話題のレイヤー2「Abstractチェーン」とは?特徴や注目プロジェクト、将来性を徹底解説
2025年1月、Pudgy Penguinsの親会社Igloo Inc.が開発するイーサリアムレイヤー2「Abstract Chain」が、メインネットをローンチしました。
これまでのブロックチェーンは、複雑なウォレット管理や高額なガス料金など、一般ユーザーにとって大きな参入障壁がありましたが、Abstractはそれらの課題を解決し、誰もが簡単に利用できるブロックチェーンを目指しています。
本記事では、そんなAbstract Chainの特徴や注目プロジェクト、将来性について詳しく解説していきます。
Abstractチェーンとは
Abstractチェーンは、イーサリアムのセキュリティを継承しながら、より高速で低コストな取引を実現するレイヤー2ブロックチェーンです。
特筆すべきは、その「消費者中心」の設計思想です。ゲームやSNS、エンターテインメントといった一般消費者向けアプリケーションに特化し、ZKロールアップ技術(※1)とEigenDA(※2)を採用することで、大幅なスケール向上が可能になっています。また、アカウント抽象化(AA)技術により、従来のブロックチェーンの複雑な操作を大幅に簡略化しています。
※1 ZKロールアップ:大量の取引をまとめ、ゼロ知識証明を使って正当性を保証する技術。メインチェーン(Ethereum)には証明データのみを記録するため、処理速度が向上し、ガス代も削減できる。
※2 EigenDA:ブロックチェーンのデータ可用性を確保する仕組み。取引データを分散的に管理し、メインチェーンへの負担を軽減。これにより、スケーラビリティの向上とコスト削減を実現する。
Abstractチェーンの特徴・仕組み
続いて、Abstractチェーンの具体的な特徴と仕組みを紹介します。
- 「誰もが使いやすく」を目指すイーサリアムレイヤー2
- Pudgy Penguinsの親会社が開発
- Abstractグローバルウォレット(AGW)を活用
- Panoramic Governanceを導入
- クリエイターによるストリーミング配信
上記5つの観点について、それぞれ詳しく解説していきます。
「誰もが使いやすく」を目指すイーサリアムレイヤー2
従来のブロックチェーンでは、シードフレーズの管理やガス料金の支払いなど、専門的かつ技術的な知識が必要でした。
一方のAbstractはこれらの課題を解決するため、ネットワークの切り替えやガス料金の計算、複数のウォレット管理を不要にすることで、Web2アプリを使うような感覚でブロックチェーンを利用できます。
特にPaymaster機能を導入することで、開発者がトランザクションコストを肩代わりする仕組みを実現。ユーザーは暗号資産を直接扱う必要がありません。(もしくは極少額を支払うだけで良い)
Pudgy Penguinsの親会社が開発
Abstractの開発元であるIgloo Inc.は、NFTプロジェクト「Pudgy Penguins」の親会社として知られています。Pudgy Penguinsは海外で高い人気を誇り、今ではCryptoPunksやBAYCに迫る勢いを見せるプロジェクトです。
Igloo Inc.は、NFT販売やコミュニティ運営を通じて培ったノウハウを活かし、ユーザー体験を最重視したブロックチェーンの開発を進めてきました。2024年には、Founders Fundが主導するラウンドで1100万ドルの資金調達を完了し、その資金をAbstractの開発に投じています。
Abstractグローバルウォレット(AGW)を活用
AGW(Abstract Global Wallet)は、シードフレーズ不要のウォレット管理を実現する革新的なシステムです。
メールアドレスやSNSアカウントだけでログインでき、秘密鍵は3つのシャードに分割(デバイス保存用、暗号化サーバー保存用、クラウドバックアップ用)され、セキュリティと利便性を両立しています。
また、Claveスマートコントラクトを活用し、従来のウォレットよりも高いセキュリティを実現しています。
Panoramic Governanceを導入
Panoramic Governanceは、従来のDAOモデルを進化させた新しいガバナンスシステムです。
ユーザーと開発者、ガバナンス参加者の3者が互いに利益を得られる仕組みを構築しており、積極的に投票や提案を行うユーザーにはガス代還元や特典が与えられます。
また、Active Participation Threshold(APT) という指標を導入し、トランザクション数やガス使用量に基づいて参加者の活動度を評価。さらに、AIを活用することで、ガバナンス提案の処理を効率化 しています。
クリエイターによるストリーミング配信
Abstractは消費者中心のチェーンとして、コンテンツ作成活動を重視しています。
