米SEC「Krakenのステーキングサービスは証券法違反」と指摘|対象事業者に登録求める
米国証券取引委員会(SEC)は2023年2月9日に『必要な登録を行わずに暗号資産のステーキングサービスを米国の顧客に提供した』として、暗号資産取引所「Kraken」を起訴したことを発表、同社が3,000万ドルの罰金支払いに同意して米顧客向けステーキングサービスを停止したことを発表しました。
こちらから読む:日本航空×博報堂、KOKYO NFTの実証実験開始「暗号資産」関連ニュース
Kraken「ステーキング停止・罰金支払い」で米SECと和解
米国証券取引委員会(SEC)は2023年2月9日に『必要な登録を行わずに暗号資産のステーキングサービスを米国の顧客に提供した』として、暗号資産取引所「Kraken」として知られる「Payward Ventures」と「Payward Trading」を起訴したことを発表、Krakenが「3,000万ドルの罰金支払い」と「米顧客向けのステーキングサービス停止」の条件に同意して和解したことを発表しました。
Kraken(クラーケン)は2019年から顧客の代わりに暗号資産のステーキングを行う「オンチェーンステーキングサービス」を米国の顧客向けに提供していましたが、SECはこのようなサービスを提供するためには事前に登録を行う必要があると指摘しています。
今回の件についてはKrakenからも公式発表が行われており、『米国顧客がステーキングしていた資産は現地時間2023年2月9日時点で自動的にステーキング解除されたため、ステーキング報酬は獲得できないようになっている(Shanghaiアップグレード後にステーク解除されるステークされたETHを除く)』との説明がなされています。
これによって米国のKrakenユーザーは新たにステーキングを行うことができなくなったとのことですが、Krakenは『引き続き別の子会社を通じて”米国以外の顧客”にステーキングサービスを提供する』とも説明を行なっています。
「対象サービス事業者は証券法に従う必要がある」とも説明
米国証券取引委員会(SEC)は今回の発表の中で、暗号資産取引所のステーキングサービスを「サービスとしてのステーキング(Staking-as-a-Service/SasS)」と表現しており、『SaaSプロバイダーにトークンを預けると、投資家はそれらのトークンの管理能力を失うことになり、ほとんど保護されない状態でそれらのプラットフォームに関連するリスクを引き受けることになる』と指摘しています。
また、米SECの委員長であるGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏は「ステーキングだろうとレンディングだろうと、仲介者が投資家のトークンと引き換えに投資契約を提供する場合は、サービス提供者が証券法に従う必要がある」とも説明しており、今回の事例はそのことを明確にする1つの事例だと語っています。
サービスとしてのステーキングやレンディング、その他の手段であろうと、投資家のトークンと引き換えに投資契約を提供する場合、そのサービスを提供する仲介者は証券法に準じて適切な情報開示を行い、投資家保護ルールを守る必要があります。
今回の措置は「Staking-as-a-Serviceを提供するプロバイダーは、必要な登録を行い、完全かつ公正な真実の開示と投資家保護を提供しなければならない」ということを明確にするものです。
ゲイリー・ゲンスラー氏は2023年2月10日に自身のTwitterアカウントでもこのことを説明、3分37秒の動画の中で今回の措置について説明を行なっています。
Today @SECGov charged Kraken for the unregistered offer & sale of securities thru its staking-as-a-service program.
Whether it’s through staking-as-a-service, lending, or other means, crypto intermediaries must provide the proper disclosures & safeguards required by our laws.
— Gary Gensler (@GaryGensler) February 9, 2023
仮想通貨のステーキングサービスは世界中の様々な暗号資産取引所で提供されているため、「その他の米取引所への対応」や「米国以外の国の規制当局の今後の対応」などにも注目が集まっていますが、米SECなどに対しては数年前から『暗号資産関連の規制が不明確である』と指摘する声も出ていたため「そもそもSECに事前に登録することは可能だったのか?」「登録する際には具体的にどのように登録すればいいのか?」「どんな情報を投資家に開示すればよかったのか?」などといった疑問の声も出ています。
>>「Kraken」の公式発表はこちら
>>「米国証券取引委員会」の公式発表はこちら
こちらの記事もあわせてどうぞ