三井住友ファイナンス&リースがブロックチェーン活用の資産管理システムを開発、ST関連の概念実証実施も
資産管理システムにブロックチェーン技術を導入
リース大手の三井住友ファイナンス&リース(SMFL)が、ブロックチェーン活用の資産管理システムを開発し、現物・資産管理クラウドサービス「アセットフォース(assetforce)」の機能を拡張したと3月22日発表した。
同システムはSMFLが米バターロ(Vertalo, inc)社と共同で開発したという。バターロ社はST発行・管理を行うSaaS企業で、米証券取引委員会(SEC)にも登録されているとのことだ。
同システムの第一弾の用途としてSMFLは、「セキュリティトークン(ST)」に関わるデータ管理とST発行業務を一元管理する仕組みの概念実証(PoC)を実施したという。
発行会社が従来の株式や社債等に代わり、ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行するトークンに株式や社債等を表示するSTで資金調達するSTOには、発行体・証券会社・アセットマネジメント会社・信託銀行など複数の関係者が参加するとのこと。
現状は、資産情報などのデータの関係者間の受け渡しが手管理対応となっていることが多く、対象資産の情報連携に時間を要することやデータの精度・安全性の確保が課題になっているとSMFLは指摘する。
そこでSMFLは、「アセットフォース」の資産情報管理機能と、バターロ社のブロックチェーンを利用した資産データの書き込み・保管技術を連携させ、ST組成に関わる複数の関係者間の情報の受け渡しを一元管理できるシステムを開発し、概念実証を実施したという。
同システムを利用することで、資産登録・ファンド組成・投資実行・取引処理・ポートフォリオ管理など、複数の関係者間で行われる一連のプロセスを「アセットフォース」上で一元的に実行できる。
これにより業務作業が効率化され、データの精度・安全性を高めることが可能になるとSMLは説明している。
また、SMFLグループのSMFLレンタル株式会社において、計測器の在庫・貸し出し・校正作業・修理対応などの履歴管理を強化するため、同システムを活用した資産管理を導入予定とのこと。
レンタル開始時や売却時に物件の所在・状態などの履歴情報を正確に把握することで、再利用可能な使用済み製品の可視化、円滑な製品の調達、レンタル開始時に点検履歴の真正性を証明することが狙いだ。
またSMFLは、中古PC・IT機器のライフサイクルマネジメントにおけるキッティングやデータ消去実施の履歴管理においても、同システム活用の資産管理を検討しているという。
履歴管理を強化し、使用済み製品の再利用または中古品の取引や価値を活性化させることで、SMFLは循環経済を推進するとのこと。これら実現に向けた機能を「アセットフォース」に実装し、2024年度中の実用化を目指すとSMFLは伝えている。
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参考:SMFL
images:iStock/ThinkNeo
参照元:ニュース – あたらしい経済