トランプ大統領がシルクロード創設者に恩赦、選挙公約を実行

トランプ大統領がシルクロード創設者に恩赦

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は1月21日、地下オンライン市場「シルクロード(Silk Road)」運営者のロス・ウルブリヒト(Ross Ulbricht)氏に恩赦を与えた。ウルブリヒト氏は、「シルクロード」により、ビットコインを利用した2億ドル以上の違法取引を行った罪で終身刑を宣告されていた。

トランプ大統領は、2013年に逮捕され、2015年に有罪判決を受けたウルブリヒト氏を釈放するという選挙公約を実行した。

「彼を有罪に追い込んだ連中は、現代の政府の武器化に私を巻き込んだ狂人たちと同じだ」と、トランプ大統領は自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」への投稿で述べた。

トランプ大統領は、この恩赦について「完全かつ無条件」であると述べた。また21日にはウルブリヒト氏の母親に直接電話し、このことを知らせたと述べた。ウルブリヒト氏はアリゾナ州の連邦刑務所に収監されており、釈放の時期は不明である。

ウルブリヒト氏の弁護士であるジョシュア・ドラテル(Joshua Dratel)氏は電子メールで「不公平が是正されたことを非常にうれしく思う 」と述べた。また同氏は、この恩赦によりウルブリヒト氏が「これまでの年月に成し得たであろう生産的な人生を送れる未来を確保できた」と述べた。

トランプ政権では、民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)前大統領の任期中に行われた規制当局による暗号資産分野への取り締まりについて、大幅な方針転換が予想されている。

トランプ大統領は5月に行われたリバタリアン全国大会での演説で、ウルブリヒト氏の刑を減刑する計画を発表していた。薬物合法化を支持するリバタリアン党は、ウルブリヒト氏の解放を求め、この事件を政府の権力行使の過剰な例であると主張していた。

ウルブリヒト氏の逮捕は、2011年からの2年間に10万人以上が2億1,400万ドル相当の違法薬物やその他の違法サービスを売買するために使用した、検察官が「世界的な闇市場のバザー」と呼ぶものの終焉を意味していた。

検察官当局によると、シルクロードで購入された薬物が原因で死亡した人々がいるという。

シルクロードのウェブサイトは、匿名で通信できる「トーア(Tor)ネットワーク」を利用し、ビットコインを支払い手段として受け入れていた。これにより、ユーザーが自分の身元や所在地を隠すことが可能だったと検察官は述べた。

検察官によると、ウルブリヒト氏は1987年の映画『プリンセス・ブライド』の登場人物にちなみ「ドレッド・パイレーツ・ロバーツ(Dread Pirate Roberts)」の名前でシルクロードを運営し、市場の運営を保護するために極端な手段を講じていたという。

これらの手段には、脅威となる数人の殺人を勧誘することも含まれていたというが、実際に殺人が実行されたという証拠は存在しないとも検察官は述べている。

ウルブリヒト氏は、自らが「シルクロード」を創設したことを認めているが、裁判で弁護人はこのサイトが「自由奔放なフリーマーケットの場」として意図されていたと主張した。しかし弁護団はウルブリヒト氏がその後、このウェブサイトを他者に引き渡し、最終的には「真の運営者たちの身代わり」としてサイト終了間際に誘い戻されたと主張した。

2015年5月の判決公聴会でウルブリヒト氏は、「私は人々が自分の人生を選択し、プライバシーと匿名性を持てるようにしたかった」と述べた。

2015年2月、マンハッタンの連邦陪審員は、ウルブリヒト氏がインターネットを介して薬物を配布し、コンピュータハッキングと資金洗浄を共謀した罪などで有罪と認定した。

現在は退任した米国地方裁判官キャサリン・フォレスト(Katherine Forrest)氏はウルブリヒト氏に判決を下す際に「あなたの行為は前例がないものだった」と述べ、「そして、その道を切り開いた最初の人物として、あなたはその結果に対して責任を負わなければならない被告として、ここに座っているのです」と伝えた。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Trump pardons Silk Road founder Ulbricht for online drug scheme
(Reporting by Ismail Shakil, Jasper Ward and Nate Raymond; Editing by Sandra Maler, Alexia Garamfalvi, Rosalba O’Brien and Cynthia Osterman)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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