兼松、ブロックチェーン活用「TradeWaltz」で書類保管を全面電子化に

兼松が「TradeWaltz」を活用開始

東証プライム上場の専門商社である兼松が、ブロックチェーン活用の貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz(トレードワルツ)」の活用開始を5月14日発表した。これにより今まで紙で保存していた輸入関係書類を電子保管へ全面切り替えし、新規の紙保管の廃止が実現したとのこと。

兼松では、今まで輸入書類の保管や、ほぼ毎年実施される事後調査時の紙の書類準備に多くの時間と労力を要していたという。これらの改善のため、同社では実務目線で保管機能に対するフィードバックや、「トレードワルツ」を事後調査に利用することの監督税関への説明、社内の運用整理などの準備を半年以上かけて進め、2024年4月からTradeWaltzを利用した電子保管へと全面切り替えを実施したとのこと。

具体的には「トレードワルツ」を利用した電子保管により、日々の紙の印刷、ファイリング、書類の倉庫への発送が不要となるため、保管スペースや倉庫の保管料削減が可能になったとのこと。

さらに、許可情報に紐づく書類情報が可視化、一元管理されるため、関税関係帳簿と書類情報の確認が容易にでき、保管漏れを防ぐことは勿論のこと、申告内容の確認を含んだ、コンプライアンスレベル向上に寄与するという。また加えて、事後調査時に、倉庫に保管した紙書類の搬入出作業が不要、リモートで情報の検索が可能となるため、事後調査時の輸入者、税関職員、双方の業務負荷削減にも貢献しているとのこと。

「トレードワルツ」の「関税関係帳簿の保管」および「取引情報紐づけ」機能により、許可書情報を構造化データで一元管理することで電子的な関税関係帳簿とすることができ、さらに各許可情報が対象の取引情報と紐づけられることにより、取引後に税関が行う事後調査にも活用できるという。「トレードワルツ」内での電子書類保管時にタグ付けしたインボイス番号などの共通キーワードをもとに、輸入許可データと書類の関連付けを自動で行えるようになったとのこと。

なお電子保管への切り替えにより社内からは「紙保管よりも大幅に作業時間が減った」「必要に応じて輸入書類を検索できるので便利になった」などの声が挙がっているとのことだ。

トレードワルツとは

トレードワルツ社はNTTデータ、三菱商事、豊田通商、東京海上日動火災保険、三菱UFJ銀行、兼松、損害保険ジャパンの大手7社の共同出資によって2020年4月に設立され、その後政府の支援や東京大学のベンチャーキャピタル、物流会社2社等の共同出資をうけ、現在は16社共同出資の産官学スタートアップとして活動している。

また2020年11月以降に貿易のデジタル化、DXを目標に事業開始し、伊藤忠商事や双日、住友商事、三井物産、富士フィルム、三井住友銀行、NEC、ブルボンなどがトレードワルツの「貿易情報連携効率化・普及に向けたコンソーシアム(通称:貿易コンソーシアム)」に参加。今年1月には同コンソーシアムの会員企業数は250社を突破している。

また「TradeWaltz」は、貿易業務における紙書類の処理プロセスなどを簡略化し、業務の効率化をするブロックチェーン活用のプラットフォームだ。導入により業務効率化の他、リモートワークの促進もできるという。なお「TradeWaltz」にはエンタープライズ向けブロックチェーン基盤である「Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャーファブリック)」が採用されている。

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参考:兼松
images:iStocks/artsstock

参照元:ニュース – あたらしい経済

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