オンチェーンとオフチェーンの違いとは?仕組みやそれぞれのメリットデメリットをご紹介
はじめに
NFTにはオンチェーンとオフチェーンの二種類があるのをご存じでしたか。NFTデータはブロックチェーン上でのやり取りがメインのようにも思えますが、実はNFTプラットフォームの中にも、ブロックチェーン上に記録されないNFTが存在するんです。
この記事では、基本的なオンチェーンとオフチェーンの違いは何かということから、代表的なオフチェーンの活用事例とオンチェーンの活用事例を紹介し、ブロックチェーンに記録されないオフチェーンが必要とされる理由を紹介いたします。
- オンチェーン・オフチェーンとは何かについて知りたい方
- オンチェーン・オフチェーンのメリットやデメリットが気になる方
- 実際のオンチェーン・オフチェーンの活用事例を見たい方
是非この記事を参考にしてみてください。
オンチェーン・オフチェーンの仕組みと定義
それではさっそく、オンチェーンとオフチェーンについて詳しく解説していきましょう。
NFTにはオンチェーンNFTとオフチェーンNFTがある
非代替性トークンとして、デジタルデータに唯一無二の価値を与えた「NFT」。読者の皆さんの中には、NFTホルダーの方も多いかも知れませんね。実はNFTには、オンチェーンNFTとオフチェーンNFTが存在するのをご存じでしょうか。
オンチェーンNFTとは、ブロックチェーン上にデータを乗せた従来のNFTのことを指します。これに対し、オフチェーンNFTは、ブロックチェーンを使わずに処理するNFTのことです。取引の記録はブロックチェーン上ではなく、内部のデータベースに記録されるため、手数料が掛からないか、もしくは少額ですみます。一方でサービスの提供元や管理者ならば、不正にデータを書き換えることができてしまうことが問題視されていました。
そのため、セキュリティ面に関してだけみれば、オフチェーンNFTはオンチェーンNFTに劣ると言われています。
オンチェーンとオフチェーンの仕組みと定義
オンチェーンとオフチェーンの仕組みと定義を、もう少し具体的に見ていきましょう。
オンチェーンとは、先ほどオンチェーンNFTの項目でも軽く触れましたが、ブロックチェーン上に直接記載され、リアルタイムで途中経過が更新されていく取引のことを指します。データがブロックチェーン上に乗っていることから、この仕組みのことを「On-Chain」(オンチェーン)と呼ぶのです。
続いて、オンチェーンの対義語となるオフチェーンですが、オフチェーンの場合は、全ての取引を毎回ブロックチェーン上で処理せず、最終的な取引結果のみをブロックチェーン上に乗せるという仕組みになっています。ブロックチェーンの上に別のレイヤーを築き、そこで独自にトランザクション(取引)を実行する仕組みであることから、「レイヤー2」(セカンドレイヤー)とも呼ばれることもあります。
オンチェーンとオフチェーンはどう違うのか
オンチェーンがブロックチェーン本来の仕組みである分散的なトランザクションの処理・記録を利用する一方で、オフチェーンはオンチェーンでの取引で問題になる要素を解決する機能を満たした上で作られた別レイヤーのシステムです。特に大きく問題となっていたのは、手数料と送金のタイムラグで、オフチェーンで中央集権的に管理することで、利便性(可用性)を高めつつブロックチェーンを利用することが可能になっています。
一方でオフチェーンの仕組みはブロックチェーン本来の思想とは相反するものであり、常に一定のリスクがあることは考えなければなりません。代表的な事例を紹介しながら、より具体的なメリット・デメリットについて説明します。
オンチェーンとオフチェーンの代表的な事例
では、オンチェーンとオフチェーンの代表的な活用事例について詳しく見ていきましょう。
オンチェーンとオフチェーンそれぞれのメリットとデメリット
NFTアートを主に構成するのは、「トークンデータ」「取引データ」「画像データ」「メタデータ」の4つの項目です。これら4つのうち、全てがブロックチェーン上に乗っている「オンチェーン」であればブロックチェーンの特性であるハッキングや盗難への耐性を最大限に利用することができます。しかし、従来のNFTアートでは一部がオフチェーンに保存されている都合上、プラットフォームに対する攻撃を受けることがしばしばありました。
