【Web3人材マネジメント協会が発足】代表理事の小宮滉氏にインタビュー
2024年11月21日、一般社団法人Web3人材マネジメント協会(以下、Web3人材マネジメント協会)の設立が発表されました。
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Web3業界における人材育成をリードする「一般社団法人Web3人材マネジメント協会」設立のお知らせ
Web3業界を支える人材の育成を目的としており、発足時点で27の組織が加盟しています。
ブロックチェーンに関する業界団体がいくつか存在する中で、なぜ人材育成に特化した組織を新たに立ち上げたのでしょうか。
そこで今回は、Web3人材マネジメント協会の狙いや今後の活動計画について伺うべく、代表理事である小宮 滉氏へインタビューを行いました。
以下の疑問にお答えいただき、Web3人材マネジメント協会が描く構想に迫ります。
- Web3人材マネジメント協会を組織した理由とは?
- 現状のWeb3業界が抱える課題点とは?
- Web3人材マネジメント協会が描く今後の展開とは?
Web3を活用したビジネスに関心のある方やブロックチェーン業界で働いてみたい方は、ぜひ最後までご覧ください!
ミスマッチのない雇用創出を目指して
ーーまず、代表理事である小宮様のお取り組みについて、教えてください。
小宮氏:僕は、主に2つのビジネスを展開しています。
1つ目が、日本におけるスタートアップの経営です。人々が自身の力を最大限に発揮できる世の中を実現するために、採用コンサルティングやシステム開発を手掛ける企業「GUILD株式会社」を創業しました。
GUILD株式会社では、以下に挙げる3つのサービスを提供しています。
- インテントキャリア・・・高年収で専門的なスキルに特化した求人サービス
- フリーランスエージェント・・・フリーランス向けのマッチングサービス
- SES・・・高度な人材を迅速に提供し、システム開発を支援
現在はWeb2系の求人に焦点を当てているものの、将来的にはWeb3人材のマッチングにも注力していく計画です。
2つ目が、日本とアフリカをターゲットとしたWeb3ゲームギルド「Ninja Game Guild」の運営です。
2021年頃、AxieInfinityに触れていた中で、アフリカ地域のプレイヤーが多い事実に衝撃を受けました。そしてアフリカ市場に秘められたポテンシャルを確信して設立したのが、「Ninja Game Guild」です。現在では、このコミュニティを通じてマーケティングやコンサルティング、開発支援を手掛けています。
Web3人材の育成に取り組む意義とは
ーーWeb3人材マネジメント協会を立ち上げた目的について、お聞かせください。
小宮氏:より多くの人にWeb3との接点を持ってもらう目的で、Web3人材マネジメント協会を組織しました。
日本のWeb3を盛り上げるには、ブロックチェーン業界に従事する就労者の数を増やす必要があります。そしてWeb3人材を拡充する上で、まず何よりも人々にWeb3への関心を向けてもらわなければなりません。
そのために重要なのが、Web3との接点です。Web3に触れる人が多ければ多いほど、ブロックチェーン業界に挑戦する人の数も増えるはずだからです。そこで、Web3の世界において求められる知見を社会へと伝播させるために、Web3人材マネジメント協会を立ち上げました。
ーー現状のWeb3業界において、人材育成の観点でどのような課題があるとお考えですか。
小宮氏:現状の課題は、Web3に関する知識をカジュアルに入手できない点です。
ほとんどの人にとってWeb3は未知の領域であり、漠然としたイメージに留まっているようです。また、仮に自分で学習しようとしても、体系的な情報を得られる場所は限られていました。このような環境が影響し、ブロックチェーン業界は求職者にとって縁遠い存在となっていたのです。
ブロックチェーン業界で働くとなると、以下のようにWeb3ならではのノウハウが要求されます。
