自民党:Web3.0時代に向けたNFT戦略の「ホワイトペーパー案」公開


自民党デジタル社会推進本部のNFT政策検討プロジェクトチームは2022年3月30日に、NFTビジネスの推進に向けた提言をまとめたホワイトペーパーである『NFTホワイトペーパー(案) Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略』をとりまとめたことを発表しました。

こちらから読む:Coincheck NFT、Decentralandの”LAND”取扱い開始「国内ニュース」

『Web3.0は日本にとって大きなチャンス』と説明

自民党デジタル社会推進本部のNFT政策検討プロジェクトチームは2022年3月30日に、NFTビジネスの推進に向けた提言をまとめたホワイトペーパーである『NFTホワイトペーパー(案) Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略』をとりまとめたことを発表しました。

NFT政策検討プロジェクトチームは、自由民主党所属の衆議院議員である平 将明(たいら まさあき)氏が座長を務めるプロジェクトチームであり、今年2月には平議員が暗号資産ブロックチェーンNFTなどをはじめとする「Web3.0(分散型ウェブ)」について関係大臣に質問を行ったことなどでも注目を集めています。

今回公開された『NFTホワイトペーパー(案) Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略』の冒頭には『Web3.0時代の到来は日本にとって大きなチャンス。しかし今のままでは必ず乗り遅れる』と記載されており、NFTを”Web3.0時代の起爆剤”と表現した上で、日本はアニメやゲームなどの国際的競争力を有する知的財産を持っているため、NFTビジネスやWen3.0で世界をリードする大きなポテンシャルを秘めていると説明されています。

NFTホワイトペーパーの概要

具体的には、Web3.0時代のイノベーションをけん引していくために以下3つの取り組みを行なっていく必要があると説明されており、以下に記載する6つのテーマに沿って合計24の課題と提言がまとめられています。

Web3.0時代のイノベーション牽引に必要なこと

  • NFTビジネスの推進を新しい資本主義の成長戦略の柱に据える姿勢を明確に打ち出す
  • 責任あるイノベーションを強力に後押しすべく、社会基盤やルールを直ちに整備する
  • 諸外国と協働し、新たなデジタル経済圏のデファクト・スタンダード(事実上の標準)を日本から生み出す

テーマ①国家戦略の策定・推進体制の構築

【提言の内容】

  • Web3.0やNFTを新しい資本主義の成長の柱に位置付け、Web3.0担当大臣を置き、経済政策の推進、諸外国との連携の司令塔とすべき。省庁横断の相談窓口を置くべき

テーマ②NFTビジネスの発展に必要な施策

【提言の内容】

  • 賭博罪の成否につき、関係省庁から事前に見解を求めることができる仕組みを整備すべき。少なくとも一定の事業形態が賭博に該当しないことを関係省庁から明確に示すべき
  • 当該NFTが決済手段等の経済機能を有するか否かなどを念頭に、例示やセーフハーバーを設けるなどして、金融庁において、解釈指針を示すべき
  • エスクローサービスにおける暗号資産の管理を、一定の条件の下で許容することを、金融庁においてガイドライン等に明記するなどの方法で解釈指針を示すべき
  • 銀行業高度化等会社の認可取得において、過度に保守的にならない運用を確保すべき。金融庁において一定の例示を行うなど指針を示すべき
  • ソフトローの定立や新たな立法により、パブリシティ権の内容及び範囲の明確化を図るべき。NFTの二次流通から得られた収益還元のルール整備を行うべき
  • 日本の事業者がデファクトスタンダード確立に向けた、国際的な議論をリードできるよう、政府が積極的にイニシアチブを発揮し、業種横断的な情報収集や議論の場が設けるべき

テーマ③コンテンツホルダーの権利保護に必要な施策

【提言の内容】

  • 民間レベルで進みつつある取引の安全を確保する仕組みの構築を、政府としても後押しすべき。また、業界団体と連携して、本人確認等の審査の有無などマーケットプレイスごとの特性の周知などを進めるべき
  • 著作権・不正競争防止法等による対策の限界を整理しつつ、将来的には意匠権改正による手当の可能性を検討すべき。また、この問題について国際的な議論をリードすべき
  • ロイヤリティ収受の限界につき現状を正しく理解できるようコンテンツホルダーに注意喚起すべき。また、将来的な対応を官民連携して検討すべき
  • NFTの発行・流通により、NFT保有者が獲得する権利を整理し、コンテンツ ホルダーへの周知を図るべき。また、ライセンス契約のモデル条項や各条項の留意点を示し、理解を促進すべき

テーマ④利用者保護に必要な施策

【提言の内容】

  • NFT取引を類型化し、標準的な取引の内容を分かりやすく示すべき。また、民間において取引内容を分かりやすく示す仕組みの構築を検討しており、政府としてもこうした取り組みを促すべき
  • 取引の安全を重視したマーケットプレイスと、自由度が高い(自己責任において取引が行われる)マーケットプレイスがあることを周知し、一般消費者が自身にあった適切なサービスを選択できる環境を整えるべき
  • 当面は、一般消費者に当該リスクを説明するよう、業界団体にガイドラインによるルール化等を促すべき。将来的には、特定の事業者に依存しないデータ保存の仕組みの活用を研究すべき

テーマ⑤NFTビジネスを支えるBCエコシステムの健全な育成に必要な施策

【提言の内容】

  • 発行した法人が自ら保有するトークンは、期末時価評価の対象から除外し、実際に収益が発生した時点で課税するよう税制改正や取り扱いの見直しを行うべき
  • 諸外国に比してトークン審査が過度に煩雑でないかを継続的に検証し、利用者保護に配慮しつつも、必要に応じた審査基準の緩和を行うべき
  • LPS法の改正や解釈明確化により、LPSによる暗号資産やトークンを取得・保有する事業への投資を可能にすべき。また、GPIF等によるブロックチェーン関連事業への投資の可能性について検討すべき
  • 会計監査を受けられない理由を明確化し、必要があれば会計基準の明確化を行うべき。また、NFT取引に適用される会計基準についても、明確化に向けた検討を早急に行うべき
  • 個人の暗号資産取引の損益も、上場株式等の取引と同様に、20%の税率による申告分離課税の対象とすることも含め、検討を行うべき
  • 海外当局と協力して、課税関係の明確化と、課税の公平性を担保するために必要な体制整備を行うべき
  • DAOは社会課題を解決するツールとなる可能性を秘めており、世界的な潮流を踏まえつつ、日本法における位置付けやDAOの法人化を認める制度(DAO特区、BC特区等)の創設について早急に検討すべき
  • 短期的には、起業家・エンジニアに魅力的な開発環境、税制を実現すべき。また、海外人材向けに、暗号資産関連ビジネスに一定の知識・技能を有する人材向けの特別ビザ(クリプトVISA)の発給等、流入を促す施策を実施すべき。長期的には、デジタル関連の先端技術の人材の育成・確保に取り組むべき

テーマ⑥社会法益の保護に必要な施策

【提言の内容】

  • マネーロンダリングやテロ資金供与の状況、他国の規制等を把握しつつ、イノベーション推進とのバランスに配慮し、官民で対策を検討すべき
  • NFT取引も外為法の許可の対象となる場合があることを、官民連携して周知すべき。また、この問題について諸外国と連携して対応を検討すべき

なお、今回発表されたNFTホワイトペーパーはあくまでも”案”の段階であるため、最終的なホワイトペーパーがまとめられるのはこれからであるとも報じられています。

>>「NFTホワイトペーパー」はこちら

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です