ストリーミング市場に透明性をもららす「Audius」の仕組みとは?
分散型音楽配信のプロトコルであり、そのプロトコルを用いたアプリケーションの名称でもあるAudiusは急成長しており、デイリーアクティブユーザーが約500万にも達しています。前回のコラムでは、Audiusがストリーミング市場のどのような課題を解決しようとしているかについて解説しました。
【関連】音楽ストリーミング市場の課題を解決する「Audius」が急成長中
今回のコラムでは同アプリケーション・プロトコルの仕組みについて取り上げます。
Audiusの仕組み
Audiusでは以下のような要件を実現する分散型ストリーミングサービスです。
- アーティストにフェアな収益が支払われる
- 収益計算方法は透明性がある
- 従来のストリーミングサービスに対してミドルマンを少なくする。(ミドルマンは分散型のシステムとして存在し安価になる。)
このようなストリーミングサービスを実現するために、Audiusには5種類のステークホルダーが存在します。
- リスナー
- アーティスト
- コンテンツノード
- ディスカバリーノード
- コンテントレジャー
コンテンツノードはアーティストがアップロードしたコンテンツをホストする役割です。アーティストのファイルはAudSPと呼ばれるAudiusの分散型ストレージに保管されます。この保管のためのストレージを提供するノードに対して新規発行されるAUDIOトークンが報酬として支払いされます。
アーティストが楽曲を追加すると、楽曲はセグメントに分割され、ローカルで暗号化された後、AudSPにアップロードされます。ユーザーが楽曲のストリーミングを開始すると、適切なコンテンツノードに異なるセグメントへのアクセスを要求します。
アーティスト自身がコンテンツノードを運営して自分のコンテンツをホストしている場合、ファンが自分の音楽をアンロックして消費するための条件をさらに加えることができます。これは、ストリームごとの支払いなどが該当します。
ディスカバリーノードはコンテンツノードが保持する情報をインデックスしてAPIとして提供する役割です。Audiusのプロトコルでは分散したコンテンツノードが音楽ファイルを保持していますが、それらのクエリ最適化をします。これによって例えばアーティスト名・カテゴリ・プレイリストをはじめとしたメタデータでファイルへアクセスができるようになります。ディスカバリーノードもコンテンツノードと同様にプロトコル上で仕事をすることでAUDIOトークンが報酬として支払いされます。
コンテンツレジャーにはプロトコルとプラットフォームの運用に関連するすべての情報が含まれています。コンテンツレジャーはAudiusのグローバルステートと言えるような台帳ですが、これはブロックチェーンに直接記録しているのではなくオフチェーンで管理されハッシュ値が継続してイーサリアムのブロックチェーンにプッシュされています。
コンテンツレジャーには以下のような要素が含まれます。
- 有効なノードのレジストリ
- プロトコルと対話するすべてのユーザーのソーシャルグラフ
- ガバナンスシステムの実装
- コンテンツのトラッキング(コンテンツ自体はAudSPに保存されます)
- 収益の分配
- コンテンツの所有構造
- メタデータ
いずれのノードもAUDIOトークンをステーキングすることがノードになる資格条件で、ノードを実行することによって報酬を得ることができます。
この他にも、人気のプレイリストを作成してシェアするユーザーにAudiusトークンが新規発行のインフレーションから割当されています。
Audiusでは2021年7月現在の時点でリスナーは音楽を無料でストリーミングできます。しかし今後、サブスクリプションや条件を指定して特定のユーザーしか音楽を聴けない制限をしたりのマネタイズなどが実装される予定です。また各アーティストがトークンを発行できるような機能も示唆されています。
AUDIOトークンの概要
すでに述べたようにAudiusにはエコシステム内のステークホルダーに対してインセンティブとして機能させるためのAUDIOトークンが存在します。
ユースケース
AUDIOトークンの使用用途は主に以下の3つです。
①ノードの参加資格と報酬
いずれのノードになるためにもAUDIOトークンのステーキングが必要です。オフラインになった場合、ステーキングしていたAUDIOトークンが没収される罰則があります。
②リスナーからファンへの課金や投げ銭
リスナーからファンへの課金や投げ銭に使用されます。
③ガバナンストークン
AUDIOトークンの保持者はネットワークの重要な決定や方向性に対して議決権を持ちます。
トークンディストリビューション
AUDIOトークンの初期ディストリビューションは以下の通りです。
AUDIOトークンは年間7%のインフレーションをして、ノードへの報酬やプレイリスト作成者に支払われます。
まとめ
いかがだったでしょうか。Audiusの注目すべき点はなんといってもそのユーザー数ですが、トークンへの投資判断は仕組みなども吟味したうえで慎重になりたいところです。
【こんな記事も読まれています】
・仮想通貨取引所のビットコイン(BTC)保有量減少中、投資家たちは強気市場でも貯め込む傾向に
・著名アナリストが6-12カ月後のイーサリアム価格を100万円越えと予測
・仮想通貨の普及は東南アジアで顕著、ベトナムの41%が保有
参照元:CoinChoice