特に注目すべきはストリーミング配信機能で、ストリーマーは配信を通じてXP(経験値)を獲得でき、視聴者は$PENGUトークンで投げ銭することが可能です。
2025年2月時点で2,000人以上のユーザーがストリーマーとして登録しており、新しい形のクリエイターエコノミーを築きつつあります。
Abstractグローバルウォレット(AGW)の作成方法
次にAbstractグローバルウォレットの作成方法について、以下の3ステップで解説していきます。
- 公式サイトにアクセス
- アカウント認証
- ウォレット利用開始
それぞれの手順を詳しく見ていきます。
1.公式サイトにアクセス
まず初めにAbstract Chainにアクセスし、中央の「Login to Explorer」をクリックします。
新規ユーザーは自動的に登録フローに移行します。
2.アカウント認証
次にアカウントの認証です。
AGWでは以下3つの方法でアカウント認証を行えます。
- メールアドレス
- Googleアカウント
- 作成済みの暗号資産ウォレット
メールアドレスの場合は空欄に入力した後、送信されたコードを入力して認証は完了です。(シードフレーズの保管は不要です)
ウォレットの利用開始
認証が完了したら、すぐにウォレットを利用できます。
AGWではトレードだけでなく、dAppsへのアクセス、ストリーミング配信の視聴などが可能です。
Abstractチェーンを利用することで、将来的なエアドロップにつながると言われているポイント(XP)も獲得できますので、興味のある方はぜひ触ってみましょう。
Abstractチェーンの注目プロジェクト6選
続いて、Abstractチェーンの注目プロジェクトについて、NFTプロジェクトとNFTゲームの2つに分けて解説していきます。
NFTプロジェクト編
NFTプロジェクト編では、以下3つのプロジェクトを紹介します。
- Finalbosu
- BEARISH
- Bosko
各プロジェクトの概要を解説していきます。
Finalbosu
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Finalbosuは、「Against All Odds(逆境を乗り越えて)」をテーマにしたNFTコレクションです。
AzukiのようなアニメPJと同じように、世界的なフランチャイズ展開することを目指しています。
ONE PIECEや進撃の巨人などの日本のアニメからインスピレーションを得たストーリー展開が特徴で、ファンとクリエイターが共にIPを構築・拡張できる革新的なプラットフォームを目指しています。
2022年に発行されたGenesis NFTコレクション「The Bosu Legacy」は、現在フロア価格が1ETHを超えており、著名なAbstract情報発信者Loshmi氏からはフロア価格1.4ETHと予想されるなど、高い期待を集めています。
現在は、WL獲得の抽選に参加するためのポイント制度が開催されています。
BEARISH
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BREARISHは、Dripチェーンのチームメンバーにより開発されたNFTプロジェクトです。
「クマは強気相場を待たない—自らそれを作り出す」をモットーに、1,100以上のコミュニティと300万近いメンバーの実績を活かしたプロジェクトを展開しています。
特に「Social Recovery Vault」による3段階の本人確認システムは、秘密鍵紛失時の資産回収を可能にする画期的な仕組みとして評価されています。
Bosko
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Boskoは、3,333枚限定のレトロカートゥーン風PFPコレクションです。
1989年から活動するアーティストが手掛ける"good boys"をテーマにした独創的なNFTプロジェクトです。
注目すべきは、そのコミュニティ運営方式で、Discordの定員を3,333人に限定し、アクティブな参加者のみがロールを維持できるという独特のルールを採用。
ミント価格は0.0033ETHと低価格で設定されましたが、2025年2月時点のフロア価格は0.02ETH付近を推移しています。
NFTゲーム編
NFTゲーム編では、以下3つのプロジェクトを解説していきます。
- 77-bit
- SOMO Duel
- DUPER
77-bit
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77-bitは、Abstractチェーンで展開される無料のブラウザMMORPGです。2077年のAIに侵略された世界を舞台に、プレイヤーは人類レジスタンスの一員として戦います。
本ゲームでは、「Byte City」と呼ばれるAI支配下の都市を拠点に、未開の地での戦闘やダンジョン探索が楽しめます。
