イギリス元首相リズ・トラス氏「ビットコイン支持・CBDC反対」の姿勢
仮想通貨は中央銀行から権力を奪うのに役立つ
イギリスの元首相であるリズ・トラス氏は、2025年1月10日に公開されたPeter McCormack氏とのインタビューの中で、ビットコイン(BTC)を支持して中央銀行デジタル通貨(CBDC)に懸念を表明しました。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは、中央銀行が発行するデジタル通貨のことであり、現在は世界中でCBDCの発行を視野に入れた調査・研究・実証実験が進められています。
仮想通貨業界ではCBDCを批判する意見が多数出ていますが、トラス氏もCBDCに警鐘を鳴らしており、「ビットコインなどの仮想通貨は中央銀行から力を奪う可能性があるのに対して、CBDCは国家に莫大な力を与えてしまう」と指摘しています。
(動画内52:10〜)
私はビットコインと暗号資産を支持しています。それらは良いものであり、中央銀行から権力を奪うのに役立つと思います。中央銀行デジタル通貨のようなものには非常に懸念を抱いています。そのようなものは国家に莫大な権力を与えてしまうと思います。行き過ぎた国家権力は良いことではありません。
責任を問われない中央銀行という最悪の状況
トラス氏は今回のインタビューで「中央銀行は必要か」という質問にも回答しており、「それは興味深い質問だ」と語った上で「もし中央銀行が必要だとしても責任を果たすべきだ」と述べています。
また、トラス氏は「現状は責任を問われない中央銀行が存在するという最悪の状況になっている」とも指摘しており、「インフレ率の高騰、長期にわたる量的緩和、資産価格の急騰、その結果としてのインフレ、これらはすべて過去に学んだ教訓を無視した結果だ」と語っています。
(動画内51:12〜)
それは興味深い質問ですね。もし中央銀行が必要だとしても、責任を果たすべきです。しかし現状では「責任を問われることのない中央銀行」という最悪の状況になっています。ゴードン・ブラウン氏が中央銀行を独立させた結果、何が起こったかを見れば明らかです。インフレ率は非常に高くなり、量的緩和はあまりにも長期間続きました。資産価格の急騰が起き、結局は非常に緩い政府の財政政策を紙幣の増刷で支えることになりました。
それが現実であり、その結果としてインフレが発生しました。当初、それが一時的なものであると説明されていましたが、実際には一時的ではありませんでした。過去の教訓はすでに学ばれていたにもかかわらず、それが活かされることはありませんでした。そして、そのことによってイギリス国民に甚大な苦痛をもたらしたにもかかわらず、誰も責任を問われていません。
大量の紙幣発行を続ける中央銀行や、そのような状況下で検討されるCBDCには様々な方面から懸念の声が上がっており、「CBDCが主流になるとお金のプライバシーが奪われ、不当な理由で資産が凍結される可能性がある」と指摘する意見も出ています。
一方、ビットコインなどの仮想通貨は総発行枚数が決められた中央集権的な管理者が存在しない通貨であるため「透明性が高い次世代の世界通貨になる」と期待されていて、世界中でビットコインを法定通貨にすることを望む声も数多く出ています。
最近では仮想通貨支持派の政治家も増えてきていて、米国のドナルド・トランプ次期大統領も「ビットコイン支持、CBDC反対」の方針を示しているため、今後はその他の国でも仮想通貨とCBDCに関する議論が加速することになると予想されます。
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Souce:Peter McCormack氏YouTube
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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