米大統領選挙が仮想通貨やドル、ゴールドに与える影響は?
米大統領選挙(11月3日)まで2カ月を切りましたが、金融アナリストは概して米ドルに対して弱気の予測をし始めています。トランプ氏が再選されるとして起きるだろうシナリオは、ドルが崩壊し、金(ゴールド)が事態を修正、その結果として暗号資産(仮想通貨)が利するという予測です。
両候補のいずれが勝ってもドルは軟化
アナリストでコンサルタントのダン・ポペスク(Dan Popescu)氏は、大統領選の結果が市場に与える影響について、「現時点で、市場はバイデン氏の勝利を予測しており、その結果として金価格が上昇し、ドル指数は崩れ、その状況が長く続く」と分析しています。
ポペスク氏は、逆にトランプ氏が勝利した場合、「株式市場は非常に強気になり、富裕層への減税、株式市場向けに多くの減税を断行するだろうトランプ氏を歓迎する」と述べています。しかし、トランプ氏が当選すればドルは株式市場とともに上昇して金価格は下落するがそれは一時的だろうとし、次のように語っています。
「金はトランプ氏の勝利を修正し、ドルの崩壊を招くだろう。バイデン氏よりトランプ氏によって金価格は(1オンス当たり)5000ドルを目指して迅速に上昇するだろうが、両候補のいずれが勝利しようとも、ドルは軟化する」。
米金融大手は米ドルが世界の準備金としてのステータス失うと警告
ドル価値の下落を予測するアナリストはほかにもいます。JPモルガン・アセット・マネジメント(JPMorgan Asset Management)のパトリック・ショウィッツ(Patrik Schowitz)氏は「金利面の優位さが縮小することによって、米ドルの魅力は低下し、投資家は手持ちの資金をほかの通貨に預けざるを得なくなる」と語ります。
またゴールドマン・サックスは7月下旬、米ドルが世界の準備金としてのステータスを失うリスクがあると警告しました。
一方、金融アドバイザリー企業デビア(Devere)のナイジェル・グリーン(Nigel Green)最高経営責任者(CEO)は、大統領選挙がビットコイン(BTC)価格の上昇を呼び込むと考えています。
同CEOは「ビットコインはすでに年間最高の業績を上げている資産の1つである。その価格は年初から今日までに約70%上昇した」ことを指摘し、「世界最大の仮想通貨が、大統領選と米ドルの軟化によって、2020年の残りの期間にさらに勢いづくと期待できる」と述べています。同CEOはさらに、「政情不安が高まると、投資家は特にビットコインや金のように、特定の国と何ら関係のない安全な逃避先となる資産に一斉に関心を寄せる」と語りました。
資産逃避先としての金やビットコイン(BTC)への期待と価格高騰という2つのシナリオ
トランプ氏の元大統領首席補佐官代行のミック・マルバニー氏は「バイデン氏が勝利すれば、極めて短期間のうちに雪崩のような規制に直面するだろう」と述べ、一部エコノミストは、株式市場の後退を懸念しています。
スキュー(Skew)データによると、ビットコインはこの数カ月、金との相関関係を強めていることから、株式市場の停滞はビットコインの浮上のきっかけになりうるとの予測もあります。
また大統領選後に予想できる2つのシナリオがあります。第1に資産逃避先として金への期待が高まれば、ビットコインにも同様の結果が生じること。第2に、株式の停滞により、3月に起きた金やビットコインの価格下落の再現もありうること。
参考
・Analysts Predict US Presidential Election Outcome Could Collapse Dollar, Boost Bitcoin and Gold
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参照元:CoinChoice