ペイパル、米ドルステーブルコイン「PYUSD」ローンチ。ERC20でパクソス発行

ペイパルが米ドルステーブルコイン「PYUSD」ローンチ

米決済大手ペイパル(PayPal)が、独自の米ドル建てステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」のローンチを8月7日発表した。なお大手金融会社が独自のステーブルコインを発行するのは、初の事例となる。

発表によると「PYUSD」は、米ドルの価格に1:1でペッグ(固定)されたステーブルコインで、その価値は米ドル預金・短期米国債・同様の現金相当物に100%裏付けられているという。「PYUSD」およびその準備金は、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の規制監督対象になるとのこと。なお発行元については「パクソストラストカンパニー(Paxos Trust Company)」とのことだ。

また「PYUSD」はイーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で発行されるERC-20規格のトークンとのこと。そのため、既に大規模で成長を続けている外部開発者コミュニティや暗号資産(仮想通貨)ウォレット、web3アプリケーションで「PYUSD」は利用できるようになる他、暗号資産取引所でも簡単に採用可能であると、ペイパルは説明している。

「PYUSD」は、今後数週間以内に米国のペイパル顧客を対象に販売を開始するという。「PYUSD」を購入したユーザーは、ペイパルおよびペイパルに互換性のある外部ウォレットとの間にて「PYUSD」の送金が可能になるとのこと。その他にも「PYUSD」によるP2P(個人間)の支払いや、商品やサービスへの支払い時にペイパルの「Checkout with Crypto機能」により「PYUSD」を法定通貨へ変換して決済が可能になるという。またペイパルでサポートされている暗号資産ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)を「PYUSD」へ変換することや、反対に「PYUSD」から同銘柄へ変換が可能とのことだ。

なお「PYUSD」の利用は、ペイパル傘下のモバイル決済アプリ「ベンモ(Venmo)」でもサポートされる予定とのことだ。

ペイパルのCEOであるダン・シュルマン(Dan Schulman)氏は「PYUSD」について「長期的なビジョンは、これが決済インフラ全体の一部になることだ」とブルームバーグのインタビューに対し答えている。

なおパクソスでは「PYUSD」のコントラクトアドレスを同日に発表している。イーサスキャンにて「0x6c3ea9036406852006290770BEdFcAbA0e23A0e8」を確認すると、イーサリアム上での「PYUSD」の総発行量は記事執筆時点において26,905,005.66PYUSDとなっている。ちなみにパクソスは2022年11月に初めて110万PYUSDをミント(発行/鋳造)していることが確認できた。

またWuBlockchainの報道によると同日に公開されたGithubの情報には、「PYUSD」に深刻なセキュリティ脅威が発生した場合、パクソスは「PYUSD」の認証と送金機能を停止が可能とのこと。またパクソスは、法律で要求された場合、犯罪当事者の資産を凍結または差し押さえることができるという。また資産保護の役割権限を持つアドレスは、「PYUSD」の凍結および凍結解除や、あらゆる口座の「PYUSD」残高の消去ができるとのことだ。

なおパクソスでは、今回ローンチされた「PYUSD」の他に米ドル連動の「Pax Dollar(USDP)」、金(ゴールド)連動の「Pax Gold(PAXG)」も発行している。

また同社では、大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の米ドルステーブルコイン「バイナンスUSドル(BUSD)」も取り扱っているが、現在は発行を行っていない(「BUSD」の償還や準備金の管理は継続中。償還は24年2月まで目途)。

これについてはパクソスが今年2月13日にNYDFSから「BUSD」の発行停止命令を受け、「NYDFSの指示に従い、2月21日をもってBUSDの新規発行を停止し、BUSDに関するバイナンスとの関係性も解消する」と表明したためである。

なお「BUSD」の有価証券性については、パクソスと米証券取引委員会(SEC)が協議中であるとロイターが2月22日に報じている。また2月10日にはペイパルがステーブルコインに関する計画を一時中断したとも報道されていた。今回の「PYUSD」についてどのような見解になっているのかは、現在明らかになっていない。

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参考:ペイパルイーサスキャンWu Blockchain
images:Reuters

参照元:ニュース – あたらしい経済

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