- トークン発行やNFT発行に関する法務の知見
- Web3プロジェクト特有のマーケティング戦略
- スマートコントラクトの開発などのブロックチェーンエンジニアリング
とはいえ、これらの知識を提供する場が少なく、業界全体にとっての課題となっていました。人材が不足したままでは、産業の発展に繋がらなくなってしまいます。また長期的な視点でWeb3市場の発展を考えた場合、海外での人材育成や雇用の流動性改善も求められるようになるはずです。
このような諸問題に立ち向かうには、一社単独の施策では不十分です。そこで日本のWeb3企業が足並みを揃えるべきだと考え、業界団体の設立を決意しました。
ーーブロックチェーンに関する業界団体は、既にいくつか存在しています。そのような中で、新たな業界団体を設立した理由について、教えてください。
小宮氏:Web3人材マネジメント協会を立ち上げた理由は、人材育成に特化した組織が必要だと考えたからです。
たしかに、以前からブロックチェーンに関する業界団体はいくつか存在していました。ただ、これらの組織は税務や法令の整備に主眼が置かれているため、教育分野の優先度は必然的に下がってしまいます。そこで人材育成にフォーカスした団体が必要だと感じ、Web3人材マネジメント協会を立ち上げました。
無論、既存の業界団体による献身的な活動によって、日本におけるWeb3のルール整備は確実に前進しています。ただ、その制度を活かすためには、まず何よりもWeb3人材の拡充が不可欠です。
しかし残念なことに、ブロックチェーンに関わっている日本人の数は、まだごく少数に留まっています。実際に、日本全体における暗号資産口座の開設数は、証券会社1社の口座開設数を下回っているほどです。日本のブロックチェーン市場を盛り上げるには、Web3についての知識をより多くの人に習得してもらう必要があります。
このような背景から、人材育成に特化した組織としてWeb3人材マネジメント協会を発足させました。
ーーWeb3人材マネジメント協会の活動内容について、お聞かせください。
小宮氏:Web3と人々との接点を作るために、Web3人材マネジメント協会では以下の施策に取り組みます。
- 資格講座や教育コンテンツの提供
- イベントの開催
- 勉強会とワークショップ
それぞれ深掘りします。
1.資格講座や教育コンテンツの提供
現在、加盟企業の協力を得ながら教育教材の制作に力を入れています。まずはウェブサイト上で楽しめるカジュアルなクイズなどのコンテンツから取り組み、徐々により専門的な内容も網羅していく計画です。
受講者からのフィードバックを元に改良しつつ、将来的には公的な資格として通用するレベルの講座を展開したいと考えています。
2.イベントの開催
2025年以降、月に1回ほどのペースでイベントを開催していく予定です。さまざまな組織と連携して企画を運営し、会員企業同士の親睦を深めていきます。
3.勉強会とワークショップ
会員企業が積極的にWeb3ビジネスへと挑戦できるように、勉強会とワークショップ
を通じてスキルセットの底上げを図ります。
将来的には、ブロックチェーンにまったく縁のなかった企業もWeb3施策を検討する時代が訪れるでしょう。このような会社の受け皿として機能すべく、勉強会や研修を充実させていきます。
まずは上記に挙げる3つの施策を最小規模で実施し、フィードバックをいただきながらブラッシュアップしていく計画です。幅広いアプローチによって、多方面からWeb3人材の育成に貢献していきます。
ーーWeb3人材マネジメント協会の運営メンバーを教えてください。
小宮氏:代表理事である僕を筆頭に、以下6名の理事が参画しています。
- 早川 裕太(株式会社WAVEE)
- 小澤 孝太(CryptoGames株式会社)
- 岩崎 翔太(株式会社Pacific Meta)
- 吉田 将人(ピーキー株式会社)
- 渋谷 竜響(一般社団法人学生web3連合)
- 山田 耕三(Digital Entertainment Asset Pte. Ltd.)
