米SEC、クラーケンへの訴訟を取り下げ、ジェミナイやコンセンシスなど暗号資産関連企業に続き

米SEC対暗号資産企業の戦いが終結へ

米証券取引委員会(SEC)の暗号資産(仮想通貨)企業に対する訴訟取り下げが続いている。

3月3日にSECは、米大手暗号資産取引所クラーケン(Kraken)に対する訴訟を取り下げた。

SECは2023年11月、クラーケンの2つの事業体であるペイワード(Payward Inc.)とペイワードベンチャーズ(Payward Ventures Inc.)に対し、未登録の取引所を運営したとして提訴していた。

クラーケンは発表にて、「規制措置は政治的思惑ではなく、事実に基づいて行われるべき」とし、「今回の却下により、不確実性の雲は取り払われた。弊社のような、コンプライアンスと消費者保護を優先する企業が、恣意的な法廷闘争の対象となるべきではないことが再確認された。安定した予測可能な規制枠組みは、責任ある成長を促し、投資を呼び込み、米国がグローバルなデジタル資産経済において競争力を維持することを確実にだろう」と述べている。

またクラーケンは、政策立案者や規制当局と今後も協力し、技術の進歩を促進しながら消費者保護のガイドライン策定に取り組んでいくとした。

またSECは2月24日、暗号資産取引所ジェミナイ(Gemini)への調査を終了し、法的措置をとらないことを発表した。

ジェミナイは、破産した暗号資産貨貸出業者ジェネシス(Genesis)と共に「Earn」という最大8%の利回りを謳う商品を通じて未登録証券を販売した疑いでSECから2023年1月に提訴されていた。

ジェミナイの共同創業者であるキャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏はXにて「調査開始から699日、ウェルズ通知を受け取ってから277日後に、ようやくこの決定が下された」と述べている。

ウィンクルボス氏は、SECによる暗号資産企業への相次ぐ訴訟取り下げを「暗号資産に対する戦争の終結」と評したが、SECが業界に負わせた損害の埋め合わせには足らないとした。

膨大な訴訟金額で米経済に損害を与えただけでなく、イノベーション分野でも犠牲を払う結果になったとウィンクルボス氏は指摘。ウィンクルボス氏は、これらの措置に関わったSEC関係者の即時解雇及びSECのウェブサイトでの公示、そして訴訟費用の弁済等を求めている。

さらにSECは2月27日、メタマスク開発元のコンセンシス(Consensys)への訴訟も取り下げた。

SECは2024年6月、メタマスクのスワップ機能などが未登録の証券ブローカー業務に該当するとして、コンセンシスを提訴していた。

調査・提訴の取り下げ続く

今回の動きは、SECが複数の暗号資産関連企業への訴訟や調査を終了した動きに続くものだ。

SECは2月24日、株式や暗号資産の取引アプリを提供する米ロビンフッド(Robinhood)の調査を執行措置なしで終了。また、NFTマーケットプレイス「オープンシー(OpenSea)」もSECによる調査が終了したと2月22日に発表した。

また大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)への民事訴訟が、SECによって60日間保留されたことも2月13日に明らかになっている。

また、大手DEX(分散型取引所)「ユニスワップ(Uniswap)」運営のユニスワップラボ(Uniswap Labs)への調査を終了し、強制措置を行わないことも2月25日に発表された。

さらに大手暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)については2月27日に、SECが同社に対して起こしていた訴訟を正式に取り下げた。

一連のSECの動きは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領就任後の暗号資産規制整備推進の影響を受けている。

ジョー・バイデン(Joe Biden)前政権下でSECは、暗号資産業界への規制を強化し、コインベースやクラーケン(Kraken)といった業者をルール違反で提訴。業界からは、証券法に基づいたSECの監督の仕組みが不透明で、暗号資産独自のルールを確立すべきだとの不満がくすぶっていた。

トランプ政権下でSEC委員長代行に指名された共和党委員のマーク・ウエダ(Mark Uyeda)氏は1月22日、SECのコミッショナーであり「Crypto Mom(クリプトママ)」として知られるヘスター・ピアース(Hester Peirce)氏が主導する暗号資産の規制体系を整備するための専門チーム(タスクフォース)を結成。

SECによると、専門チームは議会が暗号資産関連法制を策定するのを支援し、米商品先物取引委員会(CFTC)など他の連邦機関や州、外国機関との調整に関与する役割も担う。 

またピアース氏は、暗号資産業界が長い間反対していた会計指針も撤廃している。

参考:クラーケンコンセンシス
画像:iStock/ablokhin

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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