ビットコインマイニングの収益激減、主な原因と業界の現状
マイニング収益、年間最低を記録
2024年9月2日、仮想通貨マイニング業界に衝撃が走りました。ビットコイン(BTC)マイナーの8月の収益が、前月比で約1億ドル(約1億4,700万円)減少したことが明らかになりました。この数字は、業界全体が直面している厳しい現実を如実に物語っています。
The Blockが公開したデータによると、2024年8月のビットコインマイナーの総収益は8億5,136万ドル(約1,251億円)でした。これは7月と比較して9,975万ドル(約146億円)もの減少となり、2023年9月以来の最低水準を記録しています。
この収益低下の主な要因として、以下が挙げられます。
- ビットコインの価格低迷
- ハッシュレートの上昇による競争激化
- オンチェーン手数料の減少
特にオンチェーン手数料は7月と比べて414万ドル(約6億円)も減少し、昨年以来の最低水準となりました。これは、ネットワーク上の取引活動が低調であることを示しています。
大手マイニングプールによる寡占化が進行
興味深いことに、8月の収益状況は、マイニング業界の二極化をより鮮明にしました。Foundry USAとAntpoolという2つの大手マイニングプールが、全体の収益の半分以上を獲得している状況にあります。
この状況は、以下のような業界の傾向を反映しています。
- 収益性の低下
- 電力コストの上昇
- 機器の更新費用の増大
- 競争激化による利益率の圧迫
また、ビットコインステーキングプロジェクトであるBabylonの登場により、一時的に手数料が高騰した際、これらの大手プールが高額手数料ブロックの恩恵を受けたことも注目されています。
2大プールがBTC採掘を支配?
マイナーを取り巻く厳しい環境
4月に実施されたビットコインの半減期の影響は、依然としてマイニング業界に大きな影を落としています。ハッシュプライス(マイニング報酬の指標)は低水準で推移し、オンチェーン参加者も最小限の手数料しか支払わない傾向が続いています。
この状況下で、マイナーは以下のような課題に直面しています。
- 収益性の低下
- 電力コストの上昇
- 機器の更新費用の増大
- 競争激化による利益率の圧迫
一方で、この厳しい環境は業界の淘汰と効率化をもたらす可能性もあります。生き残りをかけて、より効率的な運営やイノベーションが求められるでしょう。
ビットコインマイニング業界は、かつてない挑戦に直面しています。しかし、この苦境を乗り越えた先には、より強靭で持続可能な産業構造が待っているかもしれません。今後の展開に、業界関係者のみならず、仮想通貨市場全体が注目しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.09円)
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執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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