こうした問題を解決するため、フルオンチェーンのNFTや、画像データを分散的なデータベースに保存する試みも生まれていますが、GAS代(手数料)が高額になる、後から画像を変更できなくなるなどのデメリットも目立ち、現状では普及の足かせになっています。
また、仮想通貨取引所同様、すべての取引をブロックチェーン上で行うとスケーラビリティに問題を生じさせます。すなわち取引量の増大によって、処理の遅延などが発生してしまうのです。そこで、オフチェーンで取引を集約させる必要があるとされています。
一方で、前述したようにオフチェーンでの取引はあくまでプラットフォームに依存するため、ハッキングや盗難に弱い、プラットフォーム自身が詐欺行為をする可能性がある、またプラットフォーム運営者などの一部が大きな権限を持つことになりブロックチェーン本来の考えと相容れないといったデメリットがあります。
こんな時、こんな使い方ならばオンチェーンがよい
フルオンチェーンのNFTプロジェクトは、国内ではあまり見ないかも知れません。しかし、その分だけフルオンチェーンを用いたNFTの価値は高く、データの信頼性の獲得を目指して、今後のフルオンチェーン化を目標とするNFTマーケットも増えてきています。
コストの関係でフルオンチェーン化が難しい作品も多くありますが、ブロックチェーン上に書き込めるサイズを意識した、簡単なドット絵などがフルオンチェーンにおけるコレクションのメインとなっています。
オンチェーンの代表的な活用事例
ドット絵を用いたNFTアートでお馴染みの「CryptoPunks」は、昨年8月にフルオンチェーン化しました。「CryptoPunks」は、かなりシンプルなピクセルアートですが、一枚で数千万円以上の価格が付くものもあり、今も大きな人気を誇っています。
フルオンチェーン化したNFTというのは、かなりレアな存在なので、そうしたことも「CryptoPunks」の価値をさらに押し上げました。
こんな時、こんな使い方ならばオフチェーンがよい
仮想通貨の取引においては、ブロックチェーン上にデータを乗せず、レイヤー2で決済が完了する、即時即決の方がスピーディで嬉しいですよね。また、高額な手数料が発生する場合などは、売買のハードルが高くなってしまうので、そういった費用面を抑えるためにもオフチェーンの活用がオススメです。
オフチェーンの代表的な活用事例
オフチェーンの活用事例としては、ビットコインの少額決済や迅速な送金に対応した、「Lightning Network」が有名です。「Lightning Network」では、ペイメントチャネルと呼ばれる仕組みが利用されています。この仕組みを利用すると、最終的な取引のみがブロックチェーン上に記載されるので、それまでの送金にかかる手数料などを節約することが出来るのです。
オフチェーンを用いた取引におけるコストカットは、仮想通貨だけかと思いきや、NFTのマーケットプレイスにもこうした動きは広まっており、Coincheck NFT(β版)でもオフチェーン取引が導入されています。Coincheck NFT(β版)では、Coincheckの口座を所有している方であれば、NFTの出品・購入にかかるネットワーク手数料が無料になるのです。
まとめ
今回は、オンチェーンとオフチェーンの違いや、その必要性について、詳しくご紹介いたしました。
オンチェーンはブロックチェーン上にデータが直接記載され、リアルタイムで途中経過が更新されていく取引のことで、オフチェーンは全ての取引を毎回ブロックチェーン上で処理せず、最終的な取引結果のみをブロックチェーン上に乗せるという仕組みのことです。オンチェーンには信頼性、オフチェーンには柔軟性があることが分かりました。
唯一性が重視されるNFTアートにおいては、これからフルオンチェーン化がさらに進んでいくかも知れないので、今後の動向も注目しておきましょう。
NFT mediaではNFTに関する技術動向や最新のトレンドについて、紹介していきます。オフチェーンの成功事例や新しい取り組みが生まれたら、紹介していきます。
オンチェーンとオフチェーンの違いについて、詳しく知りたかったという方に、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
参照元:NFT Media