暗号通貨取引所Bakktはデジタルアセットを総合的に扱うプラットフォームに?
徐々に取引高を上げるがCMEには及ばないBakkt
ビットコイン取引所のバックト(Bakkt)は、ニューヨーク証券取引所親会社ICE(Intercontinental Exchange)のグループ会社として2019年にローンチしました。Bakktの取引出来高は、ローンチ最初の週は少量でしたが、徐々に取引量をあげています。
現在、機関投資家に最も利用されているビットコインの金融商品はCMEの先物取引です。CMEの先物取引も最初の半年間は少ない出来高からスタートし徐々に存在感を高めましたが、Bakktも今の所同じ流れを辿っています。また、Bakktはオプション取引を開始するなど商品を拡充させています。
このような現状がありながらも、今のところはCMEの取引高のほうが日当たり10倍以上多い状態です。現物のビットコインをセトルメントするという設計から取次が難しいということも関連していると言えます。
Bakktがポイントやゲームアイテムなどを取り扱う構想
ここまで上述したBakktの動向は、ビットコインの取引所としての動きでした。Bakktは最近になり、より幅広いプラットフォームを目指す構想に言及し始めています。その内容は、リテール向けの新しいアセットクラスの拡充です。
Bakktはビットコインの決済アプリを2020年中にローンチする予定です。2018年末のBakktの最初の構想発表時点から言及されていたものです。
加えて、ICEは2020年2月にロイヤリティプログラム提供企業のBridge2の買収を発表しました。ICEの決算資料によると、Bridge2は4,500のロイヤルティおよびインセンティブプログラムをサポートしており、アメリカの金融機関トップ10のうち7社のロイヤリティシステムをサポートしているとしています。
同社は今後、ポイントを初めとした新しいアセットクラスのマーケットプレイスを準備すると明らかにしました。顧客はさまざまな小売店でポイントが付与されていますが、そのポイントは別々に管理され、自分がどのポイントをどれだけ持っているか分からないことが往々にしてあります。そのようなユーザー体験を変えていくと言います。
また企業にとっては、ユーザーに付与しているポイントはバランスシートの負債に計上されますが、ポイントのマーケットプレイスができることによって、企業はより良いレートでポイントの買い戻しができる機会も生まれることから、ポイントマーケットプレイスは機能するはずであるとしています。
同社の決算では決済全般に関する言及も多く、具体性は示されていないものの、手数料2~3%のカード決済が主流の決済業界を変えていくと発言しています。
Bakktが描く未来の決済
Fortuneのインタビューによると、Bakktの決済システムはサードパーティーに依存せずに安価な取引手数料を実現できるとしています。
暗号通貨・ポイント・ゲーム・現金とポートフォリオが別れており、いずれの枠でも支払いができて、それぞれがいつでも換金可能な将来を描いているように思えます。同社によると、使われていないマイルやポイントを換金して製品を購入したり、レストランに行ったりすることが実現できると言われています。
また、ICEはeBayの買収交渉を進めていることがWall Street Journalの報道で明らかになっています。eBayはC2CおよびB2Bなど個々間での物品を取引するマーケットプレイスとしてアメリカ最大の企業です。この買収も一連の構想の一部に含まれることは容易に想像ができます。
いずれにしても、Bakktが描く未来は次世代の決済アプリで、その決済アプリが使われる未来ではさまざまなデジタルアセットが存在しており、それら全てを相互に使える決済システムをBakktは準備していると理解できます。Bakktは一般消費者向けの新しいデジタル資産の総合プラットフォームになれるかどうか、これからの動向が注目されます。
参考
・Bakkt aims to turn your rewards points into a wallet you can spend anywhere
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参照元:CoinChoice