主に、Web3スタートアップの経営者として活動されている方が多いです。どのメンバーも共通認識としてWeb3人材の少なさには課題感を持っていたようで、僕が理事への就任を打診したところ快諾いただきました。
ーーWeb3人材マネジメント協会について、加盟団体の数を教えてください。
小宮氏:法人会員は23社で、コミュニティを含めると27団体が所属しています。
以下に掲げる図のように、法人の業種や属性はさまざまです。
加盟企業を募るにあたり僕が各社へお声がけしたところ、各社から賛同を得られました。「Web3人材が足りない」や「体系化された教育コンテンツがない」といった悩みを抱えている法人が多く、企業のニーズと協会設立の趣旨が合致したようです。
各社ともブロックチェーン事業に対して高い熱量を持っているため、相互協力のもとでWeb3人材の育成が加速するはずです。
人材育成を通じて、Web3業界の発展を後押しする
ーーWeb3人材マネジメント協会の設立発表について、ブロックチェーン業界の方からの反響をお聞かせください。
小宮氏:多くの方からポジティブな反応をいただきました。
Web3業界に携わる人の中には、人材育成が課題だと感じていた方も多かったようです。そのため、今回のプレスリリース発表後には好意的な意見が数多く寄せられました。
また、個人や法人を問わず「入会を検討したい」との問い合わせも届いており、人材育成に対するニーズの強さを実感しています。今後は協会としての実績を増やし、Web3人材育成の重要性を理解してもらうよう努めていきます。
ーー2025年以降の活動計画について、お聞かせください。
小宮氏:2025年以降、Web3人材マネジメント協会主催の企画が本格的に始動します。
まず、2025年2月から定期的にイベントを開催する計画です。教育教材もリリースする予定で、既に協会内ではコンテンツ制作に取り掛かっています。加えて、書籍出版も視野に入れているところです。
社会から認知を獲得できるよう精力的に活動し、実績を積み重ねていきます。
ーーWeb3人材マネジメント協会の運営について、長期的なビジョンをお聞かせください。
小宮氏:業界の発展に寄与するため、Web3人材が継続的に増え続ける仕組みを実現します。
現状ではWeb3について体系的に学ぶ機会が少ない上に、日常生活で接する機会も限られています。そのため、たとえ学習する意欲があったとしても、何から始めれば良いか分からないのが実態です。このような状況を改善するには、まずWeb3に関する教育体制を整える必要があります。
参考にすべき事例として、ITエンジニア向けのプログラミングスクールが挙げられます。2018年頃から多くのプログラミングスクールが台頭しました。その結果、ITエンジニアの人材が大幅に増加したのです。一過性のブームで多くの弊害を生んだ事実もありますが、この時に誕生した優秀なエンジニアは今でも業界で活躍しています。プログラミングスクールの実例は、教育体制の規模が就労者の人数に影響を与えた証左だと言えるでしょう。
同じように、Web3との接点があると業界内に参入してくる人も増えるはずです。実際に、僕自身は求人サイトで目にしたコインチェックの募集要項がきっかけとなりクリプトの世界に入りました。もしあの時Web3企業の求人情報と出会わなければ、この業界には入っていなかったでしょう。Web3人材マネジメント協会の活動を通じて、このような行動変容の機会を提供していきたいと考えています。
ーー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
小宮氏:Web3業界でのビジネスに興味をお持ちの場合は、ぜひWeb3人材マネジメント協会への加盟をご検討ください。
長年ブロックチェーン業界に携わっている企業だけでなく、Web3を活用したビジネスに関心を抱いている法人も加入できます。また、Web3業界での就労を希望する個人の方も大歓迎です。
ネットワークをさらに広げていきたいと考えているため、Web3ビジネスへの参入に意欲のある方はカジュアルにお問い合わせページからご連絡ください。
▼一般社団法人 Web3人材マネジメント協会の詳細はこちら
- Web3人材マネジメント協会 ウェブサイト:https://web3-management.jp/
- Web3人材マネジメント協会 公式X :https://x.com/Web3_Manage
- 代表理事 小宮 滉氏 X :https://x.com/komiya5395
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