金融技術のグローバルハブに向け「デジタル資産規制」を強化:香港
香港が仮想通貨を含むデジタル資産規制の強化に向けて具体的な動きを見せています。香港特別行政区立法会(技術と革新)のメンバー、デビッド・チウ氏は、最近開催されたフォーサイト2024年次サミットで、今後18カ月以内、つまり2025年末までにデジタル資産規制を強化する方針を明らかにしました。これは、香港が金融技術のグローバルハブを目指す上で重要な一歩となります。
チウ氏は、テック人材の誘致、新しいインフラの構築、そして強固な立法監督の確立に向けた香港の戦略計画を説明しました。「デジタル資産業界は過去数年間で大きな進展を遂げたが、まだ非常に初期段階にある」と述べ、「健全な取引システムを確立し、ステーブルコインに関連する立法を早急に導入すべきだ」と強調しました。
香港金融管理局(HKMA)は、デジタル資産規制強化の一環として、2023年7月18日にステーブルコイン発行者サンドボックスプログラムの第一陣参加者を発表しました。注目すべきは、JDテクノロジーグループの子会社、ジンドン・コインリンク・テクノロジー・ホンコン・リミテッドの参加です。同社は、香港ドル(HKD)に1:1で連動するステーブルコインの発行を計画していますが、サンドボックスへの参加が直ちに承認やライセンスの取得を意味するものではないと慎重な姿勢を示しています。
このプログラムには、ジンドン・コインリンク以外にも、地元のフィンテック企業や、スタンダードチャータード銀行、アニモカ・ブランズ、香港テレコミュニケーションズによる連合体など、多様な参加者が名を連ねています。これら参加者の顔ぶれは、香港が目指すデジタル金融ハブとしての多様性と革新性を反映しているといえるでしょう。
ステーブルコインは法定通貨などの安定した資産に連動する仮想通貨の一種で、2024年末までに香港で導入される予定です。チウ氏によると、サンドボックステストは既に実施されており、政府は2024年末から2025年半ばまでにデジタル資産金融商品に関連する立法の監督と執行を強化することを目指しています。
香港の仮想通貨に対する積極的なアプローチは、革新を促進しながら規制の監督を確保することを目指しています。この姿勢は、2023年7月23日に中国最大の資産運用会社の一つであるCSOPアセットマネジメントが、香港でアジア初のビットコインETF先物インバース商品を発売したことからも見て取れます。
CSOPビットコインフューチャーデイリー(-1x)インバースプロダクト(7376.HK)は、2022年12月に同社が成功裏にローンチしたビットコイン先物ETF(3066.HK)に続くものです。これらの動きは、香港がデジタル資産分野でのイノベーションと規制のバランスを取ろうとしていることを示しています。
チウ氏は、この取り組みが2024年から2034年の間にテック産業にとって重要であると強調しています。次の段階では、プロジェクトの関係者が香港でより革新的な金融商品を探求することを奨励する予定です。
香港のこの規制強化の動きは、世界的に仮想通貨規制の枠組みが具体化に向けて動き出している中で注目されます。EU諸国でも同様の動きが見られ、グローバルな仮想通貨市場は大きな転換点を迎えつつあります。
今後、香港がどのように規制当局と事業者、そして利用者の三者のバランスを取るかが鍵となるでしょう。香港の取り組みは、アジアおよび世界の仮想通貨規制の行方を占う上で重要な指標となりそうです。
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