HackerとTechnomancer、Sentinelの3つのクラスから選択でき、ソロプレイやグループでの冒険、PvP、PvEバトルなど多彩なコンテンツを展開。
メールアドレスかXアカウントがあれば、NFT不要で誰でも即座にプレイを開始できます。
現在は「BitHub」プラットフォームでポイント(Bytes)の獲得が可能で、これらは将来的な特典に変換される予定となっています。
SOMO Duel
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SOMO Duelは、400万人以上のプレイヤーを獲得した「TapTap Tripps」の開発チームによる新作カードバトルゲーム。
デジタルモンスター×ブロックチェーン×AIを融合させた次世代エンタメIPとして注目を集めています。
ターン制カードバトルを基本に、観戦・応援システムを導入し、優秀なプレイヤーを応援するだけでも報酬が得られる革新的な仕組みを実装しています。
DUPER
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DUPERは、カタンやポーカー、AmongUSなど様々なゲームの要素を組み合わせた新しい形のボードゲーム型BCGです。
1ゲームにつき25〜40分程度で進行し、ボードにある11枚のタイルを所有するか5 枚のストレート フラッシュを1ラウンド保有することで勝利となります。
無料プレイも可能ですが、参加費を払うことで、賞金を獲得できます。
また、GenesisNFTは999枚限定で発行予定で、テストプレイに積極的に参加するユーザーにはホワイトリスト権利が提供される予定です。
Abstractチェーンの将来性
最後にAbstractチェーンの将来性について以下3点の視点から解説していきます。
- Pudgy Penguinsとの関連性
- 業界全体からの高い注目度
- マスアダプションを目的としたチェーン設計
Pudgy Penguinsとの関連性
Pudgy Penguinsの500万人を超えるユーザー基盤は、Abstractの成長における重要な強みと言えるでしょう。
特に、独自トークン$PENGUのマルチチェーン展開により、Abstractのエコシステムとの相乗効果が期待されています。
$PENGUはAbstractでのストリーミング配信における投げ銭通貨として利用できるため、Pudgy Penguinsコミュニティとの自然な接点が生まれています。
業界全体からの高い注目度
Abstractチェーンは、zkEVMアーキテクチャとEigenDAの組み合わせにより、データストレージコストを従来のZKロールアップ比で60%削減することに成功しています。
この優位性は、特にゲームやソーシャルメディア分野の開発者から高い評価を受けています。
また、2025年2月時点でエコシステムのTVL(預かり資産)が32億ドルを突破し、その成長速度は既存のレイヤー2と比較しても注目に値します。特に、Abstract Prover Networkには12,000以上のノードが参加し、証明生成時間がリリース時比43%短縮されるなど、技術面での進化も着実に進んでいます。
マスアダプションを目的としたチェーン設計
Abstractの最大の特徴は、従来のDeFi中心のレイヤー2とは異なり、一般消費者向けアプリケーションを優先的に育成する点です。
AGWによる4クリック以下のオンボーディングフローや、開発者がトランザクションコストを負担するPaymaster機能により、Web2ユーザーの自然な流入を実現しています。
また、Panoramic Governanceを通じて、ユーザーや開発者、ガバナンス参加者の利害を動的に調整する仕組みを構築し、エコシステムの持続的な成長を支える基盤を整備。
2026年を目標としたAvalancheサブネットとPolygon zkEVMとのネイティブブリッジ構築も進行中で、マルチチェーン時代を見据えた拡張性も確保されています。
Abstractチェーンのまとめ
本記事では、注目のL2チェーンであるAbstractチェーンについて解説してきました。
Abstractチェーンは、ブロックチェーン技術の大衆化に向けた画期的なプラットフォームとして、その存在感を確立しつつあります。技術的な堅牢性とユーザー体験の革新性を両立させたアーキテクチャは、特にゲームとソーシャルメディア領域での新たなユースケース創出を可能にしています。
また、Pudgy Penguinsの既存ユーザー基盤とブランド力、ZKロールアップ技術による高いスケーラビリティ、そしてユーザーフレンドリーなウォレット管理システムという3つの強みを活かした今後の更なる発展から目が離せません。
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参照元:NFT Media