CLARITY法、4月マークアップへ—5月が暗号資産規制の分岐点に

この記事の結論

米国上院銀行委員会が、デジタル資産市場構造法「CLARITY法(Digital Asset Market Clarity Act)」の委員会マークアップ(法案審査)を4月後半に実施する方針を固めました。

最大の障壁だったステーブルコインイールド問題は、ティリス上院議員(共和党)とアルソブルックス上院議員(民主党)が原則合意に達し、前進しています。

一方でホワイトハウスの「暗号資産ザル」デビッド・サックス氏が3月26日に任期満了で退任し、法案の推進体制に新たな不確実性が生じています。

 

バーニー・モレノ上院議員は「5月までに可決されなければ、デジタル資産立法は2027年まで真剣な検討を受けないだろう」と警告しており、今後数週間が米国の暗号資産規制の行方を決定づける局面です。

この法案が成立すれば、機関投資家の参入や市場の透明性向上につながる可能性があり、暗号資産市場の中長期的な前提そのものが変わる可能性があります。

 

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この記事のポイント

  • 前進した点——最大の障壁だったステーブルコインイールド問題が原則合意。上院銀行委員会マークアップは4月後半(イースター明けの4月13日週〜20日週)を目標
  • 新たなリスク——3月26日にホワイトハウスの暗号資産担当デビッド・サックス氏が任期満了退任。後任未定のまま、法案最大の推進力が離れた
  • 残る障害——①DeFi規制の範囲、②倫理規定(現職議員・政府高官の仮想通貨発行禁止)、③地域銀行規制緩和の抱き合わせ問題の3点が未解決
  • 5段階の関門——マークアップ通過後も本会議(60票超必要)→農業委員会版との統合→下院との調整→大統領署名という4段階が残る。「マークアップ=成立」ではない

CLARITY法とは何か——3分で理解する全体像

CLARITY法(正式名称:Digital Asset Market Clarity Act of 2025、H.R.3633)は、米国において初めて暗号資産市場の包括的な規制枠組みを定める法律です。主な内容は以下の通りです。

 

  • 管轄権の明確化——「デジタルコモディティ(商品)」のスポット市場はCFTC(商品先物取引委員会)の排他的管轄に。「投資契約資産」はSEC(証券取引委員会)が担当。ビットコイン・イーサリアム・ソラナ・XRP等をデジタルコモディティとして明示(SEC・CFTCが3月17日に共同解釈文書で先行公表)
  • 取引所・ブローカーの登録制度——デジタル資産取引所・ブローカー・ディーラーに対する迅速な登録制度を創設
  • DeFi・ソフトウェア開発者の保護——顧客資金を管理しないソフトウェア開発者は規制対象外。「コードは保護される——不正行為は保護されない」との原則を明記
  • 倫理規定——現職の議員・高級行政官による在任中のデジタルコモディティ発行を明示的に禁止
  • Anti-CBDC条項——中央銀行デジタル通貨(CBDC)の「監視国家化」を防ぐ条項を含む

 

下院では2025年7月17日に294対134の超党派賛成多数で可決済みです。上院では現在も審議中です。

ここまでの経緯——なぜ2度も延期されたのか

  • 2025年5月29日——フレンチ・ヒル下院議員(共和党)がCLARITY法を提出
  • 2025年7月17日——下院で294対134の超党派多数により可決
  • 2025年9月〜11月——上院銀行委員会・農業委員会がそれぞれ独自の草案を検討開始。2委員会が並走する複雑な立法構造に
  • 2025年12月——ホワイトハウスの暗号資産・AIアドバイザー、デビッド・サックス氏が「1月にマークアップを実施する」と発表
  • 2026年1月14日(第1回延期)——銀行委員会マークアップ当日に延期発表。100件超の修正案が提出され、ステーブルコインイールド問題で業界が分裂。委員長ティム・スコット議員が採決失敗リスクを回避するため延期を決断
  • 2026年1月27〜29日——農業委員会はマークアップを実施し、自委員会版を可決(民主党票ゼロの党線採決)。銀行委員会版との統合が今後の課題に
  • 2026年2月——ホワイトハウスが仲介役として複数の協議を開催。財務長官スコット・ベッセント氏が「春の署名」を目標と表明
  • 2026年3月1日——ホワイトハウスが設定した「ステーブルコインイールド妥協」の期限が合意なしで失効
  • 2026年3月3日——トランプ大統領がTruth Socialに「銀行がCLARITY法を人質にしている」と投稿。法案推進の意思を改めて表明
  • 2026年3月5日——米国銀行協会(ABA)がホワイトハウスの妥協案を正式拒否
  • 2026年3月10日——上院銀行委員会議長ティム・スコット氏が「大きな勢いがついてきた」と発言。ルミス議員が「ステーブルコインイールド交渉は99%解決済み」と表明
  • 2026年3月17日——SEC・CFTCがビットコイン・ETH・SOL・XRP等17資産を「デジタルコモディティ」と共同解釈文書で分類。CLARITY法の内容を先取りする形に
  • 2026年3月25日——ティリス議員とアルソブルックス議員がステーブルコインイールドについて「原則合意」に達したとPoliticoが報道
  • 2026年3月26日——デビッド・サックス氏がホワイトハウスの暗号資産・AIザルを任期満了(130日ルール)で退任。後任未定。PCAST共同議長に移行
  • 2026年3月30日〜4月9日——イースター休会。上院は形式的会期のみで実質的審議なし。休会中にステーブルコインイールドの最終テキスト公開が予定されている
  • 2026年4月13日以降(予定)——上院復会。4月後半のマークアップを目標に最終調整

