高速低コストなDeFiプロダクト「Serum DEX」の利用方法
Solana(ソラナ)ブロックチェーン上に構築されたDEX(分散型取引所)Serum(セラム)が7月30日に正式に取引を開始しました。
今回はSerum DEXの利用方法について「最初のウォレット作成からトレード開始まで」の流れを公式のSerumアカデミーを参考に順序立てて解説します。
SerumDEXの概要は「ソラナ上のDEXプロジェクトSerumはDeFiの新たなフェーズとなるか」でご紹介しています。
基盤となるソラナは、2020年にメインネットベータ版をローンチをしたスマートコントラクトが実行できる新興の汎用ブロックチェーンです。「高速な処理ができるブロックチェーン」と表現されるプロジェクトは他にも複数存在しますが、その多くが秒間50-100トランザクションです。ソラナの場合は、秒間で5万トランザクションを実行できる点でゲームチェンジャーだと期待されます。ソラナについて基礎的な情報はこちらの「Solanaとは?秒間5万トランザクションを処理できるブロックチェーン」で紹介しています。
Serum DEXの利用方法
Serum DEXの利用方法を上図表に沿って以下の手順でご紹介します。
- SOLウォレット(推奨されているSollet.io)の作成及びSOLの調達、預入れ
- Serum DEXにアクセスし、SOLウォレットと接続してトレード開始
SOLウォレットの作成及びSOLの調達、預入れ
Serumはソラナブロックチェーン上に構築されたDEX(分散型取引所)ですので、まずはSerumと対話するためのSOLウォレットを準備する必要があります。また取引時に支払う手数料はソラナのネイティブトークンSOLを利用しますので、作成したウォレットに適量のSOLを事前に預入れしておく必要があります。それではSOLウォレットの作成とSOLの預入れまでの過程について解説していきます。
Sollet.ioウォレットの作成
執筆時点でSerum利用に推奨されているのは「sollet.ioウォレット」です。新たにsollet.ioを作成する場合は、こちらにアクセスしてSeed Wordsの取得とパスワードの設定を行います。Seed Wordsは先のURL先にアクセス後に表示される下画面の黒塗り部分に表示されています。
Seed Wordsはウォレットを復元する際に入力しなければならない重要なものです。Sollet.ioを管理していたデバイス(PCやスマホなど)の紛失や機種変更した場合に、預入れていた資産を復元できるのはSeed Wordsのみで、一般的な中央集権的なアプリケーションと異なり、分散型ウォレットは運営側のサポートで復元できるようなものではありません。またSeed Wordsを用いると誰でも資産を復元できてしまうため、Seed Wordsは必ず安全な場所に大切に保管してください。
Seed Wordsを控え終えたら、上画面左下にある「I have saved these words in a safe place」の左横にあるチェックボックスを確認し、右下の「Continue」から次のページへと進み、パスワードを設定しましょう。
上画面がパスワード設定画面です。このパスワード設定はオプションですので、設定してもしなくてもウォレットの作成はできます。Seeds Wordsの盗難などに備えて、より安全性を求めるならば設定をしておきましょう。
このプロセスを終えたのちに、上画面右下にある「CREATE WALLET」をクリックするとSollet.ioウォレットの作成は完了です。
SOLの調達とSollet.ioウォレットへの預入
次にSerumの取引手数料に用いるSOLトークンを調達して、作成したSollet.ioウォレットに預入れします。SOLトークンはBinanceやFTXなどの暗号資産取引所で取引されているので、そこで調達することができます。
調達したSOLトークンは、先ほど作成したSollet.ioウォレットへ送信します。上画面のようにウォレット内の「Receive」を選択すると自身の保有するSOLアドレス(ランダムな文字列)が表示されます。
このSOLアドレスを宛先にして、SOLを送信します。※SOLアドレスはSOLトークンのみを受付けています。その他のSPLトークン(例えばSRMトークンなど)はこのSOLアドレスには送信しないよう注意してください。
またSollet.ioウォレットに預け入れたSOLは自動的にSPLトークンへと変換されます。SPL規格にする理由は、後述するその他のSPLトークンと取引互換性を持たせるためです。
ビットコイン(BTC)など異なるチェーンをSollet.ioウォレットに預け入れる方法
その他のSRMやMSRM、FTT、BTC、ETH、XRPなどは別途専用のSPL規格のアドレスを開設する必要があります。
ウォレット内に「+マーク」で表示された「Add Token」という項目があるので、そちらを選択すると上画面が表示されます。
それぞれのトークンの右端にある「ADD」を選択すると専用のアドレスが追加され、そのアドレスで送信や受信ができるようになります。※このアドレスの追加作業には少額のSOLを消費しなければなりません。執筆時点では0.002039SOLが必要でした。
またBTC、ETHをこの追加されたアドレスに送信すると自動的にSPLトークンへと変換されます。これを「ラップする」と表現しますが、SPLトークンではないETH、BTCを同一規格のSPL規格にラップすることで、SerumDEX上で互いに取引可能になるため、このような手順を踏んでいます。またこのラップされたトークンを元のチェーンに送信すると、例えばETHをイーサリアムアドレスに送信すると自動で元のETHへと変換されます。
補足:Sollet.ioに事前に登録されているトークンについては上記の方法で追加することができますが、登録されていないトークンをSollet.ioで保管する方法もあります。本記事ではその詳細は取り扱いませんが、上画面の「MANNUAL INPUT」タブから手動でアドレスを生成することができます。詳細はこちらを参照ください。
Serum DEXにアクセスし、Sollet.ioウォレットと接続してトレード開始
まずはwebブラウザからSerum DEX(https://dex.projectserum.com/#/)へアクセスします。
アクセス後に画面右上にある「Connect wallet」を選択すると先ほど作成したSollet.ioウォレットと接続することができます。
上画面のようにSerum DEXに保有するSollet.ioウォレットを紐づけて良いか許可を求められるので、アクセスを認めて画面右下の「CONNECT」を選択します。
接続が完了するとSerum DEX右上の表示が下画面のように「Disconnect」に切り替わっているはずです。もし、保有するSollet.ioウォレットとの接続を解除したい場合はこの「Disconncet」から行えます。
以上のプロセスでSerumDEX上でトレード開始の準備が整いました。本記事ではトレード方法の解説までは行いません。Serum DEXはイーサリアム上のUniswapのようなAMM(自動マーケットメイカー)系のDEXと異なり、中央集権型取引所のようなオーダーブックをもつ親しみやすいDEXです。取引方法について詳細を知りたい方は公式のこちらを参照ください。
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参照元:CoinChoice