積水ハウスがブロックチェーンを使った内覧・契約の簡略化サービスを発表
積水ハウスが6月8日、ブロックチェーン技術を活用し賃貸物件の内覧や契約手続き、生活インフラ契約などの手続きをワンストップで行うサービスの開発を発表した。今回使われるブロックチェーン技術は、2020年4月に設立した一般社団法人企業間情報連携推進コンソーシアム「ネクスチェーン(NEXCHAIN)」によるものである。2020年度中の運用開始を目指す。
内覧申し込みから引っ越し後の電気などの手続きを簡素化
不動産の内覧を申し込むためには、賃貸希望者の住所や電話番号といった個人情報が求められる。加えて実際に賃貸を開始する時には火災・地震といった各種保険、電気・ガスといった各種公共サービスの手続きが別途必要だ。今回使用されるサービスでは、こういった一連のサービスの手続きを簡素化する。
また今回発表された内容には、スマートフォン等で物件の開錠や施錠を行うスマートロックというシステムについても触れている。このシステムを使えば不動産仲介業者が立ち合う必要もなくなるため、内覧希望者・仲介業者双方ともに効率的な物件内覧が可能になるという。
ネクスチェーンとは
ネクスチェーンとは、一般社団法人企業間情報連携推進コンソーシアムの立ち上げたコンソーシアムの名称。2020年4月1日に発足し、現段階ではKDDIや積水ハウス、綜合警備保障、電通、日立製作所など18社が参加している。ネクスチェーンでは企業間の情報活用促進、新たな価値創造、ブロックチェーンを活用した情報連携推進を目的としている。
ネクスチェーンが紹介している使用例は3つある。その内のひとつが今回積水ハウスが発表した「不動産賃貸契約における利便性の向上」だ。残る2つは、「空き物件の有効活用」と「ライフイベントにおける手続きの効率化」である。
「空き物件の有効利用」では、ブロックチェーン上で企業や自治体が保有する物件およびその構造・使用許諾に関する情報、利用希望者、利用用途に関する情報を連携させる。これにより空き物件の調査の効率化、使用許諾の交渉に要する負荷の軽減が期待されている。
「ライフイベントにおける手続きの効率化」では、結婚・出産・死亡等に伴う手続きの効率化が目的となっている。こういったライフイベントでは、複数の書類の処理、および金融会社やカード会社などとの連携が必要だ。例えば死亡時には、埋葬や火葬に必要な埋火葬許可証と相続のための住民票などが必要になる。これに加えて死亡者の保有していた金融機関の口座、死亡者が契約していたカード・保険・通信・不動産などの契約情報見直しなどを行わなければならない。ネクスチェーンの検討している使用例では、このような手続きの簡略化も目的に含まれている。
【参考】
・積水ハウス 業界の新たなスタンダード構築へ 業界初 ブロックチェーンで賃貸入居の煩雑なプロセスをワンストップ化
・企業間情報連携推進コンソーシアム「NEXCHAIN(ネクスチェーン)」会員企業の募集を開始
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文:かにたま
参照元:CoinChoice