仏捜査当局、バイナンスを詐欺容疑で捜査
仏捜査当局、バイナンスを詐欺容疑で捜査
フランスの捜査当局は、世界最大の暗号資産取引所であるバイナンス(Binance)に対し、資金洗浄、脱税、その他の容疑で司法調査を開始したと1月28日に発表した。バイナンスはこの容疑を否定している。
パリ検察庁の経済・金融犯罪部門(JUNALCO)は声明で、この捜査には麻薬密売に関連した資金洗浄も含まれていると述べた。
JUNALCOによると、捜査は2019年から2024年までの期間を対象としている。フランス国内だけでなく欧州連合諸国全体で行われた犯罪行為も対象としているという。
バイナンスの広報担当者は電子メールで「バイナンスは、これらの容疑を全面的に否定し、いかなる告発に対しても断固として対抗する」と述べ、この問題は「数年前のものだ」と主張した。
バイナンスの創業者で元CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏は昨年、米国の資金洗浄防止法違反を認め、懲役4カ月の判決を受けた。またバイナンスは43億ドルの罰金を支払うことに合意した。
数年におよぶ捜査の結果、米国の検察当局は、バイナンスは犯罪者を歓迎する「ワイルド・ウェスト(無法地帯)」モデルを採用し、指定されたテロ組織に関連する疑わしい取引を10万件以上報告しなかったと述べた。
バイナンスの広報担当者は28日の声明で、バイナンスはマネーロンダリング防止(AML)およびコンプライアンスに関して進展を遂げており、AMLおよび顧客確認(KYC)のための国際規制基準を導入し、従業員の研修を改善したと述べた。
フランスの捜査は、バイナンスのプラットフォームを通じて投資した後、誤った情報を伝えられたと主張するユーザーからの苦情を受けて開始されたと、検察庁は述べた。
ユーザーはまた、バイナンスが必要な承認を取得せずに取引を行っていたことにも苦情を出していた。
2023年6月、パリ検察庁はバイナンスが違法な顧客勧誘および「悪質なマネーロンダリング」に関与していたとして、予備捜査を開始したと発表した。
その当時、バイナンスの創業者であるCZ氏はX(旧Twitter)への投稿で、このニュースを「FUD(恐怖・不確実性・疑念)」と表現し、否定した。「FUD」は暗号資産業界でネガティブなニュースを却下するために使われる用語である。
バイナンスは現在、複数の国で訴訟や捜査に直面している。
今月、米最高裁判所はバイナンスおよびCZ氏を対象とした別の訴訟を進めることを認めた。その訴訟には、価値のほとんどを失った未登録トークンを違法に販売したとしてバイナンスを訴える投資家が関与していた。
昨年12月、オーストラリアの企業監視当局は、バイナンスの現地デリバティブ事業を提訴したと発表した。その訴えによると、同社は小口顧客を卸売顧客として誤って分類し、消費者保護を適用しなかったという。
規制当局は長年にわたり、暗号資産が犯罪に利用されるリスクを警告してきた。マネーロンダリングやテロ資金供与対策を担う国際組織である金融活動作業部会(FATF)は、暗号資産が「犯罪者やテロリストの金融取引の安全な逃避先となるリスクがある」と以前から警告している。
暗号資産業界は2022年に大きな打撃を受けた。主要な暗号資産企業の一連の破綻によって広範な詐欺行為や不正が明るみに出され、数百万人の投資家が莫大な損失を被った。しかし、最近数か月間、暗号資産価格は過去最高を更新しており、これは米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が暗号資産に対して積極的な姿勢を取っていることが影響している。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
French investigators open fraud probe against crypto platform Binance
(Reporting by Geert De Clercq, Makini Brice and Elizabeth HowcroftEditing by Ros Russell)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters
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参照元:ニュース – あたらしい経済