仮想通貨マイニング企業に30%課税「DAME税」を提案:米ホワイトハウス
マイニングが社会に与える悪影響を指摘
米ホワイトハウスは2023年5月2日に「仮想通貨マイニング企業に対してマイニングに使用する電力コストの30%に相当する税金を課すこと」を提案しました。
バイデン政権は今年の予算案の1つとして「デジタル資産マイニングエネルギー(DAME)消費税」と呼ばれる新たな税金を課すことを提案しており、今回の発表ではこの”DAME消費税”についての説明が行われています。
発表の中では「現在の仮想通貨マイニング企業は、環境汚染・エネルギー価格の上昇・温室効果ガスの排出量増加による気候への影響などといった、社会に関連する複数の問題をもたらしている」と指摘されています。
DAME税の主な目的は「地域社会や環境に課されるコストの公平な負担を仮想通貨マイニング業者に求めること」とされており、仮想通貨マイニングが社会にもたらす害を考慮した上での適切な課税を導入する狙いがあることが説明されています。
仮想通貨マイニングがもたらす悪影響とは?
具体的には「仮想通貨マイニングに膨大な電力・エネルギーが必要になること」が指摘されており、仮想通貨マイニング企業が社会にもたらす可能性のある影響として以下のようなものが挙げられています。
- 仮想通貨マイニングの膨大なエネルギー消費は、環境・生活の質・電力網に悪影響をもたらす
- 仮想通貨マイニングの不安定な電力消費は、消費者の電気料金を押し上げる可能性がある
- 仮想通貨マイニングは地理的に移動しやすくビジネスモデルが不安定であるため、地域の電力会社にとっては設備投資が無駄になってしまう可能性がある
- クリーンエネルギーを使用したとしても、他の用途に使用できるクリーンエネルギーが減ることになるため、価格が上昇したり、環境に優しくないエネルギー源への依存度が高まることになる
このように指摘するホワイトハウスは「仮想通貨マイニングは国や地域に経済的利益をもたらしておらず、雇用や経済的機会という形で地域社会が恩恵を受けたという証拠もほとんどない」とも説明しています。
今回説明された「DAME税」は今後議会で議論される予定となっていますが、この仕組みが採用された場合には、段階的な導入期間の後に仮想通貨マイニング企業に対して「マイニングに使用する電力コストの30%に相当する税金」が課せられることになると報告されています。
DAME税に対する反対意見も多数
DAME税については反対意見も多数出ており、ケネディ元大統領の甥で弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏は、2023年5月4日のツイートで『バイデン政権が提案した仮想通貨マイニングへの課税は悪いアイデアだ』と語っています。
Yes, energy use is a concern (though somewhat overstated), but bitcoin mining uses about the same as video games and no one is calling for a ban on those. The environmental argument is a selective pretext to suppress anything that threatens elite power structures. Bitcoin, for…
— Robert F. Kennedy Jr (@RobertKennedyJr) May 3, 2023
ビットコインに代表される暗号通貨は、他の暗号技術とともに、大きなイノベーションのエンジンとなっています。米国政府がこの業界を阻害し、イノベーションを他所に追いやるのは間違いです。バイデンが提案した仮想通貨マイニングへの30%課税は悪いアイデアです
確かにエネルギーの使用は懸念事項ですが(多少誇張されているが)、ビットコインのマイニングはビデオゲームと同程度の使用量であり、誰もそれらの禁止を要求していません。環境問題はエリートの権力構造を脅かすものを弾圧するための口実です。例えば、ビットコインがそうです。
また、仮想通貨マイニングと環境問題に関する取り組みでは「クリーンエネルギーの”余剰電力”を仮想通貨マイニングに活用する」といった取り組みなども行われており、業界ではマイニングがもらたす悪影響を抑えるための取り組みも積極的に行われているため、今回のDAME税については今後も更なる議論が行われていくことになると予想されます。
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