米SEC、サイバー&新興技術ユニット(CETU)設立|仮想通貨などの不正行為対策を強化
米国証券取引委員会(SEC)は2025年2月20日に、サイバー&新興技術ユニット(Cyber and Emerging Technologies Unit:CETU)と呼ばれる新しい部門の設立を発表しました。
サイバー&新興技術ユニット(CETU)は、従来の「暗号資産&サイバーユニット」を引き継ぐ形で発足したもので、サイバー関連の不正行為への対策を強化し、新興技術分野における悪質な行為から個人投資家を保護することを目的としています。
この新部門はヘスター・パース委員が率いる「暗号資産タスクフォース」の取り組みを補完する役割を果たすため、SECは執行リソースをより適切に配分できるようになると期待されています。ヘスター・パース氏は仮想通貨擁護派の”クリプトママ”としても知られる人物です。
CETUの責任者にはローラ・D・アレアード(Laura D’Allaird)氏が就任し、CETUのメンバーはSECの複数のオフィスに所属する約30名の詐欺対策専門家と弁護士で構成されると報告されています。
ローラ・D・アレアード氏は暗号資産&サイバーユニットで上級顧問・共同責任者を務めていた弁護士であり、CETUはフィンテックやサイバー関連の豊富な専門知識を活用して以下の重点分野における証券取引関連の不正行為を取り締まると説明されています。
- 人工知能(AI)や機械学習などの新興技術を用いた詐欺行為
- ソーシャルメディア、ダークウェブ、偽サイトを利用した詐欺
- ハッキングによる未公開重要情報の不正入手
- 個人向け証券口座の乗っ取り
- ブロックチェーン技術や暗号資産を利用した詐欺
- 規制対象企業のサイバーセキュリティ規則・規制の遵守状況の監視
- サイバーセキュリティに関する上場企業の虚偽開示の摘発
米SECの暫定委員長であるマーク・ウエダ氏は、サイバー&新興技術ユニット(CETU)の設立について次のようにコメントしています。
ローラの指導の下、新ユニットはヘスター・パース委員が率いる『暗号資産タスクフォース』の取り組みを補完する役割を果たします。また、新ユニットの設立により、SECは執行リソースをより適切に配分できるようになります。
投資家の保護にとどまらず、資本形成や市場の効率性向上を支援し、イノベーションの成長を促進することも重要な目的です。さらに、イノベーションを悪用して投資家に損害を与え、新しいテクノロジーへの信頼を失わせようとする者を徹底的に取り締まります。
バイデン政権下のSECは仮想通貨業界に対して敵対的であったことで知られていますが、トランプ政権下のSECは仮想通貨に前向きな姿勢を示しており、ヘスター・パース委員は2月4日に公開された声明の中で「暗号資産タスクフォースで他の規制当局とも協力しながら、イノベーションを促進しつつ詐欺行為を防ぐ規制枠組みを目指していく」という方針を示しています。
CETUはSECの執行活動において中心的な役割を果たし、新興技術分野における投資家保護を強化していく予定だと報告されているため、今後は米国の仮想通貨規制環境がさらに改善し、仮想通貨業界全体の成長も促進されると期待されています。
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Souce:SEC公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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