アリゾナ州上院、戦略的ビットコイン・デジタル資産準備金法案を承認|州財政に仮想通貨導入へ

アリゾナ州上院、戦略的ビットコイン・デジタル資産準備金法案を承認|州財政に仮想通貨導入へ(Arizona Senate approves Strategic Bitcoin and Digital Asset Reserve Bill | State finances to include cryptocurrency)

仮想通貨準備金に関する2法案を承認

米国のアリゾナ州上院は2025年2月27日に、州政府がビットコイン(BTC)などのデジタル資産を戦略的準備金として保有・運用することを認める法案「SB-1373 / SB-1025」を承認しました。

今回アリゾナ州上院を通過したのは、共和党の州議員によって提出された2つの関連法案です。1つはマーク・フィンチェム上院議員が提案した「戦略的デジタル資産準備基金法案(SB-1373)」、もう1つはウェンディ・ロジャーズ上院議員とジェフ・ウェニンガー下院議員が共同提案した「戦略的ビットコイン準備法(SB-1025)」です。

戦略的ビットコイン準備法(SB-1025)

SB-1025(戦略的ビットコイン準備法)は、州財務長官が管理する資金や公的年金基金などの公的資金が、資産の一部を直接ビットコインなどの仮想通貨に投資する権限を認める内容で、州の投資ポートフォリオに仮想通貨を組み入れる道を開くものです。

SB1025の条文では、公的資金による仮想通貨投資の上限が明確に定められており「公的資金はその管理下にある資金の10%を超えて仮想通貨に投資してはならない」と規定されています。

また、同法案では、将来連邦財務省が政府のビットコイン備蓄用「戦略的ビットコイン準備金」を設立した場合、アリゾナ州の公的資金もその連邦準備口座内の分別管理されたアカウントに仮想通貨を保管できる旨も定めています。

戦略的デジタル資産準備基金法案(SB-1373)

SB-1373は州財務長官(州政府の会計責任者)の管轄下に「デジタル資産戦略準備基金」を創設し、押収した仮想通貨や州議会の拠出金を原資として運用することを目的としています。

同法案は、基金への資金源として押収した仮想通貨を基金に繰り入れることが明記されています。

また、基金に預けられた資金のうち、州財務長官が年間で投資に回せるのは最大10%までと制限されており、過度なリスクを避ける慎重な姿勢が条文化されています。さらに、財務長官は「州に財政リスクを与えない範囲で」基金からデジタル資産を貸し出し、追加収益を得ることも認められています。

議会での議論・賛否

両法案は2月27日の上院本会議でそれぞれ採決され、SB-1373は「賛成5・反対2」、SB-1025は「賛成17・反対11」で承認されました。この票数は、与党・共和党の支持によって可決され、少数野党・民主党側から一部反対が出た構図と見られています。

提案者らは「州の財政を現代化し、経済変動に備える戦略」として仮想通貨準備金の必要性を訴えました。フィンチェム議員は、州政府が差し押さえた仮想通貨を死蔵せず有効活用することで公共利益に資する点や、将来的な連邦の規制枠組みに備える意義を強調しています。

一方、反対派や慎重論としては「仮想通貨市場のボラティリティ(価格変動の激しさ)やリスクを公金に背負わせるべきではない」との懸念が挙げられました。批判的な議員は、仮想通貨への投資が納税者に損失を与える可能性や、規制が不透明な中での導入に対する警戒感を示しており、慎重かつ段階的な検討を求める声もありました。

今後のプロセスと法案の行方

今回上院を通過した両法案は、今後アリゾナ州下院で審議・採決が行われる予定です。下院でも委員会審査と本会議での3読会が行われ、可決されれば州知事の署名を経て法制化されます。

現時点で、民主党のケイティ・ホッブス州知事は本法案に対し公的な見解を表明していませんが、仮想通貨に慎重な立場を取る可能性も指摘されています。仮に下院で可決され知事が署名すれば、アリゾナ州は全米で初めてビットコイン準備金を法制化する州となります。

一方で、知事が署名を拒否(拒否権行使)した場合、再度議会で3分の2以上の賛成を得なければ法案成立は困難となります。票数を見る限り上院では3分の2に達していないため、法案成立には今後の政治的調整が必要となると見られています。

ビットコイン導入を進める州政府

アリゾナ州のこの動きに対し、ビットコイン支持派からは将来への期待が高まっています。Satoshi Action Fundの共同創設者兼CEOであるデニス・ポーター氏は、2月28日のX(旧Twitter)投稿で、州レベルでの立法の順序に触れ、連邦政府もいずれビットコイン準備金制度を導入するとの見解を示しました。

気に入るかどうかに関わらず、連邦レベルでの法整備は次の順序で進むことになる。

  1. ステーブルコイン
  2. 市場構造
  3. 戦略的ビットコイン準備金

私が決めることではない。
上院のリーダーたちが決めるのだ。

仮想通貨業界にとって、州政府によるビットコイン準備金の保有は大きな追い風になると期待が寄せられています。州が公金の一部をビットコインに割り振ることは、資産クラスとしての仮想通貨の地位向上を意味し、機関投資家や他の州政府にも影響を与えるものです。

業界としても、州政府が安心して投資できるよう、保管・セキュリティ体制の強化やボラティリティ対策などインフラ面での協力が期待されています。

アリゾナ州のBTC法案に注目が集まる

アリゾナ州上院による「戦略的ビットコイン・デジタル資産準備金」関連法案の可決は、州財政への仮想通貨導入という新たな一歩を示す重要な出来事として注目を集めています。今後下院での審議や州知事の判断を経て法制化されれば、州政府がビットコインを準備資産として正式に保有する道が開かれます。

支持者は財政の強化策や技術革新として歓迎する一方、慎重論者はリスク管理の厳格化を求めています。米国では複数の州が競うように類似法案を進め、国家レベルでも議論の機運が高まりつつあります。

アリゾナ州の挑戦が実を結ぶか注目されるとともに、ビットコインが政府の準備資産として認知される日が近づいているのかもしれません。

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Souce:SB-1025 / SB-1373
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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