ヴィタリック、「親クリプト派という理由だけで候補者を選ぶべきでない」と警告

ブログにて警告

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、米選挙において、「暗号資産推進派」であるだけで候補者を選ぶべきでないという考えをブログにて7月17日に共有した。

タイトルは「 “クリプト推進派 “を基準に政治的忠誠を決めることに異議あり:Against choosing your political allegiances based on who is “pro-crypto”」だ。

ブテリン氏は、昨今世界中でみられる暗号資産への規制の取り組みの多くは概ね妥当だとした上で、政府がほぼすべての暗号資産を証券として扱ったり、セルフカストディアルウォレットを禁止したりといった極端な措置に出るのではないかという懸念を示した。

またこのような懸念から暗号資産業界では、政治的活動への動きが強まっており、親暗号資産派の候補者や政党が支持を集めていると指摘。しかしブテリン氏はこのような傾向に反対し、こういった理由で意思決定することは、そもそも暗号資産の世界に飛び込んだ価値観とは反するのではないかと主張した。

ブテリン氏の主張

ブテリン氏は、暗号資産の世界において、「お金」の重要性と「お金」の保有・使用に関する自由が政治問題として過度に注目されると指摘。

しかし暗号資産を生み出したのは、個人の自由を保護し強化する方法として自由でオープンなテクノロジーを主張するサイファーパンク運動であり、暗号資産とブロックチェーンに限定されるものではないとした。

ブテリン氏は、「自由は重要であり、分散型ネットワークは自由を守るのに適しており、お金はそのようなネットワークが適用される重要な分野である。しかしそれは、いくつかある重要な分野のうちの1つにすぎない」と述べている。

暗号資産で何かをする自由と同じくらい考慮されるべき技術的自由としてブテリン氏は、「コミュニケーションの自由とプライバシー」、「自由とプライバシーに配慮したデジタルID」、「自由と思想のプライバシー」、「情報への質の高いアクセス等の技術的な自由」が考慮されるべきだと強調した。

ブテリン氏は、「暗号資産としてのクリプトを支持するのではなく、その根底にある目標、そしてその目標が意味する一連の政策に耳を傾けてほしい」と呼びかけている。

さらにブテリン氏は、暗号資産支持派の候補者が「今暗号資産に優しいからといって、5年後にも優しいとは限らない」と指摘。過去の候補者の見解を調べることを促した。

また、候補者が暗号資産支持派であるという理由のみでその候補者を支持しているという印象を公にすることは、政治家が票集めに必要な手段として暗号資産を支持すればいいといったインセンティブを生み出しかねないとブテリン氏。

「重要なのは、彼らが正しい理由でクリプトに賛成しているかということ」であり、「(候補者が)テクノロジーと政治と経済が21世紀にどうあるべきかについて、あなたと一致するビジョンを持っているか」に重きをおいて候補者を選ぶべきだと主張した。

さらにブテリン氏は、暗号資産に好意的な「権威主義的な政府」は警戒するに値するとし、その例としてロシア政府を挙げた。

ロシア政府は、国際的な制裁を回避するために暗号資産を受け入れる一方で、国内での使用は制限し国民への監視は維持するという2つの相反する政策をとっているとブテリン氏は批判した。

反対意見も

世界最大手のWeb3リサーチ企業メッサリ(Messari)の共同創設者であるライアン・セルキス(Ryan Selkis)氏は、「私はヴィタリックを尊敬しているが、彼は常にクリプトの世界で最もナイーブで役に立たない政治評論家の一人だ」と述べ、理想主義は現実主義ではないとし、ブテリン氏の考えを否定。また、カナダとロシアの国籍を持つブテリン氏がアメリカの政治に口をはさむべきではないと続けている。

VCのヴァリアント(Variant)の最高法務責任者であるジェイク・チェルヴィスキー(Jake Chervinsky)氏は、ブテリン氏の主張を「堅実」と評価したが、同ブログは全体的に「中途半端に賢すぎる」とし、 「良いクリプト政策には、暗号資産推進派の候補者を選出する必要がある。 政治的現実は常に理想主義に勝る」と述べた。

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参考:ブログ
images:大津賀新也(あたらしい経済)

参照元:ニュース – あたらしい経済

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