バイナンスの日本ユーザーへのサービス終了とトラベルルールの影響は?

どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。仮想通貨取引所最大手のバイナンス(Binance.com)は正式に2023年11月30日で日本ユーザーへのサービス終了を通知、2023年11月に買収した日本の仮想通貨取引所を介してバイナンス・ジャパン(Binance Japan)として新しくサービスを提供します。また2023年に入って日本の仮想通貨(暗号資産)交換業者はトラベルルールの適応を開始するとしており、規制における国内の仮想通貨市場の変化が目まぐるしい年となるでしょう。

本稿ではこれらの仮想通貨規制の影響と今後についてわかりやすく解説を行います。

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バイナンスグローバルの日本へのサービス終了

CZとして知られるチャンポン・ジャオ氏(Changpeng Zhao)氏率いるバイナンスグローバルは2022年11月30日に日本の仮想通貨交換業者「サクラエクスチェンジ」を買収して日本進出をすることを発表。これまでにバイナンスは金融庁に「無登録の仮想通貨交換事業者」として警告を受けており、日本ユーザーは自己判断でバイナンスグローバル(Binance.com)を利用する形となっていました。

この買収によりバイナンスは「バイナンス・ジャパン」として日本ユーザーへバイナンスグローバルとは独立した日本法人としてサービスを提供することとなり、2023年5月26日に正式にバイナンス・ジャパンへの移行が発表されたのです。主なタイムラインでは8月1日からバイナンス・グローバルの日本ユーザーはKYC(個人情報認証)を開始し、段階的に現物取引やレンディングを行う「Earn」などのサービスを停止し、11月30日に移管を終了するというスケジュールとなっているのです。

バイナンス・ジャパンでの利用可能サービス

バイナンス・グローバルでは2023年5月現在、500種類を超える仮想通貨の売買を提供しており、日本ユーザーはバイナンス・ジャパンで取り扱いがある仮想通貨(暗号資産)のみの売買ができるという形に制限されてしまいます。

バイナンスによるとバイナンス・ジャパンの取引銘柄は30種類を超える予定であるとしているものの、30種類の仮想通貨ではなく現実として「30種類の売買ペア(例:ETH/JPYとETH/BTC)」となると考えられるでしょう。というのも日本の取り扱い可能な仮想通貨のホワイトリストは事実上24種類前後となっているため、新たに上場審査の手続きを行う必要があることからBNB(バイナンスコイン)などの上場を含めても現実的ではなく、買収元の取り扱いは11種類であることなども予想される理由となるでしょう。

一方でサービスではバイナンス・アーン(Simple Earn)の一部を利用することができるとしており、他にもNFTマーケットプレイスなども提供されるとしています。従って売買ペアは10分の1以下となり、一部ステーキングやローンチパッドなどのサービスは利用できないため事実上のサービス制限状態となるということです。

出典:バイナンス

トラベルルールから考える仮想通貨規制

またバイナンスの日本進出におけるコンプライアンスの厳守はバイナンス・グローバルにおけるアクセス制限で行われ、日本ユーザーはKYCとバイナンス・ジャパンでのみの利用制限が課されることになります。さらにコインチェックは2023年6月1日より施工される犯罪による収益の移転防止に関する法律」の改正により仮想通貨の送受金における「トラベルルール」の導入を発表。

国内における仮想通貨取引所同士の送金に導入しているコンプライアンス準拠のルールに応じて、直接送金できないまたは送金に対応していない仮想通貨を発表しています。コインチェックは米仮想通貨取引所のコインベースが提供する「TRUST(Travel Rule Universal Solution Technology)」を導入しており、他にも国内ではbitFlyerが対応しているため基本的な仮想通貨取引所同士の送受金は制限される形となります。

このようにバイナンス・グローバルのコンプライアンス対応が進んでおり、国内含めて海外でもトラベルルールが導入されてきていることから、ボーダーレスな送金手段である仮想通貨は禁止はされないものの、無登録業者によるサービス提供は次第に規制強化による制限が増加していくことがわかるでしょう。

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今後はどうするべきか?

上記コンプライアンスを守ろうとする動きをバイナンスが見せている一方、日本語に対応して無登録業者としてサービスを未だに提供している仮想通貨取引所は多くあります。バイナンスを使用できなくなった後の移行先を検討する場合もあると思いますが、これらの無法地帯を今後利用するのは今まで以上にリスクが高くなってくると言えるでしょう。

一方で現在はアービトラム(Arbitrum)に代表されるイーサリアムのセキュリティを享受しつつやすい手数料で利用できるL2が主流となってきており、EVM経済圏などから大半の仮想通貨は分散取引所(DEX)で売買することができます。

さらにステーキングもライドファイナンス(Lido Finance)を介して投資家が利用することができ、レバレッジも分散取引取引所で仮想通貨取引所のように利用できることからリスクを犯して他の仮想通貨取引所を利用する必要はないと言えます。

今後はzkEVMの普及によりさらにイーサリアムのL2ネットワークが加速していくことになるため、これを機にL2やDeFi利用をしてみるいい機会と言えるでしょう。

コラム:イーサリアム開発段階がサージ(The Surge)へ移行 ロールアップのL2移行が加速か

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