米国で暗号資産関連の重要法案「デジタルコモディティ取引法・証券分明法」提出
米国の国会で2020年9月24日に、暗号資産(仮想通貨)関連の重要な2つの法案が提出されたことが明らかになりました。「デジタルコモディティ取引法(DCEA)」および「証券分明法(SCA)」と呼ばれるこれらの法案は「暗号資産取引所を米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下に置くこと」と「”暗号資産が証券に該当するかどうか”を明確にすること」を目的としています。
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「デジタルコモディティ取引法(DCEA)」
デジタルコモディティ取引法(Digital Commodity Exchange Act/DCEA)は、Michael Conaway(マイケル・コナウェイ)下院議員によって提案された法案であり、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などといったあらゆる暗号資産を「コモディティ(商品)」として分類し、暗号資産取引所を「デジタルコモディティ取引所」として米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄に置くことを目的としています。
暗号資産取引所は「デジタルコモディティ取引所」のライセンスを取得することができるようになり、このライセンスを取得すると州ごとに申請する必要がある「資金移動ライセンス」は免除されるメリットがあります。デジタルコモディティ取引所のライセンスを取得しない場合には、取引所サービスを運営したい州で該当する資金移動ライセンスを取得する必要があるとされています。
なお「デジタルコモディティ取引所」のライセンスを取得した取引所は「暗号資産の現物取引サービス」を提供することができるものの、「暗号資産のデリバティブ取引サービス」を提供するためにはこれまで通り「指定契約市場」のライセンスを取得する必要があります。ICOやIEOで販売されるトークンの取引は「デジタルコモディティ取引所」のライセンスで提供することができることになっています。
デジタルコモディティ取引所が取り扱う暗号資産に関しては『容易に相場操縦することができないこと』が主な条件となっており、取引所側は暗号資産上場を検討する際に「トークンの用途・ガバナンス構造・市場参加者」などといった複数の要素を考慮しなければならないとされています。
この法案には「暗号資産取引所・暗号資産のカストディ・トークンの取扱い」などといった暗号資産関連の様々な規定が記されており、暗号資産取引を「米商品先物取引委員会(CFTC)」の管理下に置くことによって、これまで州ごとに求められていたライセンス業務が政府に統一される仕組みが採用されているため、米国内の暗号資産規制が合理化され、仮想通貨取引所の参入障壁が下がることになると期待されています。
「証券分明法(SCA)」
証券分明法(Securities Clarity Act/SCA)は、仮想通貨擁護派として知られるTom Emmer(トム・エマー)議員が提出した法案であり、“暗号資産が有価証券に該当するかどうか”を明確にすることを目的としたものとなっています。
米国証券取引委員会(SEC)はこれまで、全ての暗号資産販売は「Simple Agreement for Future Tokens(SAFT)」という投資契約に該当するとの判断を下していたため、「Telegram(テレグラム)」が実施したICOなどは『米国証券法に違反している』の指摘を受けており、最終的にはトークン発行の計画が中止となっていました。
証券分明法(SCA)は、有価証券に該当する「投資契約」と「仮想通貨販売」の違いを明確にすることを目的としたものとなっており、SAFTで販売される仮想通貨が有価証券に該当しないことを規定することによって、SECがSAFTを基に仮想通貨の販売を法的に追求することができないよう制限する内容が盛り込まれています。
これら2つの法案は『仮想通貨関連規制が不明瞭である』と指摘されていた米国の規制を明確化する内容となっており、正式に可決されれば仮想通貨市場の発展を促進する可能性があると考えられるため、今後の動向には注目が集まっています。
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