025年3月には506,137 BTC(420億ドル/6.3兆円相当)の保有を公表しています。

一方で、マクドナルドと同じようにビットコインを財務に取り入れることに消極的な企業も多く、2024年12月に開催されたマイクロソフトの株主総会ではNCPPRが同様の提案をしましたが、賛成票は0.55%しか得られず否決されています。

NCPPRは2025年にも、Amazon(アマゾン)Meta(メタ)などの大手企業に同様の提案を行っていますが、時価総額の大きな企業ほどビットコインのような価格変動リスクの高い資産への投資には慎重な姿勢を保っています。

さらにSECは2025年2月、企業が株主提案をより容易に除外できる新指針を発表しました。この新指針では、提案が企業の経済状況(総資産や純利益の5%以上に影響を及ぼすか)を重視し、社会的な意義がある内容でも企業の本来的な事業との関連性が薄ければ提案を却下する可能性を示しています。

今回のマクドナルドのケースもこの新指針に沿った判断であり、今後も同様のケースでは経営陣側の判断が優先されることが予想されます。

今回のSEC判断は、企業のビットコイン導入を巡る意思決定に道筋をつける重要な前例として、大手企業の今後の投資戦略に大きな影響を与えると見られています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.59円)

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Source:SEC書簡
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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