【取材】コーヒー豆をブロックチェーンで追跡、「ThankMyFarmer」が日本上陸
コーヒーのトレーサビリティプラットフォーム「ThankMyFarmer」日本に上陸
スイスのファーマーコネクト(Farmer Connect SA)が提供する、ブロックチェーンを利用したコーヒー豆のトレーサビリティプラットフォームが、日本でも利用開始となったことが10月1日に発表された。
このプラットフォームは「ThankMyFarmer(サンク・マイファーマー)」という名称で、消費者がコーヒーやカカオ製品のパッケージについているQRコードを読み取ることで原産地と品質のトレーサビリティを可能にするものだ。
またトレーサビリティ情報の他、生産者の情報を知ることもでき、その情報内で公開されている「産地支援プログラム」を通じて寄付することで、産地のサステナビリティに関する取り組みや地域の支援などができるとのこと。
生産の大部分を発展途上国に依存するコーヒー豆の生産は、労働環境の向上や環境に配慮した産地開拓などが喫緊の課題となっている。「産地支援プログラム」では、国際相場の乱高下や気候変動に伴う栽培環境の変化に曝される生産者の持続可能な生産を支援できるとのこと。
また「ThankMyFarmer」ではこれらの機能の他、日本市場に合わせて「専門家によるコーヒーのレビュー機能」「コーヒーの豆知識クイズ・ゲーム大会」などの新機能追加を行っているとのこと。
なお「ThankMyFarmer」は、IBM開発の「IBM Food Trust」を基盤として開発されている。「IBM Food Trust 」のブロックチェーンには、エンタープライズ向けブロックチェーン「Hyperledger Fabric(ハイパーレジャーファブリック)」が採用されている。
日本国内において初めて「ThankMyFarmer」導入したのは千葉県船橋市のコーヒー会社「PHILOCOFFEA(フィロコフィア)」だ。「あたらしい経済」が問合せを行ったところ、この会社の店舗にて販売している商品の中で、「ThankMyFarmer」に対応しているコーヒーは現在全9種類あるとのことだ。
ファーマーコネクト社は今年3月に伊藤忠商事株式会社より出資を受けており、業務提携を行っている。その顧客には伊藤忠商事をはじめ、UCC、Amazon、ブラジル最大の農業協同組合、貿易商社大手、焙煎業者、そしてOrangutan Coffee社やSegafredo Storia社などのブランドがある。
「あたらしい経済」編集部はファーマーコネクト社へ取材を行った。
−具体的にどんなコーヒー豆が世界で「ThankMyFarmer」に対応しているのでしょうか?
現状、日本では「PHILOCOFFEA」のみですが、グローバルでは次のような利用があります。 欧州の11市場で販売されるマッシモ・ザネッティ・グループのSegafredo Storia(セガフレード・ストーリア)、米国のFolgers社の「1850」、Amazonの自社ブランドであるHappy Belly(ハッピーベリー)、
オランダの大手スーパーマーケットHema社の自社ブランド・コーヒー、イギリスのUCC社のOrangUtanコーヒー、中央ヨーロッパの3つの市場におけるAtlantic Grupa社のGrand KafeとBarcaffe、ベルギーのBeyers KoffieのBeyers1769、またスイス初のトレーサブル・コーヒーであるGoodLifeのような小規模なスペシャルティブランドもあります。
なお日本国内「PHILOCOFFEA」では、ワテコーヒーステーションの6種、キレンソウ・コーヒー・ステーションの2種、サキチャ・グドゥバ・コーヒーの1種が対応をしています。
−日本向けの新機能である、レビュー機能でコメントできるのはどんな専門家でしょうか?
現状レビューができるのはバリスタ、インフルエンサー、ファーマー(農家)となります。「PHILOCOFFEA」創業者の粕谷哲氏のレビューがまだアップされていないのですが、これはコーヒー豆焙煎中とのことで、準備が整い次第掲載予定です。目安としては2〜3週間以内にはアップされるとのことです。
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参照元:ニュース – あたらしい経済