最大の争点①—「ステーブルコインイールド問題」の現状

今回の最大の対立軸は、ステーブルコイン(米ドル連動の仮想通貨、現在の市場規模約3,190億ドル)を単純に保有しているだけでユーザーに利回りを付与できるかという点です。

 

立場 主体 主張
禁止派 米国銀行協会(ABA)、独立系地方銀行協会(ICBA) 利回り付きステーブルコインは銀行預金の代替品。BofAモイニハンCEOは「数兆ドルが銀行預金から流出する」と警告
容認派 Coinbase、Stripe、Ripple Coinbaseにとってステーブルコイン関連収益は2025年Q3総収益の約20%を占める。アームストロングCEOは「銀行保護のための規制」と反発
3月末の妥協案 ティリス議員・アルソブルックス議員 「静的な保有」への利回り付与は禁止(アフィリエイト経由の迂回も封じる広範な禁止)。「アクティビティ連動型」報酬は容認。最終テキストは4月公開予定

ただし、Coinbaseは妥協案のテキスト確認後も「受け入れられない」と内部で伝えており、最終テキストへの業界合意はまだ得られていません。

休会明けの交渉が正念場となります。

最大の争点②—「倫理規定」の政治的意味

もう一つの対立軸が、倫理規定です。

ギリブランド議員(民主党)など複数の民主党議員は、現職の大統領・副大統領・議員・高級行政官による仮想通貨の発行・プロモーションを禁止する条項の強化を求めています。

 

「議員や上級行政官、大統領・副大統領が暗号資産・ステーブルコインの発行者・プロモーターではないことが不可欠だ。政府の役職を利用して私腹を肥やせば、政府の正当性が損なわれる」
— シンシア・ルミス議員(DC Blockchain Summit、2026年3月)

 

この要求がトランプ一族が発行したミームコイン(TRUMP・MELANIA)と直結していることは明白であり、単なる倫理問題ではなく党派対立の核心をついています。

共和党・ホワイトハウスはこの要求を「連立の破壊を狙った条件」として拒否しており、民主党票の取り込みが困難な状況です。

本会議では60票(民主党から7票)が必要なため、この問題は最後まで残る交渉カードとなっています。

新展開—「暗号資産ザル」退任の影響

3月26日、デビッド・サックス氏がホワイトハウスの暗号資産・AIアドバイザーを任期満了で退任しました。

特別政府職員(SGE)の年間130日勤務上限に達したためで、後任は現時点で未定です。

 

サックス氏の実績は大きく、GENIUS法(ステーブルコイン規制)の成立を主導し、銀行業界と暗号資産業界の仲介役として3月の原則合意に貢献しました。

ただし、CLARITY法の最終ゴールである本会議通過を実現できないまま離任したことになります。

今後はパトリック・ウィット氏(ホワイトハウス暗号資産評議会の実務責任者)が実務を引き継ぎますが、「大統領への直通アクセス」という意味でのホワイトハウス推進力は低下したとの見方が業界内に広がっています。

「5月が事実上のラストチャンス」—5段階の立法関門

マークアップ通過後も、CLARITY法が大統領署名に至るまでには以下の5段階が残っています。

  1. 上院銀行委員会マークアップ・採決(4月後半目標)——現在ここを目指している
  2. 上院本会議採決——60票超が必要(民主党から7票が必須)。倫理規定問題が鍵
  3. 農業委員会版との統合——農業委員会版は民主党票ゼロで可決されており、統合には追加の妥協が必要
  4. 下院との最終調整——下院はすでに可決済みだが、上院案との差異をすり合わせる必要がある
  5. 大統領署名——財務長官ベッセント氏は「春の署名」を目標と表明

