中国の河南省が2兆円規模のメタバース・プロジェクト構想発表
暗号資産(仮想通貨)の使用が禁止されている中国で、メタバースを軸にした仮想エコシステムへの参入の動きが徐々に広がっています。その一環として河南省は、2022~2025年のアクション・プランとして、野心的なメタバース・プロジェクトを発表しました。
産業レベルで進められるメタバース・プロジェクト
河南省は1,000億元(約2兆170億円)規模以上の産業レベルとなる大胆なメタバース構想を持っており、メタバースに関するリサーチ&イノベーションセンターを10ヶ所ほど設置する計画です。
さらにほかの産業界にも開かれたエコシステムを創設し、メタバース体験を拡張するためのソフトウェアやハードウェア、その他のウェアラブル装置などの開発を、業界を越えて推進する意図もあるようです。
同省のロードマップによると、省内に3から5つの特別工業団地を備えた産業用メタバース・パークを建設し、10の革新的なメタバース企業と200の専門企業、500の先進的なスタートアップを誘致する予定です。河南省の省都である鄭州市は、洛陽市や焦作市、南陽市とともに、ITやソフトウェア開発の中核都市になるでしょう。
鄭州市では2022年8月に最初の産業用メタバース・パークを創設しています。敷地はおよそ約240ヘクタールあり、年間400億元(約8,070億円)の収益を生み出し、33億3,000万元(約672億円)の税収と60万人の雇用が見込まれています。
教育界にも広がるメタバース構想
中国政府にはメタバース構想により国家の歳入システムを活性化させる狙いがあり、海外と同様のメタバースを構築することには消極的ですが、国内版メタバース構想はサポートする姿勢があるようです。
中国はメタバース分野に、今後多くの資源を投入するという計画を明らかにしています。中国のハイテク企業は、投資や自らのポートフォリオを拡大させることでバーチャル世界への進出を図っています。その先駆的な役割を担っているのが、アリババ(Alibaba)とテンセント(Tencent)という2つの巨大ハイテク企業です。
中国国内のある大学では、バーチャル・エコシステムの知識を広めるための動きもあります。南京情報技術大学では、学部の名称を「メタバース工学学部」に改名するほど力を入れています。同校ではより多くのメタバース関連分野を教育に取り入れる予定であり、地元紙の報道によると中国で初めてメタバースを教育プログラムに組み込んだ大学になるとのことです。
メタバース工学学部のパン・ジジェン(Pan Zhigeng)学部長は、同大学の取り組みはバーチャル・エコシステムの発展に貢献することになり、人材を育成することで今後のニーズの高まりへの対応が可能になると述べています。
参考
・A Province in China Begins Metaverse Journey with 2025 Action Plan
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