JBA、日本政府に「暗号資産に関する税制改正要望」提出
JBAが「暗号資産に関する税制改正要望」提出
一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)が、「暗号資産に関する税制改正要望」を政府に提出したことを11月16日発表した。
今回JBAは日本における事業環境を改善するために「暗号資産を発行・保有する法人への期末含み益課税の撤廃」、「申告分離課税・損失の繰越控除の導入」、「暗号資産同士の交換時における課税の撤廃」の3つの税制改正を要望している。
JBAは、法人がweb3事業を日本で営む最大の障壁であり、かつ国民が積極的に暗号資産(仮想通貨)を保有・利用することの阻害要因になっている暗号資産の税制の見直しを求めたと説明している。
「暗号資産を発行・保有する法人への期末含み益課税の撤廃」では、「暗号資産を発行または取得した法人が保有する短期売買目的以外の暗号資産に対する課税を、期末の時価評価による課税から、帳簿価額による評価として撤廃すること。特に、複数の企業が国外へ流出する要因となっている自社発行トークンに対する期末含み益課税を撤廃し、web3人材の国外流出を食い止め日本国内でweb3事業を営める環境を早急に整備すること」と要望。
「申告分離課税・損失の繰越控除の導入」は、「暗号資産取引にかかる利益に対する課税方法を、総合課税から申告分離課税に変更し、税率を一律20%とすること。また、損失を出した年の翌年以降3年間、その損失を繰り越して、翌年以降の暗号資産に係る所得金額から控除することができるようにすること。暗号資産デリバティブ取引についても同様の扱いとすること」と記載。
また「暗号資産同士の交換時における課税の撤廃」においては、「暗号資産同士を交換した場合には、その交換の都度、発生した利益について所得税が課税される。ボーダーレスであるweb3時代の決済においては、暗号資産同士の交換が経済圏の主流となる可能性が高く、発生するトランザクションや交換する暗号資産の種類が多岐に渡ること等から、納税計算が非常に煩雑になり、暗号資産が本来もつ利便性を著しく阻害している。ついては、暗号資産同士の交換に対する課税を撤廃すること」と要望を行っている。
JBAは、web3が次世代インターネットとも目され、日本のみならず世界の経済成長を牽引していく可能性を期待されているなかで、2022年第3四半期における日本の暗号資産ランキングは調査対象56か国中27位と位置付けられていると指摘(暗号資産分析会社Coincubのレポート)。
日本のランキングが27位である理由を「暗号資産税制に関して低い評価」であり、税制に関する別のレポートでは61か国中58位であることが指摘されていると、JBAはレポートの結果を引用している。
JBAはこの結果について、日本は暗号資産税制が足かせになっており「web3国家戦略の国として不十分な評価」と指摘を行っている。
なおランキング第1位のドイツが選ばれた理由として「国として積極的に暗号資産政策に取り組み規制を明確化している」、「暗号資産取得後1年が経過したのちに売却すれば利益が出ても非課税」、「ドイツ財務省が暗号資産の所得税取扱いのガイドライン発表」があげられているとのことだ。
またJBAは暗号資産の保有・運用・確定申告などの実態を把握し、税制改正が実現した場合の暗号資産投資への影響について考察するべく、アンケートを実施した。
そのアンケートによると「個人に対する暗号資産の税制が一律20%の申告分離課税になった場合」、国内で無登録の暗号資産取引所である海外取引所の利用者が全体の77%であるうち、全体の54%が日本の取引所へ資産移動し、23%が乗り換えない(23%が国内取引所のみ:54+23+23=100)という結果も出ている。
また「個人に対する暗号資産の税制が一律20%の申告分離課税になった場合、暗号資産への投資を増やすか?」という問いに対し、全体の88%が増やすと回答し(増やさないが12%)、全体の38%が2倍以上に増やすと回答している。
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参考:JBA
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参照元:ニュース – あたらしい経済