米SEC、コインベースとの訴訟の回答期限を28日間延長へ。バイナンス訴訟に続き

適切な審査の準備のため

米国証券取引委員会(SEC)が、デジタル資産の規制枠組みの策定が進行中であることを理由に、大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase)に対する訴訟において28日間の延期を求めた。2月14日付けの裁判所への提出書類にて明らかとなった。

提出書類によるとSECは、当初の期限であった2月14日を3月14日まで延長するよう要請している。なおこの要請にはコインベースも同意しているという。

SECはこの書類にて、「暗号資産対策チームの活動は、基礎となる地方裁判所の訴訟手続きと上訴審査の潜在的な解決に影響を与え、促進する可能性があり、司法資源を節約できる」と述べた。

なお今回の期限延期の理由をSECは、同組織が暗号資産関連の問題に対する審議を続けており、「コインベースの請願に対する回答と適切な審査の準備のために、この追加時間を要請する」としている。

なおSECは、対バイナンスの訴訟においても今回と同様の理由で裁判の一時停止を要請し、2月13日に認められている。

ジョー・バイデン(Joe Biden)前政権下でSECは、暗号資産業界への規制を強化し、コインベースを含む、バイナンス(Binance)やクラーケン(Kraken)といった業者をルール違反で提訴した。この動きにより、業界からは、証券法に基づいたSECの監督の仕組みが不透明で、暗号資産独自のルールを確立すべきだとの不満がくすぶっていた。

しかし、トランプ政権下でSEC委員長代行に指名された共和党委員のマーク・ウエダ(Mark Uyeda)氏は1月22日、SECのコミッショナーであり「Crypto Mom(クリプトママ)」として知られるヘスター・ピアース(Hester Peirce)氏が主導する暗号資産の規制体系を整備するための専門チーム(タスクフォース)を結成した。

SECによると、専門チームは議会が暗号資産関連法制を策定するのを支援し、米商品先物取引委員会(CFTC)など他の連邦機関や州、外国機関との調整に関与する役割も担うという。 

コインベースとSECの訴訟

SECは2023年、未登録の取引所、ブローカー、清算機関として運営している疑いがあるとして、コインベースを提訴した。SECはまた、コインベースのステーキングおよびウォレットサービスにも問題があると指摘した。

ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のキャサリン・ポーク・ファイラ(Katherine Polk Failla)判事は、ウォレット部分についてはコインベースの主張を認め、SECの主張を退けた。

裁判所は2024年3月、SEC対コインベース訴訟において、SECの主張に説得力があるとしてコインベースが行った棄却申し立てを却下し、SECのほとんどの請求を続行させると決定した。

しかし2025年1月7日、判事はこの問題を上級裁判所に委ね、「重要な法的問題に関する相反する判決は、第2巡回区の指導を必要とする」と述べた。

コインベースに対するSECの訴訟は、コインベースが第2巡回区からの回答を求める間、一時停止されることになる。

コインベースの弁護士は1月21日に提出した書類で、第2巡回区控訴裁判所に早急な審理を求めた。

また、コインベースの弁護士は「デジタル資産のセカンダリー取引が連邦証券法に該当するかどうかは、暗号資産産業、消費者、金融機関、そして指針を必要とする下級裁判所にとって非常に重要な問題だ」と述べ、「この訴訟はこの問題に対処し、この数兆ドル規模の産業に明確なルールを提供するための理想的な手段である」と主張した。そして、「デジタル資産のセカンダリー取引をどう扱うかという根本的な法的問題を決定する絶好の機会だ」とも述べている。

参考:提出書類
画像:iStocks/ablokhin

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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