ステーブルコインが一般的な決済手段に近しい形でより使いやすく、USDCがアップデート
ステーブルコインは法定通貨とほぼ連動したブロックチェーン上のトークンです。それには法定通貨自体が裏付けになっているものや、暗号資産担保型などさまざまありますが、取引所のトレードペアやDeFi(分散型金融)など限られたユースケースの中でしか使われていません。
ステーブルコインのユーザビリティの問題点
ステーブルコインは日常決済や企業が利用する決済手段としては機能していないのが現状です。法定通貨と変わらないにも関わらず、他のデジタル決済手段のように浸透していない理由は下記のようなものが考えられています。
- 一般ユーザーにはウォレットのインストールが面倒くさい
- 一般ユーザーには秘密鍵の管理が困難
- トランザクション手数料が必要(一般ユーザーがETHを保有する必要性がある)
- イーサリアムのブロックチェーンの処理速度が遅い
USDcoin(以下:USDC)を運営するCENTREコンソーシアムこのほど、これらの問題を一部解決するアップデートを発表しました。
USDCは現在主要なステーブルコインの一つです。USDCは、単一の企業が発行するステーブルコインではありません。コインベース(Coinbase)やサークル(Circle)が主導するCENTREというコンソーシアムが開発しており、CENTREコンソーシアムはステーブルコインを発行のためのフレームワークのようなもので、適格金融機関はCENTRE会員になれば、Circleと同様にステーブルコインの発行ができますます。
USDCはイーサリアム上のERC20で実装され、いずれの金融機関から発行される場合も同じコントラクトアドレスから生成されます。
CENTREのステーブルコインのフレームワークには、監査やライセンス条件、発行スマートコントラクトの規格が含まれています。将来的には他のブロックチェーンにも対応する予定であるとしています。各会員パートナーは、それぞれの発行・引き出し手数料を決める自由がある程度あり、それぞれのインターフェイスでステーブルコインに関連するフレームワークを提供できるようにしています。
発行するパートナーは自身で法定通貨のカストディ(カストディとは「保管」を意味し、保管、管理を行う業務のこと)を行っても良いですし、他のメンバーにカストディを任せることもできます。カストディも行う場合、別途基準と監査が求められるという仕組みです。
さらに将来的には、他の金融機関はUSDCに加えて、EUR、CNY、GBP Coinなども発行することができることが想定されています。
USDCがアップデートを公開
USDCは8月に3つの大きなアップデートを公開しました。
トランザクション手数料の肩代わりシステム
USDCのウォレットプロバイダが、ユーザーが支払うトランザクション手数料を肩代わりしたり、ユーザーがETHでなくてもUSDC自体で支払いできるフレームワークが公開されました。これによって、ユーザーが支払うトランザクション体験が普通の決済サービスに近くなります。
秘密鍵の管理方法、複数署名形式の追加
また、USDCは複数のオンチェーン署名のスマートコントラクトに対応しました。これによって予め所有している3つの秘密鍵のうち2つがそろわないとトランザクションを実行できないなどの設定が可能です。ウォレット事業者は1つの秘密鍵を預かり、ユーザーが2つの秘密鍵を持つなどの扱い方をすれば、ユーザーは通常通りトランザクションができながらも、鍵を一つ紛失しても事業者が保有しているものを使用して復元が可能です。
上記のアップデートにユーザー対応や既存アセットに影響はない
最後に重要な点として、上記のアップデートにユーザー対応や既存アセットに影響はないことが示されています。
このようにステーブルコインのユーザビリティが向上して、一部は日常での決済やセキュリティトークンなどの分野でもいずれ利用されるようになることが期待されます。
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参照元:CoinChoice