VISAがCBDCに深くコミット【上】:進む仮想通貨受け入れ
VISAが暗号資産(仮想通貨)の幅広い受け入れを進めています。VISAは特に3月以来、米ドルと1対1交換できるステーブルコインのUSDコイン(USDC)の決済を開始しています。つまり近い将来実現することが予測されている、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に深く関わる動きが注目されています。
VISAが仮想通貨を受け入れるとの180度政策転換を明らかにしたのは、仮想通貨を自社商業用の決済ネットワークに新たに直接加える決定を下すと発表した今年1月のことです。
デジタル・ゴールド、ステーブルコイン、CBDCいずれも受け入れ
VISAのアルフレッド・ケリー(Alfred Kelly)会長兼最高経営責任者(CEO)は1月末の決算説明会で、すでに35の仮想通貨プラットフォームとウォレットと提携している自社決済ネットワークに、仮想通貨を直接加える可能性に触れて、「当社の戦略は、ユーザーがVISA信用情報(Visa Credentials)を利用してこれらの通貨を購入したり、世界でVISAを受け入ている7,000万マーチャントが、法定通貨で購入する代わりにVISAで清算することができるよう、仮想通貨ウォレットや取引所と協力することである」と語りました。
ケリー氏はそのため、仮想通貨市場を2つのセグメントに分けて、1つ目はデジタル・ゴールドと呼ぶビットコインのような新しい資産であり、「資産として保有されているが、現時点では決済手段としては目立って利用されていないもの」と説明しました。
さらに2つ目のセグメントは、既存の法定通貨との交換で支えられているステーブルコインと中央銀行デジタル通貨(CBDC)です。これらは「グローバルな商取引に利用される可能性のある新しい決済手段」となりうるものです。ケリー氏は、2つのセグメントがいずれもVISA戦略の一部にすることを明らかにしました。
デジタル通貨を160余りの法定通貨を支えるVISAネットワークに加える
ケリー氏はさらに、その可能性の一端として、Crypto.com、BlockFi、Fold、BitPandaなど35社ほどのデジタル通貨プラットフォームやウォレットとの協力関係を指摘して、「これらは5000万以上のVISA信用情報の可能性を意味している」と語っています。
ケリー氏は結論として、「言うまでもないが特定のデジタル通貨は今や、かなりの程度まで認められた取引手段となっており、今日まですでに160余りの法定通貨をサポートしている当社ネットワークに加えない理由は全くない」と語りました。
CBDCやステーブルコインは法定通貨と類似、新たな決済手段に
一方CBDCやステーブルコインについて、ケリー氏は「法定通貨と多くの点で類似、世界の商行為に用いられる可能性のある決済手段のイノベーション」と語り、「リアルタイム・トランスポート・プロトコル(RTP)や自動資金決済センター(ACH)などの付加的ネットワークとして、公開ブロックチェーン上で運用されるデジタルがそれだ」として、VISAは中央銀行と協力することはやぶさかではないと語ります。
参考
・Crypto’s Are Becoming Mediums of Exchange as Visa CEO Plans to Add Them to the Network
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参照元:CoinChoice