イーサL2アービトラムの「Arbitrum Orbit」がメインネットで利用可能に、セレスティア統合も

「Arbitrum Orbit」がメインネットで利用可能に

独自ブロックチェーンの構築をサポートするツールパッケージ「アービトラムオービット(Arbitrum Orbit)」が、メインネットで利用可能になった。10月27日にアービトラム公式X(旧ツイッター)で発表された。

「アービトラムオービット」は、イーサリアム(Ethereum)L2アービトラム(Arbitrum)を開発するオフチェーンラボ(Offchain Labs)提供のツールパッケージ。今年6月にリリース開始されている。

同パッケージでは、メインネットの「アービトラムワン(Arbitrum One)」や「アービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)」、そしてテストネットの「アービトラムゴエリ(Arbitrum Goerli)」、「アービトラムセポリア(Arbitrum Sepolia)」上にアービトラムの技術を採用した独自の専用チェーンをレイヤー3として作成可能にしている。

なおメインネットでの同パッケージ利用は可能になっており、監査も完了しているが、現在同パッケージはパブリックプレビュー段階であるためリスクが無いわけではない。そのため初めにテストネットでの利用が推奨されている。

アービトラムは25日「アービトラムオービット(Arbitrum Orbit)」にデータ可用性(DA)を向上させるモジュラー型ブロックチェーンネットワーク「セレスティア(Celestia)」を統合したことを発表した。

これにより、現在「アービトラムオービット」を用いて作成したブロックチェーンでは、ブロックチェーンデータを「アービトラムワン」や「アービトラムノヴァ」に加えて「セレスティア」に公開することがオプションで選択できるようになっている。

なおデータ可用性(DA)とは、処理中のブロックに含まれるデータを閲覧可能にする機能のこと。これによりコンセンサスに達していない処理を正当であるか検証でき、無効なトランザクションを含んだブロックがファイナリティに達してしまうことが防止できる。

アービトラム(Arbitrum)とは?

「アービトラム」はイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション。同ネットワークでは、「オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollups)」を採用することでイーサリアムの安全性を保ちつつオフチェーンでの高速処理を実現している。

「ロールアップ」とは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリング技術のこと。「オプティミスティックロールアップ」では、正当性の検証方法をレイヤー1(イーサリアム)に提出されるデータはすべて正当なものであるという楽観的(オプティミスティック)な前提に基づいて検証を行う手法にて、スケーラビリティを確保している。

なおアービトラムでは、「アービトラムワン(Arbitrum One)」および「アービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)」の2つのネットワークを展開している。

「アービトラムワン」はアービトラムのパブリックなメインネットであり、誰でもバリデーターとなることができる仕組みとなっている。一方で「アービトラムノヴァ」は選定されたバリデーターのみが参加する許可型のメインネットとなっており、厳密な分散性を達成することはできないが、その分低い手数料での利用を可能にしている。

そのような特性から「アービトラムワン」はDeFi(分散型金融)及びNFT向けチェーン、「アービトラムノヴァ」はゲーム及びソーシャルアプリに特化したチェーンとして取り扱われるケースが多い。

なお「アービトラム」の独自トークンである「ARB」は、今年3月23日に発行が開始されている。「ARB」はDAOコミュニティのガバナンストークンとして機能するが、「アービトラム」のネイティブのガス代(取引手数料)は同ネットワーク上のイーサリアム(ETH)が採用されている。

またイーサリアムのセキュリティを完全に引き継ぐネットワークとして「アービトラム」は6.46Bドル(約9,693億円)のTVL(総預かり資産)を誇り、イーサリアムレイヤー2としては最大のネットワークとなっている(10/27 L2BEAT参照)。

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参考:セレスティア
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Vjom
 

参照元:ニュース – あたらしい経済

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