分散型金融(DeFi)はメインストリームに成長しなくても何十倍もの伸びしろがある

分散型金融(DeFi)はメインストリームに成長しなくても何十倍もの伸びしろがある

2020年の夏はDeFi(分散型金融)ブームに火がつき市場が盛り上がりました。またDeFiは長期的にどの程度まで成長するのか、多くの人が予想をしています。本コラムでは、イアン・リー(Ian Lee)氏による論考を紹介します。リー氏はシティグループやデロイトなどでベンチャー支援を行ってきた人物で、現在は暗号資産業界のベンチャー企業を対象にインキュベーションをしています。

ロックされた資金が1兆円を超えた分散型金融(DeFi)

リー氏によると、DeFiはメインストリームにアダプションする必要はなく、またメインストリームに成長しなくても今の何十倍もの伸びしろがあるという意見を展開しています。

イーサリアム(Ethereum)上のDeFiのスマートコントラクトにロックされている資金の総額(TVL)は、110億ドル(約1兆1,500億円)にまで成長しました。これに対してDeFiはいつになればメインストリームにアダプションするのだろうか?という問いがあるものの、リー氏はその必要はないと言っているのです。

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参照:DEFI PULSE

分散型金融(DeFi)の市場規模

DeFiのスマートコントラクトにロックされている資金は巨大であるものの、これは未だ暗号資産市場全体のわずかか2%です。またDeFiトークン全体の時価総額で見ても150億ドルであり、同じく暗号資産市場全体と比較すると4%です。もしDeFiがこれから10倍に成長したとしても暗号資産市場の20-40%の規模でしかありません。
世界の市場と規模

リー氏は、DeFiは暗号資産市場全体の少なくとも50%にまで成長するだろうと予測しています。加えて暗号資産市場自体が今後10年で3倍に成長をした場合、DeFiは 5,000億ドルの市場となり、これは現在の30-70倍の市場規模であるということです。同氏は、スマートコントラクトにロックされる資金は2~300億ドルにまで上昇して、DeFiトークンの時価総額は5~600億ドル程度を来年に目指すだろうと予想しています。

defiの市場規模
DeFiが獲得する市場はServiceable Obtainable Market (SOM) という市場であると氏は展開しています。SOMはBaaS(Banking as s Srevice)やAPI市場など、何か他のサービスのバックエンドとなるサービスの市場を指します。DeFiはまさにこれに当たり、何かしらの金融サービスのバックエンドになるでしょう。

そしてこの市場の規模は5,000億ドル以上であり、現在のDeFiの市場規模から比較して十二分な成長余地があると主張しています。

DeFiはそれだけで完結される持続的な金融システムも構築

またリー氏は、DeFiはそれだけで完結される持続的な金融システムすらも構築できるとも主張しています。DeFiがどのようにして主流になるのかを想像するとき、それが「現実の」金融システムと経済への橋渡し、不換紙幣のオンランプとオフランプ、そしておばあちゃんが簡単に使えるような抽象化に頼るものだと想定してきました。

現在、多くのスタートアップが取り組んでいるように、これらは時間の経過とともに必然的に起こることが予想されますが、リー氏はそうする必要はないと主張しています。

DeFiは、代替的で自立した金融システムとその周りの経済を構築しています。すでに、銀行口座やクレジットカードからDeFiに入り、お金を稼ぎ(貸し出し・流動性マイニング・イールドファーミング)、富を増やし(例:Uniswapでの取引、TezosやNEARでのステーキング)、新しいDeFi対応のコマースプラットフォーム(Foundation・Zora)で支払いを行うことができます。

そして、それを中心に構築されるすべてのもの、例えばeコマース、デジタルメディア、ソーシャルネットワーク、コミュニケーションやコラボレーションツール、B2Bシステムなども構想されています。つまり、一度DeFiのシステムに入るこむとリアルワールドの世界に戻る必要がないのです。

DeFiだけで生活できる世界

リー氏は既存の金融機関やフィンテックサービスのバックエンドとしてのDeFi、またそれとは別にDeFiだけで生活できる世界の2つを想定しています。DeFiが金融機関のバックエンドとして機能するだろうということはこれまでも何度か紹介してきました。

そして、同時に先進的な個人がそれらのDeFiプロトコルを直接扱えるようになるでしょう。そして、この2つのアダプションは同時に行われ、それだけで十分な市場に成長するだろうと予想されます。

参考
DeFi Doesn’t Need to Go Mainstream

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参照元:CoinChoice

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