5月21日のメモリアルデー休会開始までに本会議(ステップ2)まで到達しないと、夏以降は中間選挙モードに突入します。

モレノ議員の「2027年まで真剣な検討はない」という警告の背景がここにあります。

市場・業界の見通し

  • Polymarket——2026年中の署名確率を約72%と算出(3月下旬時点、前週比+12ポイント)
  • Ripple CEO・ブラッド・ガーリングハウス氏——「可決確率は80〜90%」と予測(3月下旬〜4月上旬時点)
  • JPモルガン——「CLARITY法の年央までの可決はデジタル資産への機関投資家参入の正の触媒になる」と指摘
  • CoinShares——法案の遅延が暗号資産市場から約10億ドルの資金流出に寄与したとのデータを公表
  • Fairshake(業界最大手の政治PAC)——2026年中間選挙向けに1億9,300万ドルを手元資金として確保。親暗号資産候補の支援・反暗号資産候補への対抗に投入予定

 

こうした見方を総合すると、可決の可能性は依然として高く、市場はすでに“制度整備前提”で動き始めているとも言えます。

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よくある質問(Q&A)

Q. CLARITY法はいつ最終的に成立しますか?

A. 現時点では「4月後半にマークアップ、5月に本会議通過」が目標ですが確定ではありません。マークアップ通過後も本会議採決(60票超必要)・農業委員会版との統合・下院調整・大統領署名という4段階が残っており、「マークアップ=成立」ではありません。

Q. マークアップ(markup)とは何ですか?

A. 委員会が法案を条文ごとに審査・修正し、本会議への付議を決定する手続きです。マークアップを通過した法案が初めて本会議(上院全体)での採決対象になります。

Q. デビッド・サックス氏の退任はCLARITY法にどう影響しますか?

A. サックス氏はGENIUS法の成立を主導し、銀行・暗号資産業界の仲介役として大きな役割を果たしてきました。後任未定のまま退任したことで、ホワイトハウス内での立法推進力が低下するとの見方があります。ただし、実務責任者のパトリック・ウィット氏は引き続き対応を続けています。

Q. なぜ本会議採決には60票が必要なのですか?

A. 米上院の議事妨害(フィリバスター)を止めるには60票以上の「議事打ち切り動議」が必要です。現在共和党は53議席を持ちますが、60票には民主党から7票が必要です。倫理規定をめぐる党派対立の解消が、この票数確保の鍵となっています。

Q. 農業委員会版と銀行委員会版はなぜ2つあるのですか?

A. CLARITY法は「デジタルコモディティ(CFTC管轄)」と「投資契約資産(SEC管轄)」の両方を扱うため、CFTCを所管する農業委員会とSECを所管する銀行委員会の両方が審議しています。農業委員会版は2026年1月に民主党票ゼロの党線採決で可決済みですが、銀行委員会版との統合・本会議への付議はまだです。

Q. 日本の仮想通貨市場にどう影響しますか?

A. CLARITY法が成立すれば、米国への機関投資家マネー流入が加速し、グローバルな暗号資産価格の上昇圧力になる可能性があります。また米国の規制枠組みが確立されることで、日本を含む他国の規制議論にも影響を与える可能性があります。直接的な法的拘束力は日本には及びません。

まとめ—「4月後半」が歴史的な分岐点になる

3月末時点でCLARITY法を巡る状況は、「前進と後退」が入り混じっています。

ステーブルコインイールドの原則合意は明確な前進ですが、暗号資産ザルの退任・Coinbaseの継続的反対・倫理規定の未解決・イランをめぐる地政学的な上院スケジュールの圧迫は、依然として大きなリスクです。

 

CLARITY法が成立すれば、SEC・CFTCの管轄権が明確化され、DeFi・スポット取引所・ブローカーへの法的確実性が初めて提供されます。

ビットコイン現物ETF承認・401(k)への暗号資産解禁・Squareのライトニング決済普及と並ぶ、2026年の「制度的追い風」の集大成となり得ます。

 

一方で廃案となれば、2027年以降まで主要立法が凍結し、規制の不確実性が継続します。

4月後半から5月末にかけての数週間が、米国の暗号資産市場の中長期的な方向性を決定づけます。

 


※本記事は情報提供を目的としており、特定の暗号資産への投資を勧誘・推奨するものではありません。暗号資産は価格変動リスクが高く、投資元本を下回る可能性があります。投資判断はご自身の責任と判断のもとで行ってください。
参考:FinTech Weekly、Crypto In America(Eleanor Terrett)、CoinDesk、Unchained Crypto、DeFiRate、MEXC News、Yahoo Finance、Ballotpedia、Protos、CNBC(2026年3月26〜31日取得)

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参照元:CoinChoice(コインチョイス)

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