NFTの無料配布(フリーミント)とは?事例や注意点を紹介
なぜ?NFTを無料配布(フリーミント)するのか
NFT市場では、フリーミントで始まるNFTプロジェクトが流行しています。NFTのフリーミントとは、一般的なNFTとは異なり、無料でNFTを発行して配布する販売方法のことです。(別途ガス代と呼ばれる手数料が掛かります。)
立ち上げ初期のNFTプロジェクトのマネタイズポイントとしては、初期販売の売り上げ、もしくはロイヤリティ手数料(クリエイター手数料)があります。一般的には、初期販売の売上金を元にコミュニティの運営費やイベント、開発費などに当てます。
しかし、フリーミントの場合初期の売り上げが0円になり、ロイヤリティ手数料のみがマネタイズポイントとなります。そのため、以前はフリーミントという販売手法は一般的ではありませんでした。
最近では国内・海外どちらの市場でもフリーミントでNFTを発行するプロジェクトが増えてきており、フリーミントでスタートしたにもかかわらずOpenSeaの取引高ランキングで上位に入るプロジェクトも出てきています。
NFTをフリーミントする理由はいくつかあります。ここでは以下の2つを紹介します。
- 理由1:クリエイターの意志を反映しやすい
- 理由2:初期のマーケティング費用を抑えられる
理由1:クリエイターの意志を反映しやすい
一つ目の理由としては、フリーミントすることでユーザーの趣向に迎合することなくクリエイターの意志を反映しやすいことです。
NFTを1枚数千円〜数万円で販売した場合、購入したユーザーは購入にかかった費用を失うリスクを負うことになります。そのため、運営側はユーザーの顔色を窺いながらプロジェクトを運営することになり、クリエイターや運営側の意思に反した方向に展開しなくてはならない場合があります。
しかし、フリーミントなら初期購入者(最初にミントした人)はリスクがほぼないため、運営方法やロードマップに対する圧力は少なくなります。
海外で話題になった「goblintown」は挑戦的なプロジェクトではありましたが、フリーミントから始めたことによって、ロードマップやDiscord、ユーティリティなどが存在しないにもかかわらず63,000ETH以上の出来高を記録しています。これはフリーミントだから達成できた記録と言えます。
理由2:初期のマーケティング費用を抑えられる
二つ目の理由は、初期のマーケティング費用が比較的少なく抑えられることです。
値段を付けて販売する場合、ユーザーの購入ハードルが上がるため、マーケティングにより力を入れる必要があります。しかし、フリーミントなら購入ハードルが低いため、マーケティングにかける費用は比較的少なくすることができます。
インフルエンサーのイケハヤ氏が発行した「ikehaya Pass」は、マーケティングを全く行わずにリリースされましたが、6,000枚のNFTが即時にミントされました。リリース当初はNFTに付随するユーティリティーは無いとされていましたが、あまりの人気からユーティリティーを付けることを発表しています。
詐欺、スパム紛いも横行!フリーミントの注意点
NFTのフリーミントは、ユーザー側の購入ハードルが低いことを狙って詐欺やスパムが横行しているため、フリーミントする際には注意が必要です。
詐欺の手法は主に2種類です。
- ウォレット内のNFTを抜き取る
- 偽物のNFTを買わせる
ウォレット内のNFTを抜き取る
不正なNFTをミントしてしまい、ウォレット内の資産やNFTが全て抜き取られてしまう被害が多発しています。このような詐欺手法は、フリーミントNFTが流行する以前からあるもので、「今だけ特別に無料」や「24時間限定のプレゼント」など甘い言葉でミントを誘導してきます。
また、詐欺ミントサイトに誘導し、ウォレットを接続して許可をするとNFTが抜き取られてしまうという詐欺手法も横行しています。この手法は、「SetApprovalForAll」というスマートコントラクトを悪用した詐欺です。「SetApprovalForAll」に許可をしてしまうと、スマートコントラクトに対して、特定のNFTやトークンを相手が操作する許可を与える行為になります。つまり、詐欺師が自由にあなたのウォレット内のNFTを移動できてしまうのです。
被害を最小限に抑えるためには、保管用とミント用のウォレットを分けることが大切です。ウォレットを分けておくことで、万が一詐欺に合ったとしても全てのNFTを盗まれることはありません。
偽物のNFTを買わせる
既存NFTの偽物や盗作を買わせる詐欺も横行しています。
OpenSea上には、既存NFTの画像をそのまま使用して、あたかも本物かのように見せて販売しているNFTが多数あります。特にリリース日には多くの偽物が出品されるため注意が必要です。
無料配布(フリーミント)は今後のこれからはどうなるか
フリーミントNFTが今後も続くかは、市場の動きに大きく左右される可能性が高いです。
現在のNFT市場は、国内のユニークユーザー数が15,000人〜20,000人程度とも言われています。フリーミントや安価なNFTプロジェクトは、市場規模が小さいことから生まれた流行と言えます。
2021年頃からNFTのトレンドが起き、多くのNFTプロジェクトが誕生しました。しかし、現在は市場規模(需要)に対する供給が増えすぎてしまった状況です。そのため、多くのNFTプロジェクトは完売せず売れ残ってしまう、またはリリース後に価格が暴落してしまいます。
この状況では、ユーザーは値段が付いたNFTの購入を控えて、リスクの低いフリーミントや安価なNFTをミントするという流れになります。国内のNFT人口は、着々と増えてはいるもののまだまだ小さいためこれからもフリーミントでリリースするプロジェクトは多いでしょう。
しかし、最近ではガス代の高騰により、フリーミントであってもミントを見送るユーザーも増えてきています。現在の国内市場は、どのNFTプロジェクトも価格が上がりにくい状況のため、高額なガス代を払ってミントしてしまうと、フリーミントであっても損をしてしまいます。ガス代の問題はミームコインの高騰など色々な要因によって起きているため、今後落ち着いてくる可能性が高いです。
現状の市場規模が続く場合は、今後もフリーミントNFTの手法は続く可能性が高いです。しかし、市場規模が大きくなるにつれて、以前のように価格を付けたミントも購入される流れになるかもしれません。
参照元:NFT Media