「ミームコイン自体は証券ではない」米SEC企業財務部門が見解を発表

「ミームコイン自体は証券ではない」米SEC企業財務部門が見解を発表(MemeCoin itself is not a security,” the U.S. SEC Division of Corporation Finance opined)

「ミームコイン取引は証券売買には該当しない」

米国証券取引委員会(SEC)の企業財務部門は2025年2月27日に「ミームコインの取引は連邦証券法上における”証券”の売買には該当しない」との見解を示しました。

ミームコインとは、インターネット上のミーム(ジョーク)などに影響を受けて開発された暗号資産の一種であり、現在は仮想通貨業界でミームコインの数が急速に増えてきています。

米SECの企業財務部門は今回の声明でミームコインについて以下のように説明しており、「このようなミームコインの取引は証券の売買には該当しないため、ミームコインの発行や販売に関与する者は1933年証券法に基づく登録義務を負わず、登録免除の適用を受ける必要もない」とコメントしています。

連邦証券法が暗号資産にどのように適用されるかについて、より明確にする取り組みの一環として、企業財務部門は「ミームコイン」に関する見解を示します。

「ミームコイン」とは、インターネット上のミーム・キャラクター・時事ネタ・トレンドなどに着想を得た暗号資産の一種であり、発行者がオンラインコミュニティの関心を引きつけ、購入や取引を促すことを目的としています。個々のミームコインには独自の特徴があるものの、一般的に以下の共通点があります。

ミームコインは主に娯楽・社会的交流・文化的な目的で購入されることが多く、その価値は市場の需要や投機によって決まります。この点で、ミームコインはコレクターズアイテムと類似しています。また、ミームコインには、ほとんど利用価値や機能がない場合が多いです。そのため、ミームコインは投機的な性質を持ち、価格変動が激しく、しばしば「娯楽目的以外には実用性がない」といったリスクに関する声明が付随することがあります。

SECは「米国の証券法や証券取引法では株式・債券・社債などの金融商品が”証券”として明示されている」と説明した上で、「ミームコインは利益や将来の収益、事業資産への権利を生み出すものではなく、これらの一般的な金融商品には該当しないため、ミームコイン自体は証券ではない」との見解を示しています。

Howeyテストに基づく判断についても説明

証券法では”投資契約”も証券に該当すると規定されているため、仮想通貨が証券に該当するかどうかを判断する際には「Howeyテスト」と呼ばれる基準に基づく判断も行われていますが、今回の声明では「ミームコインの発行・販売は、Howeyテストに基づく判断においても証券に該当しない」との見解が示されています。

Howeyテストは、特定の取引が投資契約に該当するかを”経済的実態”に基づいて評価するもので、具体的には「事業への投資が行われているか、利益を得る合理的な期待があるか、その利益が第三者の起業的・経営的努力によるものか」が重要な判断基準となります。

しかしSECは「ミームコインの発行・販売はこれらの要件を満たさない」との見解を示しており、ミームコイン購入・ミームコイン投資の現状について以下のような考えを示しています。

  • ミームコインの発行・販売は、企業への投資を伴うものではなく、他者の経営的・起業的な努力から得られる利益を合理的に期待して行われるものでもない。
  • ミームコイン購入者は事業への投資を行っているわけではない。つまり、ミームコイン購入者の資金が発行者や第三者によって事業開発のために集められ、運用されるわけではない。
  • ミームコイン購入者が期待する利益は、他者の努力から得られるものではない。ミームコインの価値は「投機的な取引」と「集団的な市場心理」によって決まるもので、コレクターズアイテムと同様の性質を持っている。
  • ミームコイン発行者は、購入者が利益を得るための経営的・起業的な努力を行っておらず、努力を行う意図を示していない。

投資リスクや例外などに関する説明も

米SECは今回の声明で「ミームコインは証券に該当しない」との見解を示していますが、それにあわせて「ミームコインは証券に該当しないため、ミームコインの購入者・保有者は連邦証券法によって保護されない」とも説明しています。

また、証券法の適用を避けるために「ミームコイン」というラベルを使用することができないことも説明していて、「ミームコインの発行・販売が証券法の規制対象ではなかったとしても、詐欺的な行為は他の連邦法・州法の適用を受け、他の規制機関による措置の対象となる可能性がある」とも警告しています。

ただし、本声明の対象は上記のような特徴を持つミームコインに限定されます。連邦証券法の適用を逃れるために、実質的に証券に該当する商品を「ミームコイン」として偽装するようなケースには適用されません。前述のとおり、企業財務部門は個々の取引の「経済的実態」に基づいて審査を行います。

また、ミームコインの発行・販売が連邦証券法の規制対象でないとしても、詐欺的な行為は他の連邦法・州法の適用を受け、他の規制機関による措置の対象となる可能性があります。

詳細については、SECの企業財務部門 法務顧問室までお問い合わせください。

ミームコインについては今月13日にSECのヘスター・ピアース委員が「現在市場に出回っているミームコインの多くはSECの規制範囲には含まれないだろう」との見解を示していましたが、今回は米SECの公式サイトで”企業財務部門スタッフの見解”として上記のような考えが示されたため、今回の発表内容には注目が集まっています。

証券とみなされる仮想通貨の監督は「米証券取引委員会(SEC)」が行っていますが、商品(コモディティ)とみなされる仮想通貨の監督は「米商品先物取引委員会(CFTC)」が行っているため、米国ではミームコインの監督をCFTCが担当する可能性があります。

米国では以前から「仮想通貨関連の規制やルールを明確化してほしい」と要望する意見が数多く上がっていましたが、トランプ政権への移行後は仮想通貨関連のルールが徐々に明確化されてきているため、今後の新たな発表や続報などにも注目です。

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Souce:米SEC公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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