コインベース(Coinbase)がSECに上場申請資料を提出、同社の事業を知る
アメリカ最大の暗号資産取引所コインベース(Coinbase)が2月25日、米国証券取引委員会(SEC)に上場目論見書(S-1)を提出しました。本上場による予想時価総額は800~1200億ドル程度(8兆円から12兆円程度)のレンジだろうと予想され、業界への影響も非常に大きいものになります。
加えてこれまで非上場企業であったため、明らかになったいなかった業界のトッププレイヤーの業績が明らかになります。
Coinbaseはアメリカ最大の取引所であり、同時にアメリカで最も大きい暗号資産企業でもあります。日本人は対象ユーザーではないため、同社の事業について知らない人も多いのではないかと推察します。本コラムでは同社の展開事業について解説します。
Coinbaseの主力事業
Coinbaseの製品群を解説します。Coinbaseの主力事業は取引所ですが、全体としては以下のような事業ラインナップになっています。
参照:https://www.coinbase.com/products
取引所事業としては、Coinbase(初心者向け)・Coinbase Pro(プロ向け・米国で最も出来高がある市場)・Coinbase Prime(機関投資家向けのブローカー事業)の大きく3つに分類されます。
CoinbaseとCoinbase Proのすみ分けについては分かりやすく、日本国内取引所に例えるならば販売所と板取引所のような違いであると考えれば良いでしょう。Coinbase Primeは、機関投資家向けのブローカー事業で、大口のオーダーに対して、Coinbase Proや他社のOTCなど複数を横断して価格を提示することができます。
Coinbaseは、2020年5月にTAGOMIを9,000万ドル(約97億円)で買収しました。TAGOMIは暗号資産のブローカーディーラーで、顧客から注文があった場合にCoinbaseやBinance、FTXなど複数の取引所を横断して、最適レートを提供する取引機能を特徴としています。TAGOMIの顧客の中心は機関投資家で、Coinbaseはこの買収によって機関投資家に対する取引手段をさらに充実させた形になります。
Coinbaseの収益
同社の収益の中心は取引手数料収入で、Coinbase Proの手数料形態は次の通りです。直近30日の取引量に応じて手数料が変化して、取引量が大きければ大きいほど手数料率が下がる仕組みです。
参照:https://pro.coinbase.com/fees
Coinbaseの取引量は米国では長らくトップを維持しており、世界全体ではBinanceに次ぐ規模です。
参照:https://www.bitcointradevolume.com/
取引所以外のその他の事業としては、Circleと連携して行っているUSDCステーブルコインの発行があります。加えて暗号資産をチャージして決済できるデビットカード事業、モバイルウォレット、機関投資家向けカストディがあります。
暗号資産を無料で配布するCoinbase Earnでは、ユーザーが所定の条件を満たすと特定の暗号資産がもらえるサービスです。さまざまな種類の暗号資産を配っていますが、このサービスのマネタイズはプロジェクト側にあり、プロジェクト側の視点ではCoinbaseの豊富な数のユーザーに認知を得ることを利点としています。
また、CoinbaseはCoinbase Venturesという投資部門を持っています。主要な投資先としては、CompoundやBlockFi、Dharma、Celo、Securitizなどが挙げられ、約70のプロジェクトに投資しています。投資先一覧は下記のリンクから閲覧できます。
まとめ
いかがだったでしょうか。 同社の事業は取引所を核となしながら、ステーブルコイン・暗号資産のプロモーション・ケード事業・投資アームなど多岐にわたっていることが理解できます。
Coinbase上場におけるマーケットへの影響は以下で解説していますので、ご興味ある方はこちらもお読み下さい。
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参照:S-1 1 coinbaseglobalincs-1.htm S-1
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参照元:CoinChoice