分散型金融のレンディングプラットフォームCompoundの独自トークンCOMPとは?
ブロックチェーン上の分散型レンディングプラットフォームとしては最大手のコンパウンド(Compound)が6月15日からの配布している独自トークンCOMPについて解説します。Compoundについて基本的な解説は下記のコラムで行なっています。
関連:イーサリアム(Ethereum)上のDeFi(分散型金融)プロトコルのCompoundとはなにか
ompoundの独自トークンCOMPを発行
CompoundはETHやUSDCをデポジットしロックすることで、金利を獲得できるレンディングプラットフォームです。また、預入資産を担保として使うことで暗号資産を借り入れることも可能です。レンディング領域において、Compoundは最大手であり、AaveやdYdX, Synthetixが続きます。
このCompoundがガバナンストークンとして発行し、貸し手と借り手にCompoundの利用実績に応じて配布するのがCOMPトークンです。現時点ではガバナンス機能(投票機能)しか付与されておらず、将来的には収益分配機能をも取り入れるという期待はあるものの詳細は不明です。にも関わらず初日には1COMPが100ドルで取引されるなど、総発行数を基にした時価総額が1,000億円を超える状態となりました(実際には、徐々にトークンが発行されていき、開発チーム向けのCOMPは4年間で漸進的に付与されます)。
COMPの概要
以下にCOMPの配布の方法をまとめます。
- 総配布数は10,000,000COMPですが、ユーザーに配布されるのは4割強の4,229,949COMP
- ETH、DAI、USDC、USDT、BAT、REP、WBTC、ZRXの各市場に0.50のCOMPが分配され、その市場で発生する利息に比例して分配される
- 各市場内では、COMPの半分が供給者に、残りの半分が借手に割り当てられる
- この仕組みはComptroller契約を実装したもので、Kovanテストネットで公開テストされ、OpenZeppelinとCompound Labsによってレビュー済み
出典:Expanding Compound Governance
上の図が分かりやすいですが、付与されるCOMPの量は、「貸し手としてどれだけの利回りを得たか」、「借り手としてどれだけの利息を払ったか」が重要になるため、他と比べて利率の高いコインをたくさん貸したり借りたりした場合に付与されるCOMPが最大化されます。
シミュレーションのためには以下のサードパーティ製の計算ツールをご利用下さい。
レンディングマイニングのルール
- 貸し手よりも借り手のほうが多いので、高い利息で多く借りたほうがより多くのCOMPを得られる(コストは高くなりますが、損益分岐点はCOMPの価格に依存します)
- 預入資産と借入資産の両方をステーブルトークンにすることで価格変動リスク(=清算リスク)を回避した上でレンディングマイニングが可能。預入資産はUSDC, DAI、借入資産はUSDC, USDT, DAIが利用できる
- ETHやZRXも利用できるが、利率が非常に低いので、これらは担保資産として使い、ステーブルコインを借り入れるとマイニングの利回りが向上する
これらの前提を踏まえた上で自身が所有するコインにとって最適な方法を選べば良いでしょう。
出典:Compound Governance is Live
COMPは上の表に記載された通りにエコシステムのステークホルダー向けに配布されます。
執筆している時点でCompoundの独自トークンの市場は活況しており、この動きに着目して、今後他のプロトコルやアプリケーションも同様のトークン配布手法を検討するのではないかと推察されます。
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参照元:CoinChoice