秘密鍵復元サービス「Ledger Recover」リリース延期に|オープンソース化で懸念に対処
「Ledger Recoverのリリース延期」を発表
ハードウェアウォレットを展開しているLedger(レジャー)は2023年5月23日に、批判が殺到していた秘密鍵の復元サービス「Ledger Recover」のリリース時期を延期することを発表しました。
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Ledger Recoverとは?
Ledger Recoverとは、Ledger社が2023年5月16日に発表したユーザーIDを用いた秘密鍵復元サービスです。
このサービスでは、ウォレットの復元で利用する”リカバリーフレーズ”を3つに分割して暗号化したものをLedger社などの第三者企業が保管し、復元したい場合には各社がその断片をLedgerデバイスに送り返して秘密鍵を再構築する仕組みが採用されています。
暗号資産ウォレットを新規作成する際には、ウォレットを復元する際に使用できる「秘密鍵」や「リカバリーフレーズ」が生成されますが、一部ユーザーの間では”秘密鍵やリカバリーフレーズを失くしてウォレットにアクセスできなくなる”という問題が発生していました。
Ledger Recoverは、そのような問題の解決策の1つとして開発された”任意のサブスクリプションサービス”で、Ledger利用者はこの機能の有効化・無効化を手動で切り替えることができる仕組みとなっていました。
懸念・批判の声を受け「リリース延期」を決定
Ledger Recoverは、ユーザー自身が利用するかどうかを自分で決めることができるオプション機能となっていますが、同サービスが発表された後は『分割されたリカバリーフレーズを預かった3社が鍵を復元できてしまう可能性がある』などといった懸念や批判の声が数多くでていました。
今回発表された「Ledger Recoverのリリース延期」という決定はこのような意見を受けてのものであり、Ledger Recoverを可能な限りオープンソース化して、顧客の理解が得られるまではリリースしないということが説明されています。
なお、Ledger社の会長兼CEOであるPascal Gauthier氏は、公式発表の中で『私たちはLedger Recoverのようなサービスの必要性を心から信じている』とも語っており、『私たちの使命は暗号資産を安全で使いやすいものにすることだ』と強調されています。
Ledger社は既に「Ledger Nanoアプリケーション・Ledger Live・オペレーティングシステムの一部」など150の項目をオープンソース化しているとのことですが、今後「Ledger Recover」がオープンソース化されれば、世界中の開発者がそのシステムの安全性や信頼性を検証できるようになるため、今後の新たな報告にも注目が集まります。
なお、Ledger社の最高技術責任者であるCharles Guillemet氏は、2023年5月23日のツイートで「Recoverプロトコルのホワイトペーパーが今後数日で公開されること」も報告しています。
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