FATFが仮想通貨規制を強化か?更新されたガイダンスの内容は?

FATFが仮想通貨規制を強化か?更新されたガイダンスの内容は?

世界39の国と地域で、金融に関する標準規格を策定する「金融活動作業部会(FATF:The Financial Action Task Force)」は、10月29日に関係各国が暗号資産(仮想通貨)関連のリスクを評価・削減するためのガイダンスを更新しました。

最新ガイダンスでの変更点

「仮想通貨および仮想通貨サービスプロバイダーに対するリスクに基づいた最新ガイダンス(Updated Guidance for Risk-Based Approach for Virtual Asset and Virtual Asset Service Providers )」と題された今回のガイダンスは、2020年4月に発行されたガイダンスの改訂版です。タイトルにある仮想通貨サービスプロバイダー(VASP)とは、仮想通貨取引所や送金業者を指しています。

最新ガイダンスでは2つの大きな変更がありました。1つはVASPとして適格かどうかの定義を改訂したことです。新しい定義では、「仮想通貨取引を直接的に提供したり、仮想通貨関連サービスの利用を促進することを目的としない、インターネットやクラウドサービスなどの補助的事業者を除外する」ことが明記されています。つまり、VASPとして管理すべきであるのは仮想通貨そのものであり、分散型金融(DeFi)アプリケーションを開発するような副次的業務を行うものはVASPに含まれないことになります。

そして2つめが「トラベルルール」の改訂です。金融機関においては、3,000ドル(約34万700円)を超える送金が行われる場合、送信側と受信側の情報を記録し、報告することが求められていましたが、このルールを仮想通貨取引においても適用するといった内容です。これはVASP間で行われる仮想通貨の送受信を透明化するための仕組みであり、個人のウォレット宛の送金は対象になりません。

DeFi開発者はVASPに該当?

仮想通貨シンクタンクのコインセンター(Coin Center)は、今回の変更を高く評価していますが、FATFに対してさらなる取り組みを求めています。コインセンターのリサーチディレクターであるピーター・ヴァン・フォルケンバーグ(Peter Van Valkenburgh)氏は、VASP間での仮想通貨取引以外は、電信送金よりも現金取引に近くなるため、そういった場合にはトラベルルールを適用すべきではないと述べています。

フォルケンバーグ氏はさらにガイダンスの冗長な表現を指摘し、DeFiに関する規制が広範で曖昧なものになっていることにも注意を喚起しています。

ガイダンスの文面においては、分散型アプリケーションそのものはVASPではないことを明らかにしていますが、影響力を持つ開発者や運営者などの内部関係者はVASPに該当する可能性があります。プロジェクト自体は分散化されているものの、開発メンバーが所属する国のルールで独自に判断する余地があることになっています。

ガイダンスの意図については、タイトルがヒントになっています。ガイダンスは規制ではなく、マネーロンダリングやテロ資金の供給を排除するために、遵守すべき標準規格だということです。規格に従わない者はブラックリストに載り、世界中の金融システムから締め出されてしまう可能性も存在します。

参考
FATF Crypto Guidance Is Out: Here’s What Has Changed

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参照元:CoinChoice

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