ヴィタリックがイーサリアムのPoS改良を提案、ステーキング最低額を1ETHに

ヴィタリックがイーサリアムの大型提案を発表

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムが現在採用しているコンセンサスアルゴリズムに大きな改良を行う大型提案を10月14日に発表した。

イーサリアムは2022年に実施されたアップグレード以降、コンセンサスアルゴリズムにPoS(Proof of Stake)を採用している。今回のヴィタリックの提案は、このPoSシステムが抱える課題を解決するためのもので、多くの変更を含む大型提案である。

主な内容は、バリデーターとしてステーキングに参加するために必要なETHの最低数量を32ETHから1ETHに引き下げること。これによりネットワークの分散化を図るという。

現在イーサリアムは、バリデーターとして参加するために約1200万円相当である32ETHをステーキングする必要がある。そのため個人でバリデーターになる障壁が高いのが現状だ。イーサリアムのステーキングでは、大きな資産を持つユーザーや、リキッドステーキングプロバイダーなどのステーキングを代行する事業者がバリデーターの大部分を占めており、この中央集権性について以前から問題視されてきた。

この提案が採用されると、比較的小さい資金でのバリデーター参画が可能になるため、これまでバリデーターになれなかったユーザーがバリデーターとして参加することでネットワークの分散化になると想定される。

また現在のイーサリアムは、トランザクションが巻き戻せない状態に確定される「ファイナリティ」に約15分かかる設計だ。この「ファイナリティ」までの時間が短いほど安全性が高まり、複雑な取引の迅速化など利便性の向上が見込まれる。

今回の提案では、「シングルスロット・ファイナリティ(SSF)」の導入により「ファイナリティ」までの時間を12秒に短縮することが計画されている。これにより前述したバリデーター増加でのネットワーク負荷に対処でき、イーサリアムをパフォーマンス重視のネットワークに引けを取らない高速なネットワークにすることが可能だという。

なお「シングルスロット・ファイナリティ」は、現在2エポックにまたがって行われるファイナリティを1スロットで行うというものだ。1エポックは32スロットで、1スロットごとに1ブロックが生成される仕組みだ。

ヴィタリックは、イーサリアムに関する提案を定期的に発表している。現在予定されているイーサリアムの次期アップグレード「ペクトラ(Pectra)」でもヴィタリックは提案を行っている。その提案は、ユーザーのウォレットを一時的にスマートコントラクトと同じように扱うことを可能にするもので、「ペクトラ」での採用が決まっている。

参考:ヴィタリックブログ
画像:大津賀新也(あたらしい経済)

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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