ビットコイン(BTC)はデジタルゴールドではないのか?性質と市場でのポジションの違いとは?
ビットコインはデジタルゴールドではないのか?
2020年3月に暗号通貨市場は記録的な暴落をしました。コロナウイルスによる米国株式市場の下落相場に連られた格好です。今回の暴落を受け、ビットコインはデジタルゴールドではないという主張が一部で囁かれています。安全資産であれば、このような下落に耐えうる資産だからです。
もっとも実際のゴールドもビットコインほどではないにしても、大きく売られており、安全資産が暴落相場から全く影響を受けないというと語弊があります。しかし、ゴールドは直近1ヶ月の最高価格から10%程度の暴落したことに対して、今回ビットコインは直近1ヶ月の最高価格から50%程度の暴落をしており、やはりビットコインのボラティリティは大きいと言えます。
出典:https://goldprice.org/ja/gold-price-chart.html
出典:Coinbase
性質と市場でのポジションはイコールとは限らない
それではビットコインはデジタルゴールドではないのでしょうか。この点についてはやや複雑です。
確かにビットコインとゴールドは多くの類似点があります。総供給量に限りがあり希少価値がある点や偽造が出来ない点、本物の証明確認が出来る点、採掘にはコストがかかる点、分割してもその価値の合計は減らないことや劣化しない点などは、ビットコインがデジタルゴールドと言われる所以でしょう。ビットコインの設計思想やマネタリーポリシーはゴールドからモデリングされていると思われます。
また、JPモルガンが今年2月に発表したレポートでも、ビットコインは法定通貨のシステムが信用を失ったときのためのヘッジになり得るとコメントしています。この点では、確かにビットコインがデジタルゴールドと表現されることには一定の妥当性があります。しかしながら、マーケットでのポジショニングはそれとは異なることを理解するべきでしょう。
ゴールドの買っている主体は、単純な投資家の他に中央銀行や年金基金も含まれます。これに対して、ビットコインを買う主体はまだ個人投資家や小規模なヘッジファンドが中心で、伝統的な機関投資家は近年ようやくごく一部がポートフォリオにビットコインを組入し始めた程度です。ビットコインはゴールドと性質は似ていても、その投資家の主体までは似ておらず、そのステージに至るにはまだ時間がかかるでしょう。
参考
・ J.P.Morgan Perspectives Blockchain, digital currency and cryptocurrency: Moving into the mainstream?
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参照元:CoinChoice