バイナンスのビットコイン売却疑惑にCZ氏が反論
暗号資産(仮想通貨)コミュニティ内でのさまざまな憶測や非難に対して、バイナンス(Binance)のCEO(最高経営責任者)チャンポン・ジャオ氏(Changpeng Zhao:CZ氏)は、バイナンスがネイティブトークンBNBの価格を上げるためビットコイン(BTC)を売却していた疑惑を強く否定しました。この疑惑は、ビットコイン価格が7%下落した事実に関わっていると見られます。
事の発端はZkHopium(zkホピウム)と名乗る人物によるツイッター投稿でした。投稿のなかで、バイナンスが出資するDeFiのビーナスプロトコル(Venus Protocol)上での、バイナンスコイン(BNB)清算に関わる経緯が語られています。
それによると最初の動きは2022年10月6日、ハッキングによりバイナンススマートチェーン(BSC)で200万BNBが不正に生成されたことでした。そのうちの90万BNBは、およそ1億5,000万ドルのテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)を借り入れるため、ビーナスプロトコルにデポジットされました。同時にBSC上では200万BNB以上がバーンされました。およそ5億5,000万ドルが事実上流通から消滅したことになります。
清算を容易にするため、ビーナスプロトコルはガバナンス提案を行い、BNBチェーンチームを唯一の清算人に指名しました。その後BNBチェーンチームは、2022年10月には3,000万BUSD、2023年6月に3,000万USDT、8月にも3,000万USDTを清算しています。ビーナスプロトコルの清算には清算閾値が必要です。清算が開始されると、清算人は担保の50%までを段階的に清算でき、清算した担保の10%を手数料として受け取ることができます。
zkホピウム氏の分析は、今回のケースについていくつかの重要な点を指摘しています。1つめは、市場ダンピングに関与する動機を持っていないのは、ただ一人の清算人だけであること。2つめは、清算がボットを経ず手動で行われること。そして最後は、実体的なローンのサイズを考慮すると、清算トランシェ(一部分)の閾値は50%よりかなり低くなると予測されることです。
これらの指摘に対してCZ氏は、zkホピウム氏の分析を評価した上で、3,000万ドル(約43億8,000万円)の清算がビットコイン価格に与える影響は取るに足りないものであることを強調しました。CZ氏はバイナンスはビットコインを発行しておらず、ほとんどの報酬がBNBで支払われると述べました。また、ビットコイン価格への重大な影響は根拠のないもので、3,000万ドルなどビットコインの1日の取引総額の0.001%以下であることも強調しています。
ビットコインは26,000ドル近辺で膠着状態
ビットコインは26,700ドル(約390万円)をマークした後、2.4%ほど値下がりして直近では26,000ドル(約379万9,000円)近辺で停滞しています。
低レベルなボラティリティにもかかわらず、調査分析企業マテリアル・インディケーターズ(Material Indicators)の共同創設者であるキース・アラン(Keith Alan)氏は、「今朝の経済報告は、ボラティリティに重大なインパクトを与えていない。しかし今週金曜日に行われるジェローム・パウエル(Jerome Powell)のスピーチになると話は別だ」と述べています。
8月25日にジャクソンホールで開かれるシンポジウムで、米連邦準備制度理事会(FRB)議長のパウエル氏が行うスピーチが、ビットコイン価格の上昇に寄与するという期待が高まっています。
週末が近づくにつれ、こうした期待がボラティリティを高めることになりそうです。パウエル議長のスピーチは、仮想通貨市場に強いインパクトを与え、トレーダーと投資家は潜在的な市場の変動に対して、積極的に対処することになるでしょう。
参考
・CZ Breaks Silence, Refutes Binance’s Bitcoin Dumping Allegations To Safeguard BNB
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