米最大の仮想通貨取引所コインベースは創業からどのように成長してきたか
アメリカ最大の暗号資産取引所コインベース(Coinbase)は2021年2月25日に米国証券取引委員会(SEC)に上場目論見書を提出しました。本上場による予想時価総額は800~1200億ドル程度(8兆円から12兆円程度)のレンジだろうと予想され、業界への影響も非常に大きいものになります。
同社の展開する事業については下記のコラムで解説しています。本コラムでは、同社がどのように成長をしてきたかを解説します。
【関連】:CoinbaseがSECに上場申請資料を提出。同社の事業を知る。
創業時のコインベース
コインベースの主力事業は、創業時から現在に至るまで一貫して暗号資産の取引所ビジネスです。
コインベースは2012年にブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏とフレッド・エールサム(Fred Ehrsam)氏の2名によって設立をされました。アームストロング氏は元Airbnbのエンジニアで、エールサム氏は元ゴールドマンサックスのトレーダーです。
もう一名初期の創業メンバーとしてベン・リーブス(Ben Reeves)氏がいます。しかし彼は早期にコインベースを離れ、Blockchain.infoの創業に参画しています。また、エールサム氏も2017年にコインベースを離れて暗号資産専門のファンドであるパラダイム(Paradigm)を創業しており、2021年時点で創業者として残っているのは最高刑責任者(CEO)のアームストロング氏のみです。
コインベース創業者とビットコイン(BTC)の出会い
コインベースは2012年の夏にYコンビネーターのプログラムに参加し、15万ドル(約1,600万円)を獲得してサービスをローンチします。それ以前、アームストロング氏は起業を志すことはなく、Yコンビネーターも腕試しが半分であったと言います。自作ソフトウェアを作るなかで思いついたアイデアで、Yコンビネーターのプログラムに参加し、自信をつけたというエピソードをポッドキャストで語っています。
アームストロング氏がビットコインに出会ったのは2011年で、シリコンバレーの第一次ビットコインブームにあたります。当時、2011-12年のビットコイン業界で有名な会社は、ビットインスタント(BitInstant)やマウントゴックス(MtGOX)、ビットペイ(BitPay)などで、やや後発で登場をしたのがコインベースでした。特に初期のビットコインコミュニティーでは、サイファーパンクに傾倒する人間が多く、中央銀行への批判を多く行うような人物が目立っていました。コインベースは当時からそういったテーマとは一歩距離を置き、その後の成長をしてくことになります。
アメリカ最大の暗号資産取引所から世界へ
黎明期のビットコイ業界ではギャンブルやウォレットアプリなどさまざまな分野でスタートアップが創業されましたが、その中で取引所という事業カテゴリーが最も成長する事業セグメントであった認識されるようになるのは2015年頃からでした。その頃にはすでにコインベースは米国最大のの暗号資産取引所として認知を得るようになります。
コインベースが2017年に行った資金調達では、暗号資産業界で一番最初にユニコーン企業になった会社として取り上げられています。この頃には同社はアメリカ以外にもオフィスを開設して、ヨーロッパを中心にグローバルでも存在感を強めています。2018年以降は、機関投資家向けの製品の拡充も目立ちます。当時の最大のカストディ企業Xapoを傘下にして、コインベースは取引所だけでなくカストディ事業者としても業界最大となっています。
テスラのビットコイン購入もサポート
これらの機関投資家向けのインフラストラクチャーを備えて、2020年から2021年にかけては多くの機関投資家のビットコイン購入をサポートしていることが明らかになっています。実際にマイクロストラテジー(MicroStrategy)やテスラ(Tesla)などの企業がビットコインを購入した際には、コインベースがサポートしていとされています。
コインベースで取引されている暗号資産価格が他の取引所よりプレミアムがついている場合、米国企業がビットコインを購入している可能性が高いとも言われています。
まとめると、リテール向け取引所ビジネスからスタートし、現在は機関投資家にも信頼される暗号資産取引所企業であることが同社の沿革になります。今回提出された上場目論見書によると、売上収入の95%が取引所手数料によるものであると明らかにされています。上場により、同社は資金調達の手段が増えてますます拡大していくことが予想されます。
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参照元:CoinChoice