(LIFULL松坂維大氏、Securitize森田悟史氏コメントあり)LIFULLがデジタル証券プラットフォームを提供するSecuritize Japanと不動産特定共同事業者向けのSTO(Security Token Offering)スキームの提供を開始

LIFULLがデジタル証券プラットフォームを提供するSecuritize Japanと不動産特定共同事業者向けのSTO(Security Token Offering)スキームの提供を開始

不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」等の住生活関連サービスを提供する株式会社LIFULL(ライフル)が、デジタル証券プラットフォームを提供するSecuritize Japan株式会社と業務提携を行い、不動産特定共同事業者(不特法事業者)向けのSTO(Security Token Offering)スキームの提供を開始したことを発表した

不動産特定共同事業者とは不動産特定共同事業法に準拠した形で投資家からの出資を集め、現物の不動産を取得・運用する事業者のことを指す。

業務提携の目的は不動産業界への幅広いチャネルを持ち、これまで複数のブロックチェーンPoCによって培った不特法事業への適用に関するLIFULLの知見と、米国で多数のセキュリティトークン発行実績を持つSecuritize社のSaaSを組み合わせることにより、不特法事業者のセキュリティトークン発行を支援・推進すること。

この不特法事業者向けSTOスキームの主な特徴として以下3つが挙げられている。

1.既存の不動産クラウドファンディングサイトへセキュリティトークン発行および譲渡機能を追加可能になる。つまり既存の不動産クラウドファンディングの出資持分発行にセキュリティトークン発行をリンクさせることで業務フロー等の変更を最小限にセキュリティトークン発行を可能なるとのこと。

2.セキュリティトークンによる持ち分譲渡のデジタル完結が可能になる。つまり発行したセキュリティトークンを用いた投資家間の相対譲渡はイーサリアムパブリックチェーン上に記録される。譲渡先はスマートコントラクトにより制限され、匿名組合員以外への譲渡制限が可能。

3.ブロックチェーン開発を必要とせず導入が可能になる。トークン発行は米国で多数の発行実績を持つSecuritizeのDSプロトコルを用いて、発行操作等はSaaS型専用アプリケーションを利用するため、複雑なシステム開発は不要となる。

あたらしい経済編集部は、LIFULL社長室ブロックチェーン推進グループ長の松坂維大(まつざかつなひろ)氏とSecuritize Japan Tech Consultantの森田悟史(もりたさとし)氏に取材をした。

LIFULL社長室ブロックチェーン推進グループ長松坂維大氏へ取材

ーLIFULL社としてSTO×不動産はどのような将来像を描いていくと考えられますか?

ST(Security Token)による不動産のデジタルアセット化は始まったばかりですが、不可逆な流れであり、いずれすべての不動産がデジタルアセット化されると考えます。人々のくらしに欠かせない不動産が、デジタルアセット化されることにより実用と資産の両面で常に最適化される未来を実現していきたいと考えます。

Securitize Japan Tech Consultantの森田悟史氏へ取材

ーSecuritizeとして不動産とブロックチェーンはなぜ相性が良いと考えましたか?

不動産はアセットとして分かりやすい一方で、スキームによってはまだ手作業が多く小口化が難しかったり、二次流通が未整備だったりとSTOによって改善できるポイントが多いと言えると思います。米国での実績としても多く、Securitizeとしても注力している領域と言えます。

今回の不特法1号におけるスキームでは、現状だとできるけど仕組みが未整備で実質やっている人はほとんどいない二次流通機能を導入することで、投資家にとっては買いやすく、発行体にとっては期間の長い案件を作りやすくなるなど、不動産クラウドファンディングの世界を広げるきっかけになると思っています。

また、電子募集の仕組みを未整備の発行体にとっても、LIFULLさんのサポートとSecuritizeのテクノロジーによって、インターネットを通じた資金調達を始めるきっかけになればと思っています。

参考レポート

不動産市場を再考する
日本の不動産市場におけるセキュリティトークンの有用性について

編集部のコメント

一般社団法人日本セキュリティートークン協会(JSTA)の資料「STの定義とJSTAのカバレッジ」によると、セキュリティトークンは1.トークン化された有価証券表示権利、2.電子記録移転権利、3.内閣府令により、電子記録移転権利から除外されるもの、4.不動産特定共同事業法に基づく出資持分をトークン化したもの、5.上記以外のアセットの権利をトークン化したものの5つに分類されています。

ちなみにのセキュリティトークン中で1~3は金融庁管轄、4は国土交通省管轄となっています。つまり今回のセキュリティトークンスキームは不動産というアセットの特性に沿った法制で生み出されたということになります。

現状の法律を考慮すると、今回のLIFULLとSecuritizeの取り組みは非常に先進的な取り組みになると考えられます。これまで不特法事業者は不動産へ投資をすると、所有権の移転プロセスにおいて手間がかかり、権利の償還を待たざる終えなかったようです。

しかし不動産投資のプロセスがST化されることで権利の移転は容易くなり、投資に参加する人々の裾野も広がるのではないかと思われます。それはこれまで不動産のクラウドファウディングに参加していた一般投資家がSTOに参加できるようになるからです。 

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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