【業界初】安全運転ドライバーに「NFT証明書」を発行|トヨタ・KINTOが実証実験
安全運転のNFT証明書に関する実証実験を実施
トヨタ自動車が提供する車のサブスクリプションサービス「KINTO」は2024年5月22日に、安全運転を行うドライバーに「NFT証明書」を発行して、その証明をブロックチェーン上に記録する実証実験を2024年6月から開始することを発表した。
KINTO(キント)は、月々定額でトヨタの新車や中古車に乗れるサブスクリプションサービスであり、購入時の諸費用・自動車保険・税金・メンテナンス料などといった車にかかる費用をコミコミで支払うことができる点を特長としている。
今回発表された実証実験は、ブロックチェーンやNFTなどの技術を活用して「ドライバーの安全運転」を証明・記録する新しい取り組みで、安全運転のNFT証明書をもとにして各種モビリティサービスなどをリーズナブルに利用できる仕組みの構築が検討される予定となっている。
サブスク車両の運転データから「安全運転」を認定
具体的には、トヨタのコネクティッド技術でサブスクサービスの車両から収集した運転データを分析し、トヨタとKINTOが定めた基準に基づいて「安全運転を行うドライバー」を認定する。
安全運転を行っているドライバーには「KINTO独自のNFT証明書」が発行され、その証明が改ざん不可能なブロックチェーン上に記録されることになる。
NFT証明書の発行では、他人に譲渡することができないように設計された特殊なNFTである「Soulbound Token(SBT)」が利用される。
ソウルバウンドトークン(Soulbound Token/SBT)は他のアカウントやウォレットに送信することができないため、「そのNFT証明書は自分が取得したものである」ということを証明することができる。
NFT証明書は各種モビリティサービスを手頃な価格で利用できるようにするための仕組みの構築に活用されると報告されているため、これが実現すれば普段から安全運転を心がけている人にとって嬉しいサービスが実現する可能性がある。
NFT証明書の実証実験概要
今回発表された「安全運転のNFT証明書」に関する実証実験の概要は以下の通りだ。
実証実験の概要
実証実験は2024年6月1日〜2024年11月30日までの期間にかけて実施される。対象者はサブスクリプションサービス「KINTO Unlimited」を提供しているプリウス、ヤリス、ヤリスクロスのUグレードを契約中の顧客となる。
安全運転の評価方法
実証実験では「プリウス、ヤリス、ヤリスクロス」の3車種を契約中の顧客向けにすでに提供されている「コネクティッドドライブトレーナー」の仕組みを活用する。
コネクティッドドライブトレーナーでは、トヨタが自社のコネクティッドサービス「T-Connect」を通じて車両から収集した顧客の運転データを「アクセル、ブレーキ、ハンドル、ウィンカー、バック」の5つの安全項目で細かく分析する。
運転データを分析した後は、各5項目を「S・A・B・C・D」の5段階で評価し、これにもとづいて、KINTOが安全運転につながるポイントをアプリ上でドライバーにアドバイスする。
「コネクティッドドライブトレーナー」のイメージ(画像:KINTO)
NFT証明書発行の仕組み
今回の実証実験では、実験期間を前半の3か月間(6月1日~8月31日)と後半の3か月間(9月1日~11月30日)の2回に分けたうえで、上記の5つの項目がすべて「S」となった月の数をそれぞれカウントしていく。
NFT証明書には「ゴールド・シルバー・ブロンズ」という3つのランクがあり、5項目すべての評価が「S」だった期間に応じて以下のようにランクが付与される。
【ゴールド】
前半・後半にかかわらず、1回の期間で3か月間いずれも5項目すべてが「S」だったドライバー
【シルバー】
前半・後半にかかわらず、1回の期間で2か月間いずれも5項目すべてが「S」だったドライバー
【ブロンズ】
前半・後半にかかわらず、1回の期間で1か月間いずれも5項目すべてが「S」だったドライバー
【NFT証明書発行の例】
前半の3か月いずれも5つの項目がすべて「S」で、後半の3か月のうち1か月「S」だった場合は、「ゴールド」と「ブロンズ」の証明書をそれぞれ1枚ずつ発行
NFT証明書は「KINTO Unlimited」専用のアプリを通じて、ドライバーが用意したウォレットに送付される。
さらに、前半・後半の期間でいずれも「ゴールド」だったドライバーには、安全運転ドライバーの最上位に位置づけられる「エキスパート」の証明書が発行される。
なお、安全運転ドライバーにNFT証明書を発行して、ブロックチェーン上に記録する試みは業界初であるとのことだ。
こちらの記事もあわせてどうぞ
(